データインバウンド
AI時代にリアル回帰が加速、約8割が現地体験を重視。7割超がオンラインを起点に旅行行動へ
2026.04.30
やまとごころ編集部生成AIの進化により、テキストや画像、動画は瞬時に生み出される時代になった。膨大なデジタルコンテンツが日常に浸透し、情報が画面内で完結する場面も増えている。一方で「実際にその場に身を置くこと」の価値が、これまで以上に強く意識されるようになっている。
デルタ航空が9カ国*・約9000人を対象に実施したグローバル調査「Connection Index」は、テクノロジーの進化がもたらしたこの変化を浮き彫りにする。ここでは、この調査結果から、現代の旅行者が何を求めているのかを読み解いていく。
*米国、カナダ、メキシコ、ブラジル、英国、イタリア、南アフリカ共和国、韓国、日本の9カ国
AI時代に高まる現地体験価値、79%が実体験の重要性を認識
AIによってコンテンツの生成や加工が容易になるにつれ、「何が本物か」を見極めることは難しくなっている。その結果、79%の旅行者が「AIによるコンテンツが増えるほど、実際に現地で体験することにより大きな意味を感じる」と回答した。特に韓国(88%)やカナダ(87%)ではその傾向が顕著だ。
デジタル上でいかに精緻な再現が可能になっても、その場でしか得られない刺激や、予測できない出来事との出会いは代替できない。旅行は、画面越しでは触れられない現実に直接向き合う行為として、改めて位置づけられつつある。
オンラインでの発見が旅行動機に、73%が現地体験へ行動
デジタルの普及は、旅行需要を減少させていない。むしろ、デジタルはリアルな体験への強力な「ゲートウェイ(入り口)」として機能している。調査では、73%の旅行者が「オンラインで見つけたものを、実際に体験するために旅行する」と答えた。
動画やSNSで興味を持った場所や文化、出来事を、実際に自分の目で確かめに行く。スクリーン上で見つけた情報では完結せず、現実世界への行動動機へと転換されている。とりわけミレニアル世代やZ世代ではこの傾向が強く、デジタルとリアルは対立するものではなく、連続した体験として捉えられている。
80%が「つながり」を重視、旅行は孤独を和らげる手段に
パンデミックを経て、世界的に深刻な課題となっているのが「社会的孤独」である。本調査では、旅行が娯楽を超え、メンタルヘルスや社会的つながりを補完する「自己投資」としての性格を強めていることが示された。
80%の旅行者が「旅は新しい人とつながり、孤独を和らげる重要な方法である」と回答し、実際に83%が「旅先で出会った人とその後も連絡を取り続けている」と答えた事実は注目に値する。
非日常環境では、見知らぬ人との心理的距離が縮まりやすい。旅行は単なる移動ではなく、人間関係が生まれる場として機能している。
また、37%の旅行者が「旅行によって友人関係が広がった」と回答しており、既存の関係だけでなく、新たなつながりの創出にも寄与している。
84%が「世界とつながりたい」、Z世代で特に強い移動意欲
さらに、人々は世界状況に関わらず、移動し、他者と関わりたいと考えている。
調査では、84%が「世界で何が起きていても、新しい場所や人とつながりたいという強い欲求がある」と答えている。特にZ世代やミレニアル世代でその傾向は強い。移動は単なるレジャーではなく、世界との接点を持つための基本的な行動として捉えられている。
日本は現地体験重視が54%にとどまる、内向き志向の傾向も
AI時代の対面体験の価値について、世界平均が79%であるのに対し、日本は54%と調査対象国の中で最も低い水準となった。一方で、日本の旅行者は他国に比べて、SNSでの共有よりも個人的な経験を重視する傾向がある。
この結果から、日本では「他者に見せる体験」よりも「内面に残る体験」が重視されている可能性が示唆される。リアル志向のあり方も、一様ではないことを示している。
【編集部コメント】
航空会社が担う役割、「移動」から「接続」へ
デルタ航空が提示した「Connection Index」は、同社が自らの役割をどのように捉えているかを示している。それは単なる移動手段の提供ではなく、人と人、場所と人を結びつける「接続」の担い手であるという位置づけだ。
テクノロジーによる効率化が進むほど、人はあえて時間と手間をかけて現実に触れようとする。旅行とは、情報では得られない何かを確かめに行く行為であり、その価値はむしろ高まっている。
今後の観光産業において問われるのは、デジタルでは置き換えられない体験をいかに提供できるか。その質が、競争力を左右する要素になっていくだろう。
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