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欧米アジアのエンタメ消費、ローカル・リアル回帰が鮮明に。Z世代は効率重視 ーEY調査

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クルーズ、テーマパーク、スポーツイベント、カジノやリゾートなどのエンターテインメント業界を対象としたEY(アーンスト・アンド・ヤング)の最新調査「Media & Entertainment Pulse Poll」によると、世界経済の不確実性が続く中でも、消費者はローカルかつリアルな体験を求める傾向を強めていることが分かった。

この調査は2025年4月、米国、英国、西ヨーロッパ、アジア太平洋地域の4,000人超を対象に実施された。

「地元」と「生の体験」への支出が増加傾向

過去1年間にローカルエンターテインメントに参加したと回答した人は全体の48%、ライブエンターテインメントは46%に達した。今後1年でこれらへの支出を増やす予定と答えた人も、それぞれ21%と一定の需要拡大が見込まれている。

ローカルエンターテインメントとは、自宅や職場周辺など、遠出せず日常の延長で気軽に楽しめる娯楽のことで、映画館や地域イベント、ショッピングモールでの催しなどが挙げられる。

とりわけアジア太平洋地域では、テーマパーク人気が顕著で、74%が「今後12カ月以内に訪れる予定」と回答。これは世界平均の65%を大きく上回った。

デジタル技術が体験の質を底上げ

体験の満足度を左右する要素として、あらゆる世代の消費者が「テクノロジーの利便性」を重視している。とくに支持を集めたのは、デジタルチケット、地図・ナビゲーション機能、非接触型決済・チェックインの3つだ。

Z世代では、テーマパークにおける優先入場パスやファストパスの利用意向が66%にのぼり、全体平均の59%を上回るなど、よりスムーズな体験への期待が高い。

「コスト」と「費用対効果」が選択基準のトップに

エンターテインメントの選択で最も重視されているのは「総コストとその価値」で、59%が最優先項目として挙げた。次いで多かったのは「価格の高さによる制約」(52%)と「混雑・待ち時間」(42%)で、金額に加えて快適さ・効率性も重要な判断軸となっている。

プレミアム体験には一定の支持

過去1年でテーマパークやクルーズ旅行を利用した人のうち、49%がアップグレードやプレミアムオプションを購入。その56%が「追加料金に見合う価値があった」と評価している。

地域別では、アジア太平洋の消費者がプレミアムパッケージへの支出意欲で他地域を上回っており、テーマパーク(59%)、スポーツイベント(42%)、ライブエンタメ(37%)で特に顕著だった。

世代ごとに異なる重視ポイントも明確に

Z世代は、テクノロジーや効率性への関心が高く、テーマパークでの優先パス購入意欲が他世代よりも強い。また「清潔さ」を重視する割合も27%と全体平均の21%を上回った。一方、他世代でも利便性に対する認識は共有されており、体験設計の際には世代間の価値観の違いを踏まえる必要がある。

今回の調査は、消費者がより地域に根ざした、リアルで質の高い体験を求めている実態を裏付けている。とりわけアジア太平洋地域では、プレミアムサービスやスムーズな体験へのニーズが高く、テクノロジーの導入はもはや必須の条件となっている。観光事業者にとっては、価格だけでなく「価値」や「体験の質」をどう設計するかが競争力の鍵となる。

出典:EY「Media & Entertainment Pulse Poll

 

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