データインバウンド
東アジアの訪日リピーター、地方訪問意向は9割超 自然・温泉・祭りが地方誘客の鍵に
2026.07.06
やまとごころ編集部東アジアからの訪日客のうち、6回以上日本を訪れている「ヘビーリピーター」の地方訪問経験率は9割を超える。 日本政策投資銀行(DBJ)と日本交通公社(JTBF)が公表した最新の「訪日外国人旅行者の意向調査(2025年度版スピンアウトレポート)」によると、2025年7月にアジア・欧米豪12カ国・地域の海外旅行経験者7413人を対象にインターネット調査を実施し、地方誘客の可能性を分析した。その結果、東アジアの旅行者は初訪日の段階から総じて高い地方訪問意向を持つが、訪日回数を重ねるほど実際の地方訪問経験率が上昇していく実態が分かった。
本記事では、地方誘客の鍵を握る東アジア4市場(韓国・中国・台湾・香港)のニーズや、リピーターを惹きつける「温泉・自然・祭り」といった地域資源に関する調査結果を紹介する。
台湾・香港で根強い日本人気、訪日6回超のヘビーリピーターが地方誘客の有望層に
東アジアで「次に観光旅行したい国・地域」として、日本を挙げた割合は、台湾で72%、香港で74%となり、いずれも他国を大きく引き離してトップとなった。台湾では2019年以降、一貫して7割以上が日本を旅行先として支持しており、日本人気の高さが定着している。


韓国でも日本人気は高く、2025年度調査では42%が次の旅行先として日本を選択。2022年度以降、日本が最も人気の高い海外旅行先となっている。
また、訪日経験者の構成を見ると、香港では約9割、台湾と韓国では約8割が2回以上の訪日経験を持つリピーターだった。

なかでも、6回以上訪日しているヘビーリピーターの割合は、香港が52%、台湾が30%と突出している。

訪日回数を重ねた旅行者ほど、新たな目的地や深い体験を求める傾向が強い。こうしたヘビーリピーターは、地方誘客を進めるうえで有望なターゲットになりそうだ。
東アジアの訪日リピーター、地方訪問経験率92% 台湾市場に高い送客ポテンシャル
東アジア居住者の地方訪問意向は、初訪日者で94%、訪日経験2~5回で96%、6回以上では99%と、いずれも9割を超えた。一方、地方訪問経験率は、初訪日者の69%に対し、6回以上の訪日経験者では92%に達している。

なかでも台湾のヘビーリピーターは、北海道から九州まで幅広い地方観光地に高い関心を示している。多くの観光地で東アジア全体や香港居住者の数値を上回っており、地方への送客ポテンシャルの高さがうかがえる。
▲図版はクリックで拡大表示可能
訪日経験を重ねるほど高まる地域資源への関心、祭りや温泉が有力コンテンツに
東アジア居住者が地方で体験したいこととしては、「温泉を楽しむ」「自然観光地を訪れる」「郷土料理を食べる」などが上位を占めた。これらのニーズは訪日回数が増えるほど高まる傾向にあり、地域資源そのものが強い観光コンテンツになり得ることを示している。
また、地方で開催される祭りやイベントへの参加意向も、訪日経験を重ねるほど上昇した。特に、「さっぽろ雪まつり」や「長岡まつり大花火大会」、「函館港まつり」などへの関心が高く、ヘビーリピーターの訪問意向は、初訪日者を大きく上回る結果となった。祭りやイベントは、訪日経験を積むほど関心が高まるコンテンツといえそうだ。

一方、スポーツ観戦については訪日回数との明確な相関はみられなかった。相撲やプロ野球の観戦意向は一定の人気があるものの、Jリーグやモータースポーツなども含め、訪日経験よりも、もともとの嗜好性の影響が大きいと分析している。

リピーター市場は一枚岩ではない、台湾と香港で異なる地方体験ニーズ
台湾と香港に限定して地方開催の祭りやイベントへの訪問意向を比較すると、いずれの訪日経験層でも台湾が香港を上回った。特に訪日6回以上のヘビーリピーターでは差が拡大し、「青森ねぶた祭り」は台湾37%、香港26%、「仙台七夕まつり」は台湾34%、香港24%となった。「高山祭」や「阿波踊り」でも同様の傾向がみられ、台湾市場では祭りが地方誘客の有力なコンテンツとなる可能性が高いことがうかがえる。

一方、スポーツ観戦では国・地域による嗜好差がより鮮明に表れた。訪日ヘビーリピーターでは、プロ野球観戦の意向が台湾24%、香港13%となったが、相撲観戦は香港30%、台湾19%と逆転している。Jリーグ観戦でも香港21%、台湾4%と大きな差がみられた。
レポートでは、スポーツ観戦は訪日回数よりも、野球が人気の台湾、サッカーの人気が高い香港というように、もともとの嗜好性の影響が大きいと分析している。地域資源を活用したコンテンツ造成では、国・地域ごとの関心の違いを踏まえた商品設計が重要になりそうだ。

【編集部コメント】
ヘビーリピーターが求める「次の日本」、地方誘客の鍵は地域資源と市場理解に
今回の調査では、東アジア市場において、訪日6回以上のヘビーリピーターの地方訪問経験率が92%、地方訪問意向が99%にまで達することが明らかになった。リピーター市場の成熟とともに、「東京・大阪・京都の次」を求める動きが着実に広がっていることを示す結果といえる。なかでも、自然や温泉、祭りといった地域固有の資源は、訪日経験を重ねた旅行者ほど価値を感じるコンテンツとなっている。
一方で、台湾では祭りへの関心が高く、香港では相撲やJリーグ観戦への関心が目立つなど、市場ごとの嗜好差も鮮明だ。自地域の資源は、どの市場のどの層に響くのか。改めてターゲット設定や商品設計を見直す機会として捉えたい。
(出典:(株)日本政策投資銀行・(公財)日本交通公社、「DBJ・JTBF アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査 2025年度版 スピンアウトレポート」)
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