データインバウンド
レンタカーで北海道ドライブ旅行を楽しむ訪日外国人、彼らが向かった場所とは?
2019.05.27
刈部 けい子北海道を訪れる観光客が移動する際の交通手段として、日本人の場合はレンタカーを利用する人がもっとも多いそうだ。それに比べると訪日外国人の場合はまだ、観光バスや鉄道の移動が多いが、レンタカーを利用する人も増えてきており、特にリピーターはレンタカー利用が多い。そこで今回、国土交通省北海道開発局はナビタイムジャパンのアプリ「Drive Hokkaido!」によるGPSデータから、外国人ドライブ観光客の北海道での行動を分析した。
レンタカー利用客トップ3はシンガポール、香港、タイ
2018年に北海道で外国人が利用したレンタカーは9万908台で、その2.8%に当たる2540人のデータを取得。国・地域別ではレンタカー利用者と同様、シンガポール、香港、台湾、タイ、マレーシアの順に多く、このアジア5カ国で全体の76.3%を占めた。ちなみに6位はオーストラリアだったが、これら6カ国のうち台湾を除くと全て日本と同じ左側通行であるということも、レンタカーを利用しやすい要因の一つと言えるだろう。
それではデータの分析結果をみていこう。まず、外国人ドライブ観光客は公共の交通手段では訪問が難しい地域を含めて、北海道の各地を広く周遊するため、外国人観光客全体と比べるとより地方部を訪れていることがわかった。
上のグラフにもあるように、外国人ドライブ観光客の宿泊地を見ると、札幌市などの道央圏とあまり変わらない割合で、地方部にも宿泊していることがわかる。下の外国人旅行者全体のグラフ(前年のデータになるが)では、道央圏での宿泊が7割を超えているので、その差は一目瞭然だ。ちなみに、道北圏は上川・留萌・宗谷、道南圏は渡島・檜山、オホーツク圏は網走を指す。
また、季節別では、1〜3月期は倶知安町やニセコ町を含む後志地域(道央圏)の割合が高いが、地方部への宿泊割合が最も高くなる(48.8%)4〜6月期は特にオホーツク圏、道南圏の割合が高く、7〜9月期は美瑛・富良野エリアを含む道北圏の割合が高い。これをみると、雪、芝桜、桜、ラベンダーなどの観光資源がある地域での宿泊率が、その季節に応じて高くなっており、外国人ドライブ観光客の目的地が季節によって変化していることが推測できる。
ちなみに、アプリ情報の閲覧状況では観光スポットの閲覧が最も多かったのは7月だったが、4〜5月は季節の花のスポットの閲覧数が多く、特に5月はオホーツク圏の芝ざくら滝上公園、東藻琴芝桜公園の閲覧が多かった。
宿泊日数も増えるドライブ客
外国人ドライブ観光客と全外国人観光客の平均宿泊数をみると、外国人ドライブ観光客の平均が5.19日で、全外国人観光客の平均よりも2.48日も多く、やはりドライブで広範囲に旅行するため宿泊日数も多くなっているのがわかる。
国・地域別でドライブ観光客の平均宿泊日数を比べると、シンガポール5.93日、台湾5.11日、香港4.81日に対し、韓国は3.38日と短い。それもあって、シンガポール、台湾、香港は道南や道東へ広く訪れているが、韓国は札幌市周辺及び美瑛・富良野エリア周辺に集中している。
また、来道経験なし・来道回数1回の地方部宿泊割合が45.6%であるのに対し、来道回数2〜5回51.9%、来道回数6〜9回51.2% と、リピーターになるにつれ地方部を訪れる割合が高くなることもわかった。
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