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食・文化体験の人気拡大、アドベンチャートラベル市場は利益率重視の成熟局面へ ATTA2026レポート

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ATTA(Adventure Travel Trade Association)が2026年版「アドベンチャー・トラベル・トレンド&インサイト Adventure Travel Trends & Insights」レポートを発表した。当レポートは、世界329のツアーオペレーターへの調査をもとに、アドベンチャートラベル市場の最新動向を分析したもの。コロナ禍後の急回復期を経たアドベンチャートラベル市場が、拡大から、収益性や持続可能性を重視する「成熟フェーズ」に移行しつつある実態が示された。

 

アドベンチャートラベル市場、「拡大」から「利益率重視」の局面へ

アドベンチャートラベルのツアーオペレーター329社への調査結果、2025年の収益が増加したと報告した事業者は6割近くにのぼった。一方で、その多くは25%未満の微増にとどまっており、旅行者数やツアー催行規模の拡大ペースは鈍化している。単純な集客拡大ではなく、小規模で高付加価値な体験へと軸足を移す動きが鮮明になっている。

 

また、回答者の61%が2026年の純利益増加を見込む一方、その割合は前年調査より低下しており、業界全体では先行きへの見方に慎重さもみられる。利益減少を懸念するオペレーターは、その理由として「政治的不安定」「地域紛争」「物価高による諸経費の増大」を挙げている。

こうした結果を受けて、ATTAは、今後の成長は「規模」よりも「利益率」「事業の強靱性」「持続可能性」が重要になると分析する。

 

食・文化・ウェルネス需要が拡大、日本・北欧人気も継続

人気アクティビティでは、「ハイキングやトレッキング、ウォーキング」が引き続き首位を維持。その一方で、食やガストロノミー体験が2位に浮上したほか、電動アシスト自転車(e-bike)を活用したサイクリング、ウェルネス、文化体験も需要を伸ばし、トップ5に入った。旅行者のニーズが、単にアクティビティを楽しむ旅行から、地域文化や暮らしを深く味わう体験重視型へ広がっていることがうかがえる。

地域ごとの傾向では、ヨーロッパと北米ではe-bikeサイクリングが引き続き人気を集めている一方、南米ではハイキングが再びトップとなり、次いでグルメ旅行が人気となっている。アジアでは、文化体験とキャンプが依然として大きな魅力となっている。

目的地では、日本や韓国などの北東アジアや北欧への関心が引き続き高く、「混雑回避」に加え、猛暑や自然災害リスクを避けやすい地域を求める動きも強まった。コロンビア以南の南米やカナダ、西ヨーロッパも人気を維持する一方、米国やロシアへの関心は低下した。

▼注目の目的地

 

地域還元率75%、アドベンチャートラベルの経済波及効果が鮮明に

レポートによると、環境負荷を抑えた「ローインパクト型」の旅行日程への関心がさらに高まっている。業界全体として、サステナビリティの追求、新製品の開発、そしてターゲット市場の多様化において前向きな進展が見られる。

また、半数以上の事業者が持続可能性に関する認証を取得済み、もしくは取得準備中と回答。環境保全や地域経済への貢献を重視する傾向が強まっている。

経済効果の面では、旅行代金の約75%がガイド料や宿泊、飲食、地域交通などを通じて地域経済に還元されている点も特徴だ。旅行者は現地で平均263ドル(約4.1万円)を土産品や工芸品購入に使っており、ATTAはアドベンチャートラベルを「地域経済への波及効果が高い観光分野」と位置づけている。

 

【編集部コメント】

地域体験の価値が問われる時代へ

今回のレポートで印象的なのは、「人数の拡大」よりも「体験価値」と「利益率」を重視する流れが鮮明になっている点である。食や文化、ウェルネスなど地域性を感じる体験が支持を集め、日本への関心も継続している。特に中小事業者にとっては、大規模投資ではなくても、地域の日常や暮らしを磨き直すことが差別化につながる可能性がある。自社ならどんな“深い体験”を提供できるのか、改めて考えたい。

(出典:ATTA 2026 Adventure Travel Trends & Insights Report

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