インバウンドコラム

観光再開へ、オーストラリアとシンガポールで日本市場向けキャンペーン開始

2022.04.20

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オーストラリアは2020年3月より、厳格なロックダウンや入国規制を講じて「ゼロコロナ」戦略を貫いてきたが、国内のワクチン接種の進行とともに規制緩和を進め、「ウィズコロナ」へと大きく方向転換している。一方、シンガポールは2021年9月からドイツとブルネイを対象に、相互に隔離なしの渡航を可能とする「ワクチン・トラベルレーン」を開始し、その後も対象国を拡大するなど積極的に国境再開に向けた動きを展開してきた。2022年4月に入って入国規制をさらに緩和し、インバウンド客の受け入れ再開を表明した両国の動きをみていこう。

 

オーストラリア、観光客の受け入れ再開。日本で大型広告キャンペーンを実施

オーストラリア政府は2月21日に、新型コロナウイルスワクチン接種を2回完了し、有効なオーストラリアのビザを保有する全ての渡航者を、隔離なしで受け入れはじめた。これには、観光目的での入国も含まれる。4月18日からは入国規制をさらに緩和し、入国者に対する陰性証明書の提示義務を撤廃した。これまで、オーストラリアに入国する際は、出国の72時間以内に受けたPCR検査、または24時間以内に受けた迅速光源検査の陰性証明書を提出する必要があった。一方、入国の際には引き続きワクチン接種証明の提示が必要となる。 

ワクチン接種完了者に対する入国後の検査の有無は州によって異なるが、シドニーのあるニューサウスウェールズ州やメルボルンのあるヴィクトリア州では、24時間以内に迅速抗原検査を実施する必要があり、陰性結果が出るまで宿泊施設または自宅で待機しなければならない。

入国規制緩和を受け、オーストラリア政府観光局は4月8日、「ワクワク大陸、いよいよ再開。」と題した日本市場向けの大型広告キャンペーンを開始した。「食」「サステナビリティ」「先住民文化」の3点をテーマに、各種広告を通じて渡航者の受け入れ再開を周知している。日本からの旅行者は新型コロナウイルス感染拡大前の2019年に過去最高の約50万人を記録し、世界からの渡航者の中で第5位となったため、オーストラリア政府は日本をインバウンドの重要市場として位置付けている。

オーストラリアでは、今年1月に感染のピークを迎え、1日の新規感染者数が17万人を超えて過去最多を記録した。その後減少に転じたが、3月末に再び上昇し、現在は4、5万人程度で推移している。

 

シンガポール、ワクチン接種完了を条件に全ての国・地域からの渡航者を隔離なしで受け入れ

シンガポールは4月1日、ワクチン接種完了を条件に全ての国・地域から入国する渡航者を隔離なしで受け入れる措置を開始した。これにより、出発48時間前のPCR検査または専門家による抗原検査で陰性であれば入国でき、入国後の検査と隔離も不要になった(12歳以下の子供は、ワクチン未接種でも隔離が不要)。陰性証明とワクチン接種証明、出入国カードについてはオンラインで事前に提出できる。

シンガポール政府は4月6日、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた国内の観光業に対し、今後数年間で約5億シンガポールドル(約455億円)を支援すると発表した。

4月からの入国規制緩和を受け、シンガポール政府観光局は4月12日、報道向けのイベント「SingapoReimagine Ultraman ふたたび、旅へ。シンガポール」を東京都内で開催した。日本ではウルトラマンとコラボしたキャンペーンを展開しているが、このリカバリーキャンペーンは世界中の各マーケットで実施し、「サステナビリティ」「フード&ダイニング」「ウェルネス」「ノベルティ&エキサイトメント」の4本の柱で展開している。

シンガポールでは、今年2月に感染のピークを迎え、1日の新規感染者数が2万5000人を突破して過去最多を記録した。その後減少に転じ、4月16日の新規感染者は1670人となっている。同国ではワクチンのブースター接種も進んでおり、3回目のワクチン接種を完了した人は人口の約70%となっている。

 

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