データインバウンド
アジア太平洋地域の63%が域内旅行を予定、人気の目的地トップは日本 ―2026年Visaグローバル旅行意欲調査
2026.06.30
やまとごころ編集部世界的なコスト上昇や国際情勢の不透明感が続くなか、アジア太平洋地域(APAC)の旅行者は、旅行を控えるのではなく、目的地や体験を重視した計画的な旅行を志向していることがわかった。Visaが発表した「2026年グローバル旅行意向(GTI)調査」によると、 APAC旅行者のあいだでは日本が最も人気の旅行先となっているほか、AIを活用した旅行計画やデジタル決済の利用も広がっている。調査は世界4万7000人超(うちAPAC約1万7000人)を対象に実施した。
APAC旅行者の28%が1年以内の日本行きを希望
調査によると、APAC旅行者の63%がAPAC域内の旅行を予定しており、中央ヨーロッパ・中東・アフリカ(16%)、ヨーロッパ(13%)、北米(6%)といった域外への旅行意向を大きく上回った。コスト上昇や不確実性が高まる世界情勢のなかで、遠出を避け、身近な安全圏であるAPACというエリア全体がディスティネーションとして高く支持されている実態が浮き彫りになった格好だ。
目的地別では、日本が19%で最も人気が高く、次いでオーストラリア(7%)が続き、タイ、韓国、香港はいずれも約5%でトップ5に入った。
また、今後12カ月の旅行予定先としても、日本は28%で最多となり、オーストラリアの16%、香港と韓国の各13%を上回った(タイの数字は未発表)。日本への旅行需要が引き続き高いことがうかがえる。
APAC旅行者の4人に1人がイベント目的で旅行
APAC旅行者は、なじみのある目的地を選びながらも、現地ならではの体験を重視している。37%が、食や文化に関連する独自の現地体験を中心に旅行を計画していると回答したが、これは世界平均の29%を上回った。

また、4人に1人は、FIFAワールドカップ2026、F1、K-Popコンサートなど、大規模なライブエンターテインメントやスポーツイベントを目的に旅行すると回答した。調査結果からは、食文化や地域独自の体験、イベントを軸にした旅行需要の広がりが読み取れる。
49%がAIで旅行を計画、予約は目的に応じて使い分け
旅行計画では、AIの活用も広がっている。APAC旅行者の49%が、目的地や旅行アイデアを見つけるためにAIツールを利用していると回答した。AIの活用目的では、旅行レビューやおすすめ情報の収集・整理が41%、現地ツアーや体験の検索が35%となった。
予約行動では、宿泊施設については79%が出発前に予約しているほか、現地での体験・ツアーも51%が事前に手配している。一方、飲食店は72%、現地での移動手段は65%が到着後に決めており、旅行者は予約するものと現地で判断するものを使い分けていることが分かる。
決済も旅行前の確認項目となっている。旅行前に決済の安全性を確認する旅行者は33%、カードの利用可能性を確認する旅行者は27%に上った。また、旅行時にカードやモバイルウォレットを持参する旅行者は73%となり、デジタル決済がAPAC旅行者に定着していることが示された。
旅行者の変化が受け入れ環境にも影響
Visaアジア太平洋地域CMOのダニエル・ジン氏は調査結果を受け、「APACの旅行は減速しているのではなく、より計画的で目的意識の高いものへと進化している。デジタルファーストの旅行者が、AIを使って自身の関心や価値観に沿った旅を計画し、安全でシームレスな決済体験を求めるなか、デスティネーションや事業者がどのように旅行者を支えるかが重要だ」と述べている。
今回の調査では、日本への旅行需要の高さに加え、AIを活用した情報収集、体験の事前予約、現地での飲食・移動の柔軟な判断、決済環境への関心が明らかになった。こうした旅行者の行動変化は、日本の観光事業者や自治体にとっても、デジタルでの情報発信や受け入れ環境を考える上で参考になりそうだ。
【編集部コメント】
旅行者の変化を、受け入れ環境づくりのヒントに
今回の調査結果で特に注目したいのは、旅行需要が堅調であること以上に、旅行者の意思決定プロセスが変化している点である。AIで情報を集め、体験は事前に予約しつつ、飲食や移動は現地で柔軟に選ぶ―こうした行動を前提とした受け入れ環境づくりが重要になっている。自社や地域の情報発信、予約導線、決済環境は、この新しい旅行者像に対応できているか。改めて点検する機会として捉えたい。
(出典:VISA 2026 Global Travel Intentions (GTI) study)
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