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JNTO、平成22年度事業計画を発表

2010.05.20

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出典:やまとごころ.jp

5月18日JNTO (独立行政法人 国際観光振興機構)は、記者発表会を開き平成22年度の事業計画を明らかにした。本年度を、訪日外国人客1,000万人を目指す「ビジット・ジャパン事業」の最終年であると同時に、新たな「訪日外国人3,000万人プログラム」の最初の年と位置づけ、海外宣伝事業および国際会議誘致・開催支援事業を推進してゆく。

<平成22年度事業計画>
1.海外宣伝事業
①東アジア4市場を重点にテーマを定めたプロモーション
「訪日外国人3,000万人プログラム」では、3年ごとに訪日外国人500万人ずつの増加を目指す。今年から始まる第1期では、韓国、中国、台湾、香港の4市場に重点を置き、韓国向けに「温泉と地方都市」の魅力をアピールする一方、中国向けには東京―大阪を結ぶいわゆるゴールデンルートや北海道以外を訪問地にしてツアーの多様化を提案する。こうした市場ごとにテーマを定めたプロモーションを行ない、JNTOが造成・販売支援した旅行による送客数を平成20年度の47万8千人から22年度には51万8千人に増加させることを目標とする。

②ウェブサイトによる情報発信
「JNTOウェブサイト」で引き続き9言語で情報発信を行い、東アジアからの旅行者が一人歩きしやすいようレストランやショッピングなどに関する中国語および韓国語の実用的な情報を充実させてゆく。
平成21年度の「JNTOウェブサイト」の観光地情報では、アクセス数トップの観光地はいずれの言語でも新宿だった。韓国語では、韓国ドラマ「アイリス」の舞台となった田沢湖が19位に入ったことが注目される。
今年度の数値目標としてJNTOのウェブサイトへのアクセス数を21年度の1億870万ページヴューから1億4,800万ページヴュー以上への増加を目指す。

③ジャーナリストの取材支援
観光地としての日本の知名度向上のため、海外メディアに対する情報提供、写真の貸出し、コンサルティングなどの支援を行なう。

④Eラーニングによる旅行業界の人材育成
海外の旅行社が魅力的ある訪日ツアー商品を企画できるよう支援するため、インターネットによるオンライン研修Eラーニングを実施する。今年度は新たにオランダ・北欧を加え、中国、米国、カナダ、英国、フランス、ドイツを対象にする。

2.国際会議誘致・開催支援事
①海外向け積極的プロモーション
2010年のコンベンション誘致事業を設定し、「Japan MICE Year」として日本がMICE開催に適していることを海外に積極的にプロモーションする。
主な事業として、上海、フランクフルト、バンコク等で開かれる旅行見本市への出展を通した日本のPR活動、商談会・セミナー開催、国際会議開催地決定に発言力を持つキーパーソンの訪日招請、国際会議誘致に関するマーケティングの基礎となるデータベースの充実を予定している。

②東南アジア・中国・韓国からのインセンティブ旅行の誘致強化
東南アジア、中国、韓国を3大重点市場としてインセンティブ旅行の誘致を図る。同時に、大型グループや富裕層のインセンティブツアーを積極的に支援しリピーター増加を目指す。

上海・近隣旅行会社へのアンケート結果 -8割が2010年の訪日旅行増加の見込み
JNTOは同記者発表において、上海事務所管轄地域内の訪日旅行取り扱い旅行会社46社に対するアンケート調査結果を報告した。回収率は100%。主な内容は以下の通り。
※約8割が訪日旅行増加の見通し

・2010年の訪日旅行は
増加する・・・37社
前年並み・・・・7社
減少する・・・・・2社

<増加見通しの理由>   
訪日旅行の評判が良好
日本の宣伝広告の強化
ツアー商品の選択肢の増加 など

<北海道人気続くー訪日旅行商品売れ行き予想>
2010年に人気上昇が期待される訪日ツアー商品
第1位 「北海道プラス東京または関西」
第2位 「北海道」
第3位 「東京」、 「ゴールデンルート(東京、名古屋、大阪周遊ルート)」
※北海道人気の背景には、北海道を舞台に撮影された映画「非誠勿擾(邦題:「狙った恋の落とし方」)のヒットがある。

<事業仕分けに関するJNTO理事長の私見>
4月28日に行なわれた事業仕分けの結果を受け、JNTOの間宮忠敏理事長が記者発表の席上個人的な見解を述べた。
仕分けの結果、観光旅客来訪促進業務については国に戻し、国がロードマップを企画立案したうえで、民間に委ねるものはその方向で検討することになった。これについて、間宮氏は国とJNTOの役割分担についての私見として、政府の仕事は観光戦略の策定、予算確保・配分などであり、JNTOはその中立性、専門性、国際的信頼感を生かし、政府の政策に沿って具体的な事業の企画、立案、実施を行い、日本ブランドが外国に適切に伝わるよう意見を言う役割を果たしたいとの考えを示した。実施の段階では、営利事業として成り立つものは民間に担当して戴き、その場合JNTOは日本のブランドがはっきりと伝わるようにアセンブラーの立場としてTQC(Total Quality Control)の役割を果たすことができると思うと述べた。

<外国人旅行客受入体制整備>
外国人旅行客受入体制整備については仕分けの結果、JNTO直営の外国人観光案内所は廃止することとなった。これについて、間宮氏は、外国人観光案内所(TIC)の今後の制度設計は国の仕事であるとことわったたうえで私見を述べ、TICの機能として①日本全国にわたる広域的案内機能、②マーケット情報収集機能、③全国のビジット・ジャパン案内所の中枢機能の3点を指摘し、今後もこれらを生かしてほしいとの希望を述べた。

(取材:やまとごころ.jp)

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