データインバウンド
世界217の国・地域で海外渡航制限続く、観光依存度が高い国では9割が国境閉鎖 —UNWTO報告
2020.06.05
刈部 けい子国連世界観光機関(UNWTO)は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する世界の渡航制限状況について新たなリポートを発表した。
5月29日発行の第4版リポートによると、世界217カ国・地域でいまだなんらかの渡航制限が行われている。また、全体の3%にあたる7カ国・地域では海外への渡航制限の緩和が行われ、国境再開を検討している国もあるとのことだ。
国境封鎖は185カ国・地域で実施
一番厳しい渡航制限は国境封鎖だが、5月18日時点で185カ国・地域で国境の完全封鎖または部分封鎖が行われている。前回の記事でも紹介したように、4月27日の時点では166カ国・地域だったので、19増えていることになる。アフリカのブルンジ、エリトリア、シエラレオーネ、ガンビア、中東のイラン、シリア、中米のプエルトリコ、ニカラグアなどだ。185カ国・地域のうち、完全封鎖をしているのは163カ国・地域(前回は156)で、部分封鎖も22カ国・地域と前回よりも12増えている。
グラフにあるように、地域別の渡航制限の内訳は、観光客に対し国境を完全または部分的に封鎖している国・地域の割合が最も多く、全体で85%、ヨーロッパで93%、北中南米と中東で92%、アフリカが79%、アジア・太平洋地域が74%となっている。前回の4月27日発表時と変わらないヨーロッパを除き、いずれの地域も増えており、特にアジアやヨーロッパより遅れて新型コロナウイルス感染拡大が始まった地域での増加(アフリカが19ポイント、中東が15ポイント、北中南米が10ポイント)が目立つ。

観光依存度が高いほど渡航制限も厳格
217カ国・地域のうち、すでに14週間の渡航制限を行なっているのが全体の24%にあたる51カ国・地域で、全体の37%にあたる80カ国・地域でも渡航制限が10週間続いている。こうなると経済への負担が大きくなることが懸念される。海外渡航者への国境の開放は世界的なツーリズム産業の回復に欠かせないが、国際観光への依存度が高い国にとってはより重要となってくる。
今回のレポートで注目したいのは、渡航制限と各国経済の観光業への依存度との関連性だ。UNWTOは各国のツーリズム産業がGDPに占める割合を、「低、中、やや高い、高」の4つに分け分析している。依存度の低いところでは国境封鎖とそれ以外の手段の割合は7対3だが、高いところでは国境閉鎖が9割近い。つまり観光依存度が高いところほど、国境閉鎖をしていることがわかる。
具体的には以下の通りで、特に発展途上の小さな島国では85%が国境を封鎖している。
■低(25カ国・地域:アフリカ10、南北中米5、アジア太平洋4、ヨーロッパ5、中東1)
■中(80カ国・地域:アフリカ19、南北中米14、アジア太平洋11、ヨーロッパ28、中東8)
■やや高い(47カ国・地域:アフリカ12、南北中米10、アジア太平洋11、ヨーロッパ10、中東4)
■高(29カ国・地域:アフリカ3、南北中米14、アジア太平洋6、ヨーロッパ6)
これからホリデーシーズンを迎える北半球ではとくに、渡航制限の緩和はすぐにも検討・実施したいところだろう。国境の封鎖解除に関してはすでにいろいろ議論が行われているが、詳細については新型コロナに関するコラム『世界の動き』シリーズを参照されたい。

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