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2026年1-3月インバウンド消費2.3兆円、中国半減で台湾首位 欧米豪は単価40万円超えも

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観光庁は2026年4月15日、2026年1-3月期の「インバウンド消費動向調査(1次速報)」を発表した。それによると、訪日外国人旅行消費額は2兆3378億円(前年同期比2.5%増)と推計され、第1四半期として過去最高を更新した。1人当たり旅行支出(一般客)は22万1363円だった。

 

消費額は過去最高も伸び率2.5%、回復から安定成長へ移行

2026年1-3月期のインバウンド消費額は、前年同期の2兆2803億円から増加し、2兆3378億円と引き続き拡大基調にある。ただし、伸び率は2.5%増と緩やかになっており、急激な回復期を経て「安定成長」へ移行しつつあることがうかがえる。

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台湾が総消費額で首位、中国は客数半減で消費額50%減と急落

国・地域別の旅行消費額では、台湾が3884億円(構成比16.6%)でトップとなり、次いで韓国が3182億円(同13.6%)と続いた。

特筆すべきはこれまでトップにあった中国の動向だ。中国の消費額は2715億円と上位を維持しているものの、前年同期比で50.4%減と大幅に落ち込んだ。中国の1人当たり旅行支出は25万9120円(同0.5%増)と微増している一方で 、訪日外客数自体が104.5万人(同50.3%減)と半減していることが、総額を押し下げた主因となっている。


米国(同16.6%増)やオーストラリア(同20.7%増)は二桁成長となり、中国減少分を他市場が補完する形へとシフトしている。

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伸び率では、ベトナム(同71.3%増)、スペイン(同64.0%増)、ドイツ(同59.6%増)などが大きく伸長した。

特にベトナムは、1人当たり旅行支出が37万7458円(56.6%増)と急増しているが、その要因は滞在期間にある。平均泊数は63.8泊(前年同期差23.3泊増)と全地域で群を抜いて長い。その結果、1人当たりの宿泊費は19万7976円と全地域で最高額を記録した。これは純観光客だけでなく、実習生や親族訪問など長期滞在層による消費が総額を押し上げている可能性が高い。

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宿泊費は36.7%に拡大、買物代は減少、支出配分の変化続く

費目別構成比から、旅行支出の配分に変化が見られる。

2026年1-3月期の宿泊費の構成比は36.7%に達し、前年同期(33.5%)から3.2ポイント増。ホテル価格の高騰や滞在の長期化が影響していると考えられる。一方で、買物代は25.2%で、前年同期(29.4%)から4.2ポイント減少。宿泊費の構成比上昇と買物代の低下が同時に見られ、滞在コストの上昇や支出志向の変化などが影響している可能性がある。

飲食費(22.9%、前年同期比0.6ポイント増)と交通費(10.1%、前年同期比0.1ポイント増)、娯楽等サービス費(5.1%、同0.4ポイント増)は増加している。娯楽等サービス費は、オーストラリアが1人当たり4万4583円を費やすなど、高付加価値な体験へのニーズが一部市場で顕著だ。



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1人当たり支出は欧米豪が40万円前後で高水準

1人当たり旅行支出(一般客)は22万1363円(0.6%減)で、平均泊数は10.3泊(1.3泊増)だった。訪日客数の増加によって消費総額は押し上げられている一方で、1人当たりの消費額は横ばい圏内で推移しており、単価の伸びは鈍化している。

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なお、国、地域別ではフランス(40万7759円)やオーストラリア(40万4298円)、ドイツ(39万8753円)など欧米豪市場の単価が高い傾向が続いている。

費目別(全目的)では、宿泊費はベトナム、飲食費はスペイン、交通費はドイツ、娯楽等サービス費はオーストラリア、買物代は中東が最も高い。

一方、観光・レジャー目的に限定した場合、1人当たり旅行支出は21万2682円で、前年同期比4.2%の減少。平均泊数は6.8泊(0.1泊減)だった。

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1人1泊あたり支出は香港が最高、東アジア市場が高水準

訪日消費の効率性を見るため、インバウンド消費額トップ5市場(中国、韓国、台湾、香港、米国)の1人1泊当たりの旅行支出を比較すると、全目的(観光・レジャー+業務渡航なども含む)での平均は2万1390円だった。

市場別では、香港(3万6691円)が最も高く、中国以外の4市場は平均を上回った。

観光・レジャー目的に絞ると、平均は3万1321円と全体平均より約1万円高く、韓国を除く4市場が平均を上回った。

【編集部コメント】

中国依存低下と単価戦略の再設計が次の焦点

消費額は過去最高を更新しつつも伸び率は鈍化し、市場は回復期から安定成長へ移行している段階である。中国依存からの構造転換や、宿泊費増・買物代減に見られる消費配分の変化は、収益源の見直しを迫る材料となる。この変化をどう捉えるか。どの市場に注力し、どの体験価値で単価を高めるのか、自社の戦略と照らして考える余地がある。

【本調査の対象国・地域に関する注記】
2026年調査より、新たにメキシコ、北欧、中東が調査対象国として追加された。

北欧: スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランドを含む。

中東: サウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーン、オマーン、カタール、クウェート、トルコ、イスラエルを含む。 

※2025年以前の調査では、上記市場は「その他」に含まれていたため、前年比較の際にはこれらの区分変更に留意したい。

(出典:インバウンド消費動向調査2026年1-3月期

 

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