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旅行再開はいつから? ポストコロナの旅行意識調査7割が前向き。近隣から 3密避ける傾向に

2020.05.28

刈部 けい子

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政府は25日に緊急事態宣言を全面的に解除した。これからは新しい日常を意識して、コロナ収束へ向け、引き続き注意を怠ることなく生活していくことになる。

これに先立ち、熊本県観光協会連絡会議が、新型コロナウイルス収束後の旅行・観光に関する意識調査を行った。熊本地震の経験から「過剰に希望的でも悲観的でもない、現実的な見通しが事業者には必要」ということを学んだ熊本県観光協会連絡会議が、暗中模索の観光業者への何かしらの道しるべが必要からとの思いから実施したもの。

調査期間は4月27日~29日で、対象は日本全国の一般消費者、無記名でのWEBアンケート方式で行い、有効回答数は3247件。回答者属性は30~50代が多く、男性が55%だった。

収束時期予測は2020年夏頃

「収束時期の想定」については、最も多いのが「2020年夏頃」とした人で37%、「秋頃」が25%、「2021年春頃」が21%となり、多くが日本国内で感染症が収束し、外出自粛要請が解除されるのは夏以降と考えている。

遠方への旅行は当面控える

次に「行動(飲食店や飲み会、旅行)再開時期はいつから?」との質問には、旅行に限って見ていくと、近隣エリアへの旅行は外出自粛要請の解除後が34%と最も多かったが、「飛行機や新幹線を利用した国内旅行」と「海外旅行」はいずれも当面は控えると答えた人が最も多かった。「海外旅行」に関してはWHOから終息宣言が出た時点と答えた人が国内旅行と比べてダントツに多かった。

また、その他の意見としては国内旅行では、そもそも新幹線や飛行機を利用しないという回答が多数あり、帰省なら公共交通を利用してでも行くという意見もあった。海外旅行では相手国と日本の間の14日間の防疫隔離が解除されたとき、定期便が飛び始めたらといった意見もあった。

収束後の旅行先でも3密は避ける傾向

「旅行への意欲」は、「早く旅行に行きたい」が39%、「行きたいと思う」が35%と旅行に意欲を示す人が7割以上で、「旅行に行く気にはならない」が22%だった。また、「旅行情報の閲覧」に関しては、「自粛後の楽しみが増えるので歓迎」とするのが6割近かった。

また、収束後の旅行で「やりたいこと」は、「温泉やリゾートホテルでのステイ」が最も多く、「ご当地の食めぐり」「景勝地・神社仏閣巡り」「アウトドア(キャンプやトレッキングなど)が続いた。一方で、「避けたいこと」は「テーマパーク・遊園地」「都市観光」「屋内施設(美術館や博物館など)」などで、人が多く集まる場所へ出かけることを控える傾向が見られる。

「旅行先の選び方」については「特に気にしない(今までと変化なし)」が過半数を占めるが、「感染者が多かった地域は避ける」も15%いた。

外国人旅行者の受け入れに抵抗感も

最後に「自分の地域への旅行者の受け入れ」については、日本人旅行者については、「積極的に受け入れるべき」と「受け入れるべき」の合計が62%を占めるのに対し、外国人旅行者については44%にとどまり、抵抗感のある人が少なくないことがわかった。

この調査結果からは外出を自粛する生活が続いたため旅行意欲が高まっていること、ただし、海外を含む遠方への旅行は当面は控える人が多いこと、旅行先も3密を避けるため自然や開放感のある場所が好まれるのがわかった。

政府は、国内旅行に関しては6月19日から容認の方針だが、現状は新型コロナウイルス感染症が収束したと言い切れる状態ではなく、国内旅行についても、いわゆるマイクロツーリズムと呼ばれる県内をメインにした旅行から徐々に拡大していくという形になりそうだ。

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