データインバウンド
進化する世界の旅行者ニーズ、アドベンチャーからスロートラベルまで2025年の注目トレンド ーヒルトン調査
2024.11.14
やまとごころ編集部ヒルトンが「2025年版グローバル・トレンド・レポート」を発表した。このレポートは、今後1年以内に旅行を予定している13カ国(オーストラリア、ブラジル、中国本土、ドイツ、インド、日本、メキシコ、サウジアラビア、シンガポール、トルコ、アラブ首長国連邦、英国、米国)の成人1万3000人に実施したアンケート結果、ヒルトン従業員4100人の予測、さらに旅のエキスパートへのインタビューから得たデータを基にしている。来年の旅行に関する4つのトレンドとして、アドベンチャートラベル、スリープツーリズム、タイムトラベル、スロートラベルが浮かび上がった。それぞれのトレンドについて見ていこう。
(図版出典:2025 Hilton Trends Report)
アドベンチャートラベルでユニークな体験
「アドベンチャートラベル」という言葉自体は、観光業界ではすでに馴染み深いが、2025年はさらに多くの旅行者がスリリングでユニークな体験を求め、唯一無二の冒険を楽しもうとする傾向が強まるとされている。調査では、旅行者の69%が旅先でアクティビティを満喫し、76%が滞在中に多様な体験を提供する宿泊施設を選ぶ意向を示している。また、4人に1人がユニークな体験を望み、5人に1人がアウトドア・アドベンチャーを目的に挙げた。2024年7月に実施したヒルトン従業員への調査でも、88%が「ゲストは滞在先でユニークな体験や冒険を求めている」と回答している。
多世代旅行の増加により、アドベンチャートラベルの需要はさらに高まっているといえるだろう。回答者の37%が両親と休暇を取り、5人に2人が親戚を招待すると答えている。特にインド、メキシコ、サウジアラビアでこの傾向が顕著だが、すべての世代が満足する旅行プランを立てるのは容易でない。家族の旅行プランナーは、全員にとって特別な冒険や一生に一度の体験を提供できる場所を探し求めている。
スリープツーリズムとスリープ離婚
今年はスリープ・ツーリズムの人気が急上昇し、 睡眠リトリートに関する話題がメディアを賑わせた。それほど、世界の人々は睡眠不足を実感しており、リラックスして、十分な睡眠をとる時間を見つけようとしているのだ。この傾向は2025年も続くだろう。調査では、半数近くが休暇中に目覚ましアラームを使わないと答え、5人に2人が睡眠環境の整ったホテルを選んでいる。また、25%以上が睡眠の質を向上させるためにスパやボディケアを予約するという。
さらに、旅先で一日中ベッドでくつろぐことを意味する「ハークル・ダークリング」というスコットランドの言葉が支持を集めている。特にMZ世代(ミレニアル・Z世代)の30%は、X世代やベビーブーマー世代(11%)に比べて、このようなリラクゼーションを好む傾向が強い。
そして、注目されるのがスリープ離婚という言葉だ。63%の旅行者が「一人で寝る方が快眠できる」と認め、37%が旅行中にパートナーと別のベッドで寝ることを好んでいる(つまり大きなベッド1つの部屋より、ベッド2つの部屋を好む)。子ども連れの旅行者の75%は、子どもと別々に寝ることを望んでいる。
思い出をたどる「タイムトラベル」に注目
旅行者は、子ども時代の思い出に触れるために同じ場所を訪れる「タイムトラベル」を楽しんでいる。アメリカでは、懐かしい思い出に浸るような旅行がレジャー旅行の主要理由の一つとなっている。世界の旅行者の58%が子ども時代の旅行先を再訪しており、49%が毎年同じ場所に戻っている。
スロートラベルで、人気観光地を避け文化に深く触れる
忙しい日常から離れ、旅先の文化に深く触れる「スロートラベル」(地元の人のように目的地に長時間滞在し、その文化を十分に体験すること)も注目されている。
旅行者の25%が文化を学ぶ体験を求め、65%(日本は31%)が子どもとともに家族のルーツを探る旅行を希望している。また、旅行者の74%が地元の人からのお勧めの体験を楽しむことを望んでいる。
スロートラベルでは、人気観光地ではなく、二次的な都市や目的地への訪問が増えており、例えばイタリアのサルデーニャやトルコのボドルムでは外国人観光客が増加している。
バケーションか旅行か
以上4つが、2025年のトレンドとして挙げられたが、それ以外にも注目すべきトピックがいくつか紹介されている。そのうちの一つが、「バケーションか旅行か」という問いだ。
旅行に関するストレスや不安を軽減するため、多くの旅行専門家が「バケーションか旅行か」をあらかじめ考えるよう勧めている。バケーションはリラックスしながら充電することであり、活動は自発的でゆったりとしたペースで行われる。一方、旅行は異文化体験や新しい環境を探索することであり、ペースは速く、計画も充実している。
どちらを選ぶにしても、テクノロジーやVIPサービスを活用して、シームレスで快適な旅を求める傾向が強まっている。例えば、空港ラウンジの利用や客室のアップグレードなど、旅行者は旅のあらゆる場面でストレスを軽減するためのサービスを重視している。
ハネムーンのような特別な一人旅が人気に
そして、前述した多世代旅行と同様に人気なのが、一人旅だ。世界の旅行者の約半数が、一人で旅するスタイルを選ぶと回答している。ここで使っている「ミームーナー(MeMooner)」という造語は、一人での旅行をハネムーンのように自分への贈り物として楽しむ人々のことを指し、2025年には旅行業界でもその存在感と消費力が一層注目される見通しだ。
一人旅を楽しむ人々の64%は、良い本を旅のパートナーに選ぶ。また、ペットと一緒に旅をする人も多く、2023年から2024年にかけて「ペットフレンドリーホテル」の検索数は前年の2倍に急増し、ヒルトンの検索フィルター用語でも上位10位にランクインした。宿泊予約への転換率でも4位を記録している。さらに、ヒルトンのホテルスタッフの58%以上が、2025年には一人旅の人気が一層高まると予測している。
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