インバウンドコラム

【体験レポ】訪日客が期待する“日本らしさ”をどう体験に変えるのか 新宿発、ライブエンタメの人気の理由を探る

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インバウンドの旅ナカ現場を取材し、その成功の秘訣を探る本連載です。今回は、新宿で連日多くの外国人観光客を熱狂させているライブエンターテインメント「SAMURAI RESTAURANT」に、筆者自身が実際に足を運んでみました。あわせて、同施設の運営担当者へのインタビューと、訪日客のレビューも交えながらレポートします。

SAMURAI RESTAURANTショーの様子

 

平日午前から訪日客で賑わう理由は、「旅程への組み込みやすさ」にあった

「SAMURAI RESTAURANT」は、新宿・歌舞伎町で楽しめる訪日客向けのエンターテインメントショーです。侍や和太鼓、ダンス、音楽、照明、映像演出などを組み合わせたステージが繰り広げられます。1日3回開催され、所要時間は約100分。料金は時間帯や予約サイトによって変動しますが、目安は一人あたり8000円〜1万円前後です。食事またはドリンク付きのプランが用意されており、英語対応のもと、海外からの旅行者を中心に人気を集めています。

筆者が訪れたのは平日の午前中でしたが、会場にはすでに欧米豪を中心に多くの外国人観光客の姿がありました。朝から予約して楽しめるというのは、訪日旅行者にとって大きな魅力だと感じます。

会場に入った時点では、まだショーは始まっておらず、開演を待つ落ち着いた雰囲気でした。この時点でまず感じたのが、会場の規模の大きさです。座席数が50席と多く、団体客もまとめて受け入れられる作りになっており、旅行会社やツアーとの相性の良さにもつながっていると感じました。1日に複数回公演があるため、席さえ空いていれば直前まで予約できるのも大きな強みです。ちょっと時間が空いたタイミングでもふらっと参加できる気軽さがあります。

暑い季節は屋外コンテンツの利用が難しくなる場面もありますが、その点SAMURAI RESTAURANTは屋内で快適に過ごせるうえ、新宿歌舞伎町という抜群のアクセスの良さも魅力です。

ショーが始まる前から非日常の世界観へ。フォトスポットとしても人気のエントランス▲ショーが始まる前から非日常の世界観へ。フォトスポットとしても人気のエントランス

 

「海外の人が見たい日本」を演出 幅広い支持を集める世界観のつくり方

開演し幕が上がると、大音量の音楽と光の演出、そして大掛かりな装置が織りなすエネルギッシュなステージが始まりました。筆者自身も想像していた以上の迫力を感じました。その迫力を生み出している要素の一つが、出演者の多さです。数人規模ではなく、数十人規模のキャストが入れ替わり立ち替わり登場する構成で、その圧倒的な人数がステージ全体の熱量をさらに高めていました。

口コミでも「始まりから終わりまで目が離せなかった」「音と光の演出、装置の迫力がとにかく凄い」といった声が特に多く、五感を揺さぶるような迫力への評価は筆者の実感とも重なるものでした。

照明・音楽・大型オブジェが一体となった迫力満点のパフォーマンス▲照明・音楽・大型オブジェが一体となった迫力満点のパフォーマンス

ショーの魅力は、その迫力だけではありません。侍や忍者など、海外の方が「日本」と聞いてイメージするような要素が一通り盛り込まれており、エンタメショーとして「海外の人が見たい日本の姿」を凝縮している印象を受けました。海外の人が抱く「日本らしさ」をあえてストレートに表現しているからこそ、国籍や年齢を問わず楽しめるコンテンツになっているように感じます。

レビューでは「日本にいながらまるで海外のエンタメを観ているよう」「カオスだけど愛くるしい」といった声が多く見られ、その独自の世界観を楽しんでいる様子がうかがえます。

シーンごとに異なる世界観が展開され、最後まで飽きることなく楽しめる▲シーンごとに異なる世界観が展開され、最後まで飽きることなく楽しめる

 

幕間の休憩が、満足度と客単価を高める時間に変わる

構成として特徴的だったのは、数分のショーが終わるごとに一旦幕が閉じ、休憩時間が挟まれるスタイルです。この時間にドリンクやショーに関連するお土産を追加で注文する参加者も多く、客単価を上げる工夫としてうまく機能しているように感じました。

一見、幕間で集中力が途切れてしまいそうにも思えますが、実際には一緒に来た人と感想を語り合う時間にもなっており、結果的に最後まで飽きずに楽しめる構成になっています。ダンサーの振り付けや和太鼓の生演奏のクオリティの高さを評価する声が多いのも、各ステージが数分単位でテンポよく展開される構成だからこそ、観客が集中して観られるという側面もありそうです。

アレルギー情報をピクトグラムで表示。海外ゲストにも分かりやすい工夫が施されている▲アレルギー情報をピクトグラムで表示。海外ゲストにも分かりやすい工夫が施されている

 

スタッフの気さくな声かけが、初訪日でも安心できる空間をつくる

会場全体の盛り上がりも印象的でしたが、それ以上に印象に残ったのがスタッフの対応です。とてもフレンドリーで気軽に話しかけられる雰囲気があり、休憩中にスタッフと談笑している参加者も多くいました。

口コミでも「スタッフがみんな信じられないほどフレンドリーで親切」といった声が多く見られます。初訪日の旅行者や海外からの友人を案内する際も、安心して楽しめるスポットだと感じます。

 

「誰もが直感的に楽しめる」をどう実現するか SAMURAI RESTAURANTの集客戦略

体験を終え、SAMURAI RESTAURANTの運営担当者にもお話を伺いました。同施設は2023年10月、海外からの客に向けて、日本独自のスタイルや文化と現代的な感性を融合させたショーとしてスタートしたといいます。

運営担当者によると、SAMURAI RESTAURANTは、歌、ダンス、生バンド演奏、映像、ライティング、衣装など多彩な要素を融合させたライブエンターテインメントとして、国籍や年代を問わず、誰もが直感的に楽しめる構成を目指しているとのことです。

また、「伝統的なジャパニーズエッセンスを取り入れながら、言語の壁を越えて楽しめる体験型エンターテインメントとして再構成している」との言葉からは、本物の日本文化とエンタメのバランスを重視している姿勢がうかがえます。こうした考え方が、幅広い層に受け入れられる鍵になっているようです。

侍や忍者など、日本らしい世界観を現代的な演出で表現するステージ▲侍や忍者など、日本らしい世界観を現代的な演出で表現するステージ

参加者の中心は訪日外国人旅行者で、北米、ヨーロッパ、オーストラリアからの参加が多いものの、アジア圏やロシア、南米、アフリカなど世界各国から幅広く集客しているとのこと。参加者の年齢層が幅広いうえ、1名から夫婦、カップル、友人同士、団体ツアーまで、様々な参加形態に対応しているといいます。筆者が午前中に訪れた際も欧米豪の旅行者が中心だったことを踏まえると、平日・時間帯を問わず、幅広い客層を取り込めている印象を受けました。

予約経路については、公式サイトに加え、GetYourGuide、Headout、Klook、KKday、楽天といった各種OTAや旅行会社を活用。予約比率は時期によって変動はあるものの、公式サイトとOTA・旅行会社経由がおおよそ半々で、幅広いチャネルから予約が入っているといいます。特定のチャネルに依存しない集客の分散が、安定した集客につながっているようです。

想像以上の迫力あるステージ、そして休憩を挟みながらテンポよく展開する構成。実際に足を運んでみて、SAMURAI RESTAURANTが単なる派手なショーではなく、細部まで計算されたエンターテインメントであることを実感しました。新宿を訪れる旅行者にとって、まさに「クレイジーで最高」な東京の時間を体験できるスポットといえるでしょう。

 

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