データインバウンド
EIU 世界の住みやすい都市ランキング2026、大阪7位・東京10位 アジア9都市がトップ20入り
2026.07.13
やまとごころ編集部英エコノミスト誌の調査部門(EIU)が「世界で最も住みやすい都市ランキング2026(EIU Global Liveability Index 2026)」を発表した。世界173都市を対象に「安定性」「医療」「文化・環境」「教育」「インフラ」の5分野・30の定性・定量指標を評価した結果、デンマークのコペンハーゲンが2年連続で首位となった。
日本では大阪が7位を維持し、東京は前年のトップ10圏外から順位を上げて10位に入った。今年はアジア都市の評価がさらに高まり、トップ20に9都市がランクイン。一方、中東情勢の悪化を背景に「安定性」の評価が低下するなど、地政学リスクがランキングにも影響を及ぼしている。
コペンハーゲンが2年連続首位、東京は10位に浮上
2026年版ランキングでは、コペンハーゲンが総合98点(100点満点)を獲得し、2年連続の首位に輝いた。優れたインフラや医療、そして高い安定性といった都市機能がバランスよく評価された形だ。 2位にはウィーン、3位にはメルボルンが続いた。
最上位層の顔ぶれが定着する中、トップ10全体における「特定の国への集中傾向」も前年に続き目立つ。 3位メルボルン、4位シドニー、8位アデレードと3都市を送り込んだオーストラリアや、5位チューリッヒ、6位ジュネーブと2都市が並んだスイスなど、今年もトップ10の半分をこの2カ国が占めている。
こうした欧州やオセアニアの伝統的な強豪都市が上位を固める中、日本も大阪が7位を維持、東京が13位から10位に浮上と、2都市がトップ10に入った。

大阪が東京を上回った要因は「インフラ」のわずかな差
今回のランキングで興味深いのは、同じ「総合96点」となった5位〜10位グループの中で、大阪(7位)が東京(10位)を上回った理由だ。
公式の項目別スコアを見ると、両都市の明確な強みの違いが浮き彫りになる。文化施設や娯楽、気候などを含む「文化・環境」分野では、東京が「89点」と大阪の「87点」を上回っている。しかし、交通や住宅、公共サービスなどを含む「インフラ」分野において、大阪が「96点」を獲得したのに対し、東京は「93点」にとどまった。
英字メディアの分析でも、大阪が東京の上位を維持した要因として「より強固で混雑の少ないインフラ」と「住宅の入手しやすさ」が挙げられている。東京は世界最大のメガシティとして多彩なカルチャーを誇る反面、巨大すぎるゆえの過密さや住宅コストの高さが、インフラ快適性の面でわずかな減点に繋がったとされている。
そして何より特筆すべきは、治安や社会の平穏度を示す「安定性(Stability)」の項目だ。世界的に地政学リスクや暴動などでこのスコアが下落傾向にある中、今回のトップ10圏内で「安定性100点満点」を記録したのは、首位のコペンハーゲン、そして日本の大阪、東京のわずか3都市のみ。この「安全・安心」の土台こそが、日本の2大都市が世界トップレベルにある最大の原動力となっていると言えるだろう。
アジア都市の存在感がさらに高まる。世界で最も改善した地域に
地域別・項目別の平均スコアを比較すると、世界の全体像が浮かび上がってくる。首位の西欧(92点)や北米(90点)といった先進地域がなお圧倒的なスコアを誇る一方、アジアの58都市における平均スコアは「74点」にとどまり、世界平均(76点)や先進地域にはまだ大きく水をあけられているのが現実だ。
特に項目別で見ると、アジアは「教育(82点)」や「安定性(76点)」で健闘しているものの、「文化・環境(67点)」の低さが全体の足を引っ張っている。また、バングラデシュのダッカなど後発開発途上国(LDC)の都市の存在も、地域平均を下方に引っ張る要因となっている。

しかし、この「平均点」だけでは見えてこない勢いが今のアジアにはある。西欧や北米といった先進地域が足踏み・微減する中、インデックスに含まれるアジア都市の平均スコアは前年から0.3ポイント上昇。今年「世界で最も住みやすい都市の評価が改善した地域」へと躍り出た。日本や中国における医療・インフラ面の改善が、その強力な原動力となっている。
▶︎EIU 世界住みやすい都市ランキング2026:都市平均スコアの前年比増減率(%)
(左から、アジア、サハラ以南アフリカ、北米、東欧、西欧、中南米、平均、中東・北アフリカ)

その結果、トップ20には日本勢のほか、シンガポール、ソウル、香港、そして中国から福州や無錫、南京、珠海などを含む計9都市がランクイン。トップ20内の都市数において、ついに西欧(7都市)を逆転する形となった。地域全体の底上げという課題を残しつつも、個々の有力都市が見せる「成長の勢い」は、世界で最も際立っている。
地政学リスクが都市評価にも影響
前述のように、世界全体の平均スコアは76点と前年からほぼ横ばいだった。これは「医療」の世界平均スコアが0.74ポイント改善した一方で、世界的な緊張高まりによって「安定性」が0.52ポイント低下し、プラスマイナスが相殺されたためだ。
EIUは、特に中東情勢の緊迫化が安定性評価を押し下げた主要因としており、中東・北アフリカ地域では平均スコアが1ポイント低下。マスカットやクウェートシティが大きく順位を下げたほか、テヘランは下位10都市に沈んだ。住みやすさを左右する絶対的な土台として、安全・安心という「安定性」がいかに重要であるかが改めて浮き彫りになっている。
【編集部コメント】
世界が注目する東京・大阪、「住みやすさ」は観光競争力にも
EIUの「世界で最も住みやすい都市ランキング」は、もともと海外企業が駐在員手当などを算出する際の参考指標として活用されてきた。しかし近年では、長期滞在者やデジタルノマド、さらには旅行先を検討する人々にとっても、都市選びの重要な判断材料となっている。
世界的な旅行・ライフスタイルメディアがランキングを取り上げるように、「住みやすさ」は都市ブランドを形成する要素としての存在感を高めている。特に今回、大阪と東京がともにトップ10入りを果たし、「安定性」で100点を獲得したことは、日本の安全性や都市インフラの質の高さが国際的にも評価されていることを示す結果と言える。
インバウンド市場では、短期旅行だけでなく、ワーケーションや長期滞在、リモートワークを前提とした「暮らすように旅する」需要も拡大している。こうした潮流を踏まえると、「住みやすさ」は観光資源とは異なる新たな都市競争力として、今後さらに注目を集めていくだろう。
(出典:EIU Global Liveability Index 2026)
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