インバウンドコラム

水際対策緩和の台湾と香港、リベンジ旅行一番人気は「日本」。航空券購入でアクセス殺到

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台湾と香港は、アジアの中でも比較的厳格なコロナ対策を講じてきた2地域だが、新型コロナウイルスの感染状況が改善されてきていることや、経済を支えるための国際的な往来の重要性などから、2年以上ぶりに国境を再開する動きが見られる。日本も時期を同じくして水際対策の緩和を発表したため、両地域と日本との往来が活発化する動きが見られる。今回は台湾と香港の状況と訪日規制緩和発表を受けた両地域の動向を紹介する。

 

台湾、香港が入境時の「強制隔離」を撤廃

台湾は9月29日より、日本を含む11カ国からの入境時のビザ免除措置を再開した。同日より、入境者数の上限を週5万人から6万人に引き上げ、台湾入境時に義務付けられていた唾液のPCR検査を廃止。さらに、入境後3日間の強制隔離も撤廃した。現在は3日間の居家検疫と4日間の自主防疫を実施し、どちらも「1人1室」の条件を満たした家族または友人宅で行うことが認められる。ただし、条件を満たさない場合は防疫ホテルで検疫を行う。居家検疫期間は外出できないが、自主防疫期間は2日以内に行った抗原検査で陰性を確認できれば、仕事や生活必需品の購入のために外出できる。10月13日以降はさらに緩和され、7日間の自主防疫のみに切り替わるほか、入境者数の上限を週15万人に拡大する。

香港政府は9月26日より、入境後の強制隔離を撤廃した。これまでは中国の「ゼロコロナ」に追随する政策をとってきた香港だが、新型コロナウイルスの感染状況が改善されたことや今後国際的なイベントが続くことなどから、強制隔離の撤廃に踏み切った。これまでは入境後3日間の強制隔離と、4日間の自主隔離が義務付けられていたが、同日より入境後3日間の自主隔離のみに緩和された。自主隔離期間は飲食店に入れず、入境から6日目までに4回PCR検査を受ける必要があるが、基本的には自由に行動できる。

 

外国人観光客からの予約殺到の台湾、海外旅行への機運も高まる

台湾政府が水際対策の緩和を発表したことを受け、台湾のホテル業界には、外国人観光客からの予約が殺到しているようだ。コロナ禍の2年以上の間に多くのホテルではスタッフが離れてしまったが、徐々に人材を戻し、外国人観光客を受け入れる準備を整えている。

台湾人の海外旅行への機運も高まり、パスポートの申請をしようとする人々が外交部領事事務局に詰めかけた。同局の統計によると、昨年1年間で発行されたパスポートは23万件だったのに対し、今年は現在までに36万件発行されているという。

台湾の旅行各社には海外旅行商品への問い合わせが相次ぎ、中でも日本は人気が高い。「フォーカス台湾」の調べによると、台湾の大手旅行代理店ライオントラベルの団体旅行商品では日本の人気が最も高く、予約の約49%を占め、欧州が19%、東南アジアが8%と続く。航空券の販売は、大阪と東京が上位となったそうだ。旅行予約サイトクルック(Klook)の検索でも日本が上位の目的地となり、リベンジ旅行への盛り上がりがこの先も続くとの見方を示しているという。

台湾では早ければ10月13日から海外団体旅行の催行と受け入れを2年半ぶりに解禁する予定で、日本も10月11日から1日あたりの入国者数の上限を撤廃し、ビザなし入国や個人旅行が再開されるため、台湾の旅行会社各社は日本行きの団体旅行やフリープランの販売を準備している。

日台間の水際対策緩和の発表を受け、台湾の中華航空(チャイナエアライン)やLCCのタイガーエア台湾は、10月より日本路線を増便すると発表した。タイガーエアでは、税抜で片道88元(約400円)の日本行き航空券の販売を発表したところ、システムがダウンするほどアクセスが集中するなど、早くも盛り上がりを見せている。

 

香港ではパスポート更新や航空会社サイトにアクセス殺到、航空券高騰も

香港でも、政府が強制隔離の撤廃を発表したことを受け、パスポート更新手続きの予約サイトにアクセスが殺到し、一時パンク状態となっていたことが明らかになった。また、多くの香港市民が航空券の予約を行い、香港エクスプレスではホームページにアクセスが殺到し、フライト検索や予約には時間がかかるとのメッセージが表示されるほどだったという。

香港人の「リベンジ」旅行の人気目的地である日本行きの旅行商品や航空券にも予約が殺到し、10月半ばの「香港=東京」往復のエコノミークラスの運賃は8000香港ドル〜1万2000香港ドル(約14万7000円〜22万円)まで急騰。11月、12月にはさらに値上がりすると見られている。

香港からの訪日観光客は、日本のテレビ番組の取材に対して1日で100万円を使ったと話し、1週間の滞在期間で「500万から600万ぐらいを使う予定」と語った様子が放送された。

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