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JNTO記者発表会、今年7月までの訪日外客数めざましい回復~懸念は円高と航空座席不足

2010.09.06

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出典:やまとごころ.jp

8月31日、JNTO記者発表会で間宮理事長は今年1月から7月までの訪日外客数を発表した。7月単月の訪日外客数は全体で87万9千人と過去最高を記録し前年同期比36.3%増加、また、今年1月から7月までの訪日外客数の累計は508万2千人とめざましい回復を遂げた。

中国からの訪日客は7月単月で16万5千人、今年1月から7月までの累計で86万9千人といずれも過去最高を記録した。
昨年激しく落ち込んだ韓国からの訪日客数も今年は回復し、7月までの累計で140万6千人と円高にもかかわらず安定を見せている。

懸念材料として間宮氏は急激な円高と航空座席の不足を指摘した。
円高はインバウンドの抑制要因と言われているものの、JNTOが継続的にマーケティングプロモーションを行った結果、円高の下でも昨年11月以来9ヶ月連続で訪日客が増加していることを挙げ、為替要素がオールマイティではないとの見解を示した。しかし、その一方で円高がこのまま推移すれば影響が出ることも否定できないと述べた。

航空座席の不足については、現在、座席が取れないばかりでなく、航空料金が上がりツアー料金維持が困難になっている。そこでJNTOは、中国旅行会社による国内地方空港へのチャーター便差し立て拡大を目指し、中国旅行会社3社との共同広告による集客支援を行なっているとの説明があった。

プラス要因として間宮氏は中国の市場拡大、韓国の回復を中心とした旺盛なマーケットの訪日需要を挙げ、信頼性・非営利性・専門性を併せ持つJNTOはその役割を自覚し、訪日外客1千万人の目標を目指し今年の残りの期間をプロモーションに尽力する所存であるとした。

<訪日外客1千万人達成へラストスパート事業>

JNTOは、今年9月から12月を訪日外客1千万人達成に向けたラストスパート期間として以下の事業を展開する。

1.羽田空港への国際線定期便就航による集客強化
10月31日から羽田空港への定期便の就航が予定されている航空会社6社および旅行会社3社とタイアップした販売促進支援を行ない、個人客を中心とした集客を強化する。共同広告、サイト間のバナーリンク、旅行会社向けセミナー等の実施を予定。

2.地方空港へのチャーター便、クルーズを活用
上海から茨城、旭川、岡山、北京から旭川、静岡、神戸、沖縄の各空港へのチャーター便を利用したツアー販売促進支援を行なう。旅行会社との共同広告でツアー客を募集するほか、チャーター便継続就航に向けて航空会社に働きかけ、国内の地方空港への送客の増加を図る。
また、南京の旅行会社との共同広告を通して上海から福岡へのクルーズ・ツアーについても販売促進支援を行なう。

3.クリスマス、新年カウントダウンのPR
角川マーケティング社とタイアップし、日本国内各地でのクリスマスや新年カウントダウンなどのイベントをJNTOの3言語ウエブサイトを通してPRする。

4.「日本食」の魅力の情報発信強化
JNTOの「訪日外客訪問地調査」で外国人が「訪日前に期待すること」で「日本食」がトップに挙げられたことを受け、「日本食」の魅力についてのPRを強化する。


<「信州デスティネーションキャンペーン」海外プロモーション~JRグループ・長野県・JNTOが連携>

デスティネーションキャンペーンとは、JRグループ6社と地方自治体、地元観光関連業者等が協力し、デスティネーション(目的地)と呼ばれる対象エリアの大型観光キャンペーン行なうもの。JNTOは今年10月から12月に実施される信州デスティネーションキャンペーンに協力し、訪日外客向け商品、サイト、プレゼント企画、関連イベントの紹介などを行なう。長野県は、温泉のあるスキー場や雪の中で入浴する猿が訪日外客に人気。
「JNTO訪日外客訪問地調査2009」では、長野県への訪問率は3.1%、都道府県別では前年の18位から16位に上昇している。

中国からの訪日教育旅行激増~今年7月単月で1.1万人超、08年通年実績を上回る~
今年7月の訪日教育旅行申請者数は11,736人で、これまで過去最高だった2008年の通年実績を超えた。誘致人数を県別に見ると長崎県と長野県に集中し、日本で最も早く教育旅行誘致事業を行なってきた長崎県に3,000人、成田と関空の両空港からアクセス可能で自然環境を生かしたプログラムをセールスした長野県には2,000人が訪れた。

2010年夏期に見られた傾向として、
①中国側が学習テーマとして環境対策や環境保護を重視
②複数の学校から参加者を募る共同催行ではなく、学校別に教育旅行参加者を募集・催行する地域の増加
③江蘇省からの教育旅行が2008年比4.4倍に増加し中国最大の教育旅行市場となった
という3点が挙げられる。

<日本初開催の国際会議誘致に成功>
JNTOは国際会議主催者誘致活動への支援を環境庁や国際会議観光都市コンベンション推進機関と協力して行なっている。今回、「自然言語処理国際会議」(2012年、金沢)、「国際中欧・東欧研究協議会(ICCEES)世界大会」(2015年、千葉)、「国際鳥学会議」(2014年、東京)の3会議が日本で初めて開催されることが決定した。

「自然言語処理国際会議」誘致のために、JNTOは「国際会議キーパーソン招請事業」を通して開催地決定権のある学術研究者をフランスから招き、候補地の視察および金沢での商談会を実施。ウエルカムパーティーを金沢城(鶴の丸休憩所)で開いたほか歴史ある料亭「金城楼」でレセプションを開催、金沢の伝統舞踊を披露した。

「国際中欧・東欧研究協議会(ICCEES)世界大会」の誘致に際しては、ちば国際コンベンションビューロー、JNTO、観光庁による主催者の支援のほか千葉県知事、JNTO理事長、観光庁長官による招請状発行、ICCEESのキーパーソン招請などが功を奏し、アジア初となる開催が日本で行なわれることが決定した。

<「JNTO訪日外客訪問地調査2009」より「日本の食事」について>
「JNTO訪日外客訪問地調査2009」では、観光客が訪日前に期待したこととして「日本の食事」が1位になった。特に満足した日本の食事としては1位が寿司、以下、ラーメン、刺身、天ぷらと続いた。
これらを男女別に見ると、女性に支持されているのはうどん、お好み焼き、とんかつ・カツ丼、焼肉、焼き鳥など。男性からの支持がより多かったのは、しゃぶしゃぶと刺身だった。寿司は男女を問わず支持されている。
年齢別では、39歳以下に支持されたのは、とんかつ・カツ丼、お好み焼き、焼肉、カレー、ラーメンだった。一方、40歳以上の支持がより多く集まったのは、魚介・海鮮料理、しゃぶしゃぶ、刺身、天ぷら、焼き鳥だった。寿司は年齢別でも老若満遍なく支持された。
調査からは、男女別よりも年齢別によって食べ物の好みにはっきりした違いがあることが示された。

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