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2023年サステナブル旅行指数ランキング、トップ20をヨーロッパ諸国が寡占 ーユーロモニター社

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イギリスに本社を構える国際市場調査会社ユーロモニター社が発表した最新のサステナブル・トラベル・インデックス(持続可能な旅行指数)ランキングのレポートによると、世界で最も持続可能なデスティネーションはスウェーデンだった。

このランキングは環境、社会、経済、リスク、さらに観光需要、交通、宿泊という7つの主要な項目の合計57の指標を用いて、99の国と地域を分析したもので、旅行先の観光業がより持続可能で目的主導型の観光モデルを促進する指針となるとしている。

 

欧州寡占のトップ20でウルグアイが健闘

最新ランキングではスウェーデンが引き続きトップの座を維持し、2位はフィンランド、3位はオーストリアだった。注目したいのは、南米のウルグアイが、前年の33位から15ランクアップして、初めてトップ20入りしたことだ。この指数では従来からヨーロッパ諸国が上位を占め、アメリカ大陸、アジア、アフリカの旅行先が後塵を拝している。

上位を占めるヨーロッパ諸国はこれまでに、観光のエコロジカル・フットプリント(人間の活動が自然環境に与える負荷をわかりやすく表したバロメーター)を最小限に抑えることを目指して、持続可能な観光モデルを提唱し、そのモデルを実施する最前線に立ってきた。例えば、8位のアイスランドは最近、長期旅行を推進し、マスツーリズムを抑制するキャンペーンを立ち上げた。また、11位のフランスは列車で2時間半以内で行ける短距離航空路線を禁止した。

トップ20には入っていないが、ベルギーは観光産業が環境に与える影響に対処するため、燃料や航空券に課税する欧州航空税の導入を検討しているし、イタリアは環境に優しい活動を促進するために新しい観光列車の運行を検討している

また、過去5年間のランキングを通してみると、エジプトとモルディブが最もランクを上げていることもわかった。エジプトは、パンデミックの渡航禁止を経て、回復力のある観光を構築し、地域社会の利益のために観光による価値創造を高め、インバウンド一人当たりの平均消費額を増加させた点で他の市場を圧倒した。

 

最もサステナブルな都市はメルボルン

一方、ユーロモニター社が毎年末に発表する世界の都市デスティネーション・トップ100の中で、サステナブル指標でトップに立ったのは、2040年までにネット・ゼロ・エミッションを達成するという野心的な目標を掲げたオーストラリアのメルボルンだった。メルボルンの持続可能性に関する試みは、カーボンフットプリントを削減し、自然エネルギーに移行するための建物の改修から、カーボンニュートラルなイベントの開催、街路の緑化まで、多岐にわたる。

これに続くのはスペインのマドリードとセビージャで、両都市は欧州112都市が参加するEUのネット・ゼロ・シティ構想に入っている。

レポートはさらに、生活費の高騰にもかかわらず、旅行者の80%近くが、持続可能な旅行に対して少なくとも10%多くを支払うことが明らかになったとした。また、旅行者の41%がアドベンチャーやエコツーリズムに30%以上の追加料金を支払う用意があるとしている。

ユーロモニター・インターナショナルのトラベル部門責任者であるキャロライン・ブレムナーは、本レポートの結果を振り返り、「サステナブル・トラベル・インデックスは、将来を見据え、ネット・ゼロへの道のりを達成するための確実な2つの方法として、グリーン・テクノロジーと旅行者の旅のデジタル化に注目している。グリーン・テクノロジー分野のスタートアップと提携することで、よりグリーンでクリーンな旅行の未来を切り開くことができるだろう」と話した。

 

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