インバウンドコラム

中国の大型連休「国慶節」が10月1日からスタート! 2020年コロナ禍の旅行トレンドは?

2020.09.26

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中国の国慶節は、春節(旧正月)に次ぐ伝統的な祝日です。以前の中国ではこうした祝日を家族と過ごすのが一般的でしたが、近年は大型連休を利用して国内外を旅行する人が急増しています。実際、日本にも昨年まではたくさんの中国人観光客が訪れていました。しかし今年は新型コロナウイルスの影響で中国人観光客が見込めず、日本のインバウンド業界への打撃は不可避です。今年の国慶節ではどんな旅行が人気なのでしょうか?国慶節についておさらいしつつ、今年の動向をご紹介していきます。

 

中国の建国記念日、国慶節

国慶節とは、中国の建国記念日です。1949年10月1日に天安門広場で中国の建国式典が行われ、毛沢東によって中華人民共和国の成立が宣言されて以来、10月1日が国慶節と定められています。

中国では「十一(シィーイー)」と呼ばれ、毎年10月1日を含む1週間が大型連休となります。今年は中秋節(旧暦8月15日)も重なったため8日までの8連休となっています。この時期は中国人が国内外を「大移動」する旅行シーズンとして定着しており、前述したように例年ならば日本でも多くの中国からの訪日客を迎え、インバウンド需要が高まることで知られています。

 

中秋節と重なり今年は8連休

中秋節は、月を祭り、円卓を囲みながら食事をすることは幸福を運んでくると信じられていた商時代(1600–1046 BC)に始まった風習が今に伝わるもので、その起源は3000年以上前に遡ることができます。伝統的な祭りとなったのは唐時代(618-907)、現在のような中秋節として盛んになったのは宋時代のことだそうです。旧暦の8月15日の満月を愛で祝う中秋節の風習は、香港や台湾、そして日本にもあります。日本では「中秋の名月」「十五夜」と呼び月見団子を食べますが、中国では月餅を贈り合うのが慣しとなっています。

今年の国慶節は、そんな中秋節を含んだ8連休となったわけで、新型コロナウイルス対策が常態化されてから初の大型連休として、多くの中国人が国内旅行へと出掛けていくことになりそうです。

 

昨年の国慶節の連休には700万人が海外へ

中国文化観光省の発表によると、2019年の国慶節の連休(10月1~7日)には延べ7億8200万人が中国国内を旅行し、国内観光収入は6497億1000万元(約9兆7456億5000万円)となっています。

また、同時期に国外へと出国した人の数は7日間で700万人を超え、その渡航先は88カ国1155都市にも及びました。さらに、2017年の国慶節中に中国人観光客が国内外で消費した金額は8兆円以上だったとのデータもあります。

 

これまでの傾向は?

2019年に中国の大手旅行予約サイト「シートリップ(携程)」が発表した事前予測では、国慶節の海外旅行先人気ランキングで日本が1位。2位以下には、タイ、イタリア、ロシア、米国、トルコ、インドネシア、ドイツ、オーストラリア、イギリスが名を連ねました。これを見ると、いかに中国人観光客の渡航先が多様になってきているのかが伺えます。

また、ストレスを抱える現代中国人は旅行に「癒し」を求める傾向にあり、観光客に対する「おもてなし」を重視し、懐かしい風景のある日本への人気が高まった結果ともいえます。キャッシュレス先進国である中国の人々は、旅行先で消費する際も、電子決済サービスが導入されているかどうかを重視する傾向にあります。

 

今年の国慶節は6億人が大移動!?

今年の国慶節に向け、中国の衛生当局は「世界の新型コロナの感染状況は深刻だが、国内は通常通り旅行して問題ない」と発表しており、中国の大手旅行会社は、連休中に延べ6億人が旅行に出かけるとの推計を発表。最も人気の観光地には、新型コロナウイルスの最初の震源地となった武漢の名所「黄鶴楼」が選ばれています。

中国のオンライン旅行会社「途牛」が発表したレポートによると、国慶節連休中に国内遠方地域への旅行を予約している人の割合が多く、国内ながらも遠くへ出かけたいという旅行意欲が回復していることがわかります。人気の旅行先は海南、雲南、四川、陝西などの遠方の地域で、海外旅行には行けないため、多くの人がじっくり味わう旅に興味を持っているようです。

さらに、新型コロナウイルスの影響で、車で観光地まで移動する旅行にも関心が高まっています。レンタカーによる旅行も人気が高く、車での旅行についての情報検索は前年比153%以上も増加。穴場的なスポットが注目されているようです。

 

まとめ

今年の国慶節は新型コロナウイルスの影響で、海外旅行に行くことができません。そのため、中国では国慶節連休中に多くの観光地が無料開放のサービスを打ち出すなど、国内の観光客争奪戦が繰り広げられています。旅行の傾向としては、連休を利用して遠方の地域をじっくりと楽しむ旅の人気が高くなっています。

このような傾向の変化は、海外旅行へ再び行けるようになった際にも、少なからず影響してくるかもしれません。

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