インバウンドコラム
2026年の中国・国慶節(建国記念日)大型連休が近づいています。国慶節連休は10月1日から7日までの7日間ですが、中秋節から休みを取ると最大13連休になります。
例年であれば訪日インバウンドの最盛期の一つとなるこの時期ですが、対日旅行市場は2025年11月以降マイナス傾向が続いていて、2026年1〜7月期の中国本土からの訪日客数は前年比56.3%減と厳しい局面を迎えています。
今回は、2026年の中秋節・国慶節における中国人の最新の旅行動向や人気の渡航先、さらに訪日需要の現状について、最新の各種レポートやデータをもとに解説します。

2026年国慶節は最大13連休、旅行需要拡大と時期分散が鮮明に
2026年国慶節のスケジュール
2026年の秋は、中秋節と国慶節の日程が近接しています。中国国務院が発表した正式な祝日スケジュールは以下の通りです。
中秋節: 9月25日(金)〜 9月27日(日)(3連休)
国慶節: 10月1日(木)〜 10月7日(水)(7連休、振替出勤日は9月20日と10月10日)
2つの連休に挟まれた9月28日(月)〜30日(水)の3日間に有給休暇を取得すると、9月25日(金)から10月7日(水)まで最大13連休となります。中国では、こうした休暇の取り方を「3日間の休暇取得で13連休」を意味する「請3休13」と呼んでいます。
旅行需要拡大、航空券予約50%増・ホテルほぼ倍増
中国OTAのCtripによると、中秋節・国慶節に向けて旅行需要が拡大しています。8月25日時点で、この期間の航空券予約数は前年同期比で約50%増加。ホテル予約数はほぼ倍増したといいます。
Airbnbのデータでも、同期間の海外旅行の検索数は2026年の労働節(5月)休暇の約3倍となり、平均旅行日数は7日に達しました。また、宿泊予約の約4分の1が中秋節と国慶節に挟まれた9月28日〜30日に集中し、3日間の休暇取得によって旅行期間を延ばす動きがみられます。
旅行需要が分散、出発・移動は「3つのピーク」
中国の大手旅行会社である廣之旅や、大手OTAの去哪兒(Qunar)の分析によると、2026年は出発時期が大きく3つに分かれています。
第1波(9月25日〜26日): 「請3休13」を活用し、10日以上の長距離海外旅行や遠方への旅行に出発する層
第2波(10月1日):国慶節当日に出発するファミリー層を中心とした近距離・定番旅行
第3波(休暇中盤〜連休後): 混雑を避ける「錯峰遊(ピーク外し旅行)」層
Qunarのデータによると、こうした需要分散に伴い航空運賃にも変化がみられます。9月27日〜10月1日の平均航空運賃は過去3年間の同時期で最も安い水準となり、人気路線の一部では前年より10%以上安くなりました。
帰路も例年は連休最終2日間に集中していましたが、2026年は10月4日〜7日に分散しています。10月4日の平均航空運賃は前年の帰路期間の平均より20%以上安く、需要の分散とともに航空券価格も低く抑えられています。
また、国慶節に入る前から混雑を避ける動きもみられます。中国旅行サイトの途牛旅遊網によると、夏休み終了後から中秋節・国慶節の旅行ピークを迎える前の9月上旬〜中旬は、50歳以上のシニア層がオフピーク旅行の主力となっています。国内の長距離旅行、海外旅行ともに、50歳以上の旅行者が50%超を占めています。

2026年国慶節の人気旅行先、欧米豪からアジア近隣国まで多様化
中国の大手旅行会社、廣之旅が発表した「2026年国慶節海外旅行動向レポート」などによると、欧米豪などの長距離旅行から、ビザ免除国、アジア近隣国まで幅広い旅行先が挙がっています。
欧米・豪州など、移動時間を要する旅行先にも人気
まとまった休暇を取りやすい2026年は、移動時間を要する海外の旅行先も選ばれています。
人気の旅行先: イギリス、フランス、イタリア、ロシア、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど。
一方、Ctripのデータでは、イタリア、スペイン、ギリシャなどの南欧諸国に加え、スイスの人気も上昇しています。また、オーストラリアも引き続き人気が高く、グレートバリアリーフ中央部に位置するリゾート地、ウィットサンデー諸島などで前年から大幅な伸びがみられます。
ビザ免除など渡航手続きがしやすい旅行先で需要増、予約300%増も
ビザ免除やビザ発給要件の緩和など、渡航手続きが比較的簡易な国でも旅行需要が伸びています。
人気の旅行先: トルコ、エジプト、モロッコ、ジョージア、セルビア、東南アジア諸国など。
トルコやエジプト、モロッコといった渡航手続きが簡易な長距離目的地では、中秋節の第一弾ツアーや国慶節のピーク外し旅行の予約数が前月比で約300%増加しました。
また、東南アジアのビザ免除国は、渡航のしやすさやコスト面から、ファミリー層を中心とした中短期旅行の選択肢となっています。

韓国やベトナムなどアジア近隣国も選択肢に
一方、移動時間や費用を抑えやすいアジア近隣国も選ばれています。
人気の旅行先: 韓国、ラオス、ベトナム、インドネシアなど。
なかでも韓国は、中国人旅行者の主要な旅行先として存在感を高めています。韓国観光公社によると、2026年1〜7月に韓国を訪れた中国人旅行者は399万人で、国・地域別では最多となりました。7月単月でも77万7000人と、2019年同月の149.6%の水準に達しています。
また、Ctripのデータでは、韓国の仁川・釜山、フィリピンのセブなど、これまで相対的に注目度の低かった目的地でも前年比で大きな伸びがみられます。
中国国内は大都市から地方ディープ旅へ、「奔県遊」が人気
中国国内でも大規模な移動需要がみられます。中国国鉄集団は、9月29日〜10月10日の12日間に、延べ2億1900万人を輸送する見込みです。
旅行先については、大都市の有名観光地だけでなく、地方の小さな町を訪れる「奔県遊(地方ディープ旅)」や田舎での滞在への関心が高まっています。

2026年国慶節の旅行スタイル、没入型旅行や海外ドライブが人気
Z世代は「観る旅」から自然・文化に入り込む「没入型旅行」へ
廣之旅やAirbnbのデータによると、Z世代を中心に、有名観光地を巡るだけでなく、自然や文化を深く体験する「没入型旅行(沉浸式体验)」への関心が高まっています。
Airbnbでは、イタリアを検索した旅行者の40%をZ世代が占めています。都市観光だけでなく自然への関心も高く、ハイキングやトレッキングを楽しめるドロミテ周辺の検索数は前年比最大3倍となったほか、インドネシア・ロンボク島も前年比2倍に伸びました。
廣之旅でも、文化体験や親子向けの学習体験、アウトドア探索などを組み込んだ深度体験型商品の予約数が前月比50%増となっています。
ファミリー層は一棟貸しなど「滞在型」を重視
廣之旅のデータによると、ファミリー層は国慶節初日の10月1日が出発のピークとなります。Airbnbなどのトレンド調査では、子どもや高齢者を含む家族旅行で、複数の客室を備えた一棟貸しヴィラやアパートメントの利用が目立ちます。
また、廣之旅では家族などで一つのグループを構成する「一家一団」商品の予約数が前月比約100%増となりました。
海外ドライブ旅行が前年比30%増、ニュージーランドは70%以上増
旅行スタイルでは、レンタカーなどを利用した海外でのドライブ旅行も伸びています。中国最大級の海外・国内向けオンラインレンタカー予約プラットフォームZuzuche(ツーツーチョー)が発表したデータによると、8月31日時点の国慶節連休中のドライブ旅行需要は前年比30%増となりました。
なかでもニュージーランドは70%以上、オーストラリアは40%以上増加しています。Airbnbのデータによると、オーストラリアではジェラルトン、バッセルトン、エスペランスなどドライブ旅行の目的地となる地方への関心も高まっています。

訪日中国人客は前年比56.3%減、航空便縮小もFIT需要は継続
中国全体の旅行意欲が高まる一方、訪日旅行は厳しい状況が続いています。
訪日中国人客は1〜7月に56.3%減、航空路線も縮小
JNTOの訪日外客数データによると、2026年1〜7月の中国本土から日本への訪問客数は前年同期比56.3%減と、半数以下に落ち込みました。
航空路線も縮小しています。中国の航空データサービス、航班管家DASTによると、2026年8月時点では日中間の18路線が全便運休。日本への航空便の欠航数は1120便、欠航率は30.1%でした。便数の減少に伴って中秋節・国慶節期間の日中路線の航空券価格が上昇していることも報じられています。
訪日市場は低迷も、リピーター・若年FITの動きも
一方、中国人の訪日旅行需要が完全に途絶えたわけではありません。Airbnbが発表した「2026年国慶節連休アウトバウンドトレンド」では、日本は中国人旅行者の海外旅行先トップ10で5位に入っています。
また、Dragon Trailの旅行業界関係者への調査では、大型団体ツアーが減少する一方、日本へのリピーターや若年層などによる個人旅行の需要が引き続きみられます。実際に、中国現地の旅行会社でも、国慶節に向けて自由度の高い個人旅行者向け訪日プランや、日本と韓国を組み合わせた周遊商品などが販売されています。
さらに、日本では2026年11月から訪日外国人向け免税制度がリファンド方式に移行する予定です。日本旅行情報を発信する中国のWeChat公式アカウント「乐游霓虹」では、2026年の国慶節を、現行の店頭での即時免税を利用できる最後の機会として紹介しています。
【編集部コメント】
国慶節の旅行行動に変化、旅行者層ごとのニーズに注目
2026年の国慶節では、旅行時期や目的地、旅行者層によって旅行行動の違いが鮮明になっています。
訪日市場では厳しい状況が続く一方、一部データでは日本が海外旅行先の上位に入っています。自然やアウトドア、地域文化などへの関心が高まるなか、個人旅行者のニーズを捉えた地方誘客や体験コンテンツの発信が一層重要になりそうです。
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