インバウンドコラム

【コロナ:世界の動き】「Go To トラベル」全国で一時停止。世界各地、年末年始のイベントの行方は?

2020.12.15

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12月28日~1月11日、一時停止。東京、名古屋は先行

日本政は14日、新型コロナウイルス感染症対策本部を官邸で開き、観光支援事業「Go To トラベル」を全国で一時停止すると表明した。期間は12月28日から2021年1月11日までで、1月12日以降の扱いは改めて判断する。

国内の新規感染者は12日に過去最高の3000人超えを記録。感染拡大に歯止めがかからない状況を踏まえ、一部地域の利用制限から全国的な運用へと切り替えた。全国一斉停止に先立ち、従来の札幌市、大阪市に加え、感染者数の多い東京都と名古屋市を目的地とした利用を先行して停止する。 

 

都道府県別「Go To トラベル」一時停止情報

都道府県名・都市名

主な対応

全国

到着・出発

12月28日〜1月11日が停止

札幌市
名古屋市
大阪市

到着(新規)

12月14日〜27日が停止

到着(既存)

12月22日〜27日が停止

出発

12月14日〜27日が自粛

東京都

到着(新規)

12月18日〜27日が停止

到着(既存)

12月22日〜27日が停止

出発

12月14日〜27日が自粛

 

事業者補償、旅行代金の50%に引き上げ

全国一律の停止に伴い、利用者が今月24日までに申し出ればキャンセル料がかからないようにする。旅程の一部に停止期間が含まれている場合は、全旅程が「トラベル」事業の対象外となる。一方で、先行4都市以外の27日までの旅行は、新規予約も含めて「トラベル」事業の対象となる。赤羽一嘉国土交通相は15日、旅行会社や宿泊施設などの事業者に対しては、一時停止によって予約のキャンセルが出た場合、旅行代金の50%を補償すると発表。従来の35%から引き上げ、年末年始に損失を受ける事業者に手厚く補償する考えだ。

また14日には、大都市を中心に飲食店などに対する営業時間の短縮要請の延長が決定。時短営業に応じた店舗には国と自治体が1店舗1カ月あたり最大で120万円(現在は60万円)を支援するという。

 

観光業界に甚大な影響。年末年始の休業を余儀なくされる宿も

突然の全国一斉停止を受け、14日には観光業界に衝撃が走った。国内需要や「トラベル」事業の影響で少しずつ回復の兆しが見え、年末年始の需要に期待していた業界関係者らは、「トラベル」事業の全国停止により再び甚大な影響を受けることが想定される。福島県にある宿泊施設は、「キャンセル待ちになるほど予約が入っていたが、全国停止の発表でキャンセルが相次いでいる。年末年始は休業を余儀なくされるが、すでに1000万円以上の食材を仕入れているため対応を考えなくてはいけない…」「G.W.も年末年始も休業になるのは前代未聞。信じられない気持ち」と語っている。

しかし一方で医療従事者の間では「もう少し早く止めるべきだった」との声が多く上がっている。政府は14日、逼迫する医療提供体制への支援強化策として、医療機関に派遣される医師や看護師に対する政府の補助額を倍増する方針を示した。医師は1時間に1万5000円、看護師は同5500円を補助する。

 

海外からの入国者・帰国者専用バスを運行

東京空港交通は国土交通省と連携し、12月16日より海外からの入国者および帰国者用に、空港からホテルまでの直通バスを運行する。現在は、空港で行われる新型コロナウイルス検査で陰性だった場合でも、入国後14日間の自宅やホテルでの自主隔離と、公共交通機関を利用しないよう求められている。しかし、個人で車両を手配して移動する際の金銭的な負担が大きいことを鑑み、国土交通省は1日3便、都内12のホテルに直行する貸切バスの導入を進めた。バスの予約はオンラインで行うことができ、料金は3000円台と予想されている。

 

世界のコロナ感染者、累計で7000万人超

米ジョンズ・ホプキンス大の集計によると、世界の新型コロナウイルスの累計感染者数日本時間12日、7000万人を超えた。11月下旬に6000万人を超えてから、約半月で1000万人増加したことになる。英国でワクチン接種が始まるなど明るいニュースがある一方で、欧米を中心に感染者、死者ともに高止まり傾向が続いている。世界の累計死者は160万人を超えた。

 

世界各地、年末年始のイベントの行方は?

全土で夜間外出制限が施行されているイタリアでは、本来ならクリスマスイブの真夜中に行われるミサを禁止し、午後8時半頃までに実施するように保険当局が通達している。また、クリスマス休暇中に自宅とは別の地域へ移動することや、家族以外を自宅に招くことも禁止される。クリスマスから新年の休暇期間中、スキー場も閉鎖されこととなっている。

台北市では、毎年恒例のカウントダウンイベントを今年も開催。台北市の超高層ビル「台北101」も、例年どおり元日の花火ショーを実施する方針を示した。これを受け、隣接するホテルの年越しの予約は好調で、グランドハイアット台北は予約率が約7割、ル・メリディアン台北は約8割に達しているという。新型コロナの影響でインバウンド客が大幅に減ったものの、地方から台北を訪れる域内客が例年より増加している。

タイの新型コロナウイルス感染症対策センター(CCSA)は、感染防止対策を講じることを条件に、大晦日の夜にカウントダウンイベントを開催することは可能との見方を示している。

一方、新型コロナの第4波に見舞われている香港では、社会的距離を確保できないとして、大晦日に開催される毎年恒例のカウントダウン花火が中止となった。また、クリスマスから春節にかけた大型イベントの中止が相次いでいる。

 

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各国・地域の入国規制まとめ

 

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