データインバウンド
台湾・香港市場の訪日意向調査、コロナ後の旅行予算 30万円超が過半数
2023.03.24
やまとごころ編集部日本好きが多いと言われる台湾・香港からの観光客、ポストコロナで日本旅行に関する意識に変化があったのか。台湾・香港人向け最大の日本情報サイト「ラーチーゴー!日本」が、サイトユーザーに対して行ったWeb調査結果から見ていく。
なお、回答者4711名の属性は以下の通り。
(図版出典:株式会社ジーリーメディアグループ「訪日旅行に関する意識調査」)
コロナ後の訪日旅行予算、30万円以上が過半数
今回の調査で[満足できる特別な訪日旅行にかけられる予算]について尋ねたところ、「30万円未満」が46.4%だったのに対し、「30万円」が36.6%、「50万円」と回答した人も13.9%いた。なお、100万円と回答した人は、2.3%、100万円以上と回答した人も0.8%おり、「30万円以上」と回答した人の合計は、半数以上の53.6%に上った。
観光庁の訪日外国人旅行消費動向調査によると、コロナ前2019年の訪日客の日本での1人当たりのインバウンド消費額は15万8458円で、香港人の場合は15万5951円、台湾人の場合は11万8288円だった。この金額には、往復航空券の運賃は含まれていないため、単純比較はできないが、過半数がコロナ後に付加価値の高い体験に対し、平均の2倍近い消費はためらわないという結果になった。
訪日旅行で予算をかけたいものトップ3「美食」「季節」「宿泊」
[特に予算をかけるもの]に関しては、「美食(コース料理、シェフ招待、ミシュラン掲載店、予約の取りにくい店等」が75.3%、「季節体験(スノーリゾート、マリンアクティビティ、お城で花見など)」が60.8%、「宿泊(5つ星や高級旅館、貸別荘等)」60.6%となった。下記の結果を見ても分かるように、上記3つに重点的にお金を使いたい意向が伺えた。
さらに具体的な予算を聞いたところ、[満足できる特別な宿泊]に「1人5万円以上払える」が33.5%。[満足できる特別な美食]に「1人2万円以上払える」が61.6%、[満足できる特別な体験]に「1人5万円以上払える」が29.8%という結果になった。
予算をかけたい体験の優先度、高額旅行と低予算旅行で差
続いて、訪日旅行にかける予算別(100万円以上・50万円・30万円・30万円未満)で特に[どの項目に予算をかけられるか]を集計したところ、「美食」が最も多いのがどの層にも共通している点だ。その次に多いのは、予算50万円以上の層は「宿泊」、予算30万円以下の層は「季節体験」となった。予算50万円以上の層は全体の2割未満だったが、予算30万円以下の層が全体の8割以上ということを考えると、「季節体験」の付加価値を高めることで、より多くの層を取り込めることが予測できる。
さらに具体的な訪日目的について、2つの視点から紹介する。1つは予算50万円以上と回答した層で、20〜40代と51歳以上を比べた場合、日本食、旅館宿泊、温泉、自然・景勝地鑑賞などは両方の層でも人気だが、大きな差があった項目がある。20~40代が「テーマパーク」「スノースポーツ」が37~38%なのに対し、50代以上は9~10%、「繁華街の街歩き」は前者が42%に対し、後者は29%、「日本のポップカルチャーを楽しむ」は前者が17%だったの対し、後者は3%だった。一方で、四季の体験についてはミドル・シニア層以上が59%だったのに対し、20~40代は10ポイント少なかった。
また、予算別での訪日目的を比較してみると、訪日予算100万円以上と回答した人のなかでは、「美術館・博物館等」が16%、「舞台・音楽鑑賞」が28%と、他の層よりも高い結果となった。
年収1000万円超、訪日10回以上のヘビーリピーター8割近く
最後に年収別の訪日回数のグラフを見てみよう。ここでは年収が多くなるほど訪日旅行回数が増えているのがわかる。年収1001万円以上の層では10回以上訪日している比率は78.8%となった。年収が高ければ旅行にかけるお金と時間が豊富にあるからだろう。しかし、どの層も他の訪日市場と比べると、圧倒的にリピーターが多いのがこの市場の特徴と言えるのではないだろうか。
今回の調査は、「ラーチーゴー!日本」を運営する株式会社ジーリーメディアグループが3月8日に富裕層向けのプレミアム版を開設したのに伴い、サイトのユーザーである台湾人香港人に対して行った。
調査レポートの最後には、同社吉田代表が次のようにコメントしている。「台湾・香港からの訪日客は、コロナ前に比べ『高くても良いものを』と考える層が増えた。また、すでに複数回の訪日経験のある人が非常に多いため、東京・関西だけでなく地方観光への関心も高い。同地域からの訪日観光を誘客する高付加価値サービスに求められるのは、単なるラグジュアリーではなく、そこにしかない価値を適切に訴求すること、そして、その価値を享受する上でのあらゆる不便を取り除いてあげることだ」
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