データインバウンド

2024年 世界の旅行トレンド「ロケ地巡り」「デトックス旅」「生成AI」など6つに注目 ーエクスペディア

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エクスペディア・グループは2024年の旅行トレンド「Unpack ’24」を発表した。これはグループ内のデータに加え、日本を含む世界14地域における2万人の旅行者を対象としたグローバル調査結果に基づいたもので、人気の旅行先から旅行業界における最新テクノロジーまで、2024年の旅行トレンドを6つ挙げている。
(図版出典:Expedia Group Unpack’24)

 

ロケ地巡り

まず最初は、日本でも人気のロケ地巡りだ。英語ではSet-Jettingと呼び、2023年から引き続き、旅行先に大きな影響を与えるトレンドとなる。

調査によると、半数以上(53%)が「テレビ番組や映画の影響で旅行先を調べた、もしくは実際に旅行を予約した」と回答。日本人の回答に限定すると、影響元として最も多かった回答は「バラエティやドラマなどのテレビ番組(49%)」、次いで「本(38%)」、「ストリーミングサービス(16%)」となった。グローバル平均では「ストリーミングサービス(31%)」と「テレビ番組(34%)」は大差なく、日本は特に「テレビ番組」の影響力が大きいことが伺える。

エクスペディア・グループ内のデータをもとに、「ロケ地巡り旅」の目的地として2024年に人気を集めると予想されるエリア10カ所と作品名は以下の通りだ。

・タイ(ドラマ『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル』シーズン3
・ルーマニア(ドラマ『ウェンズデー』シーズン1
・マルタ(映画『グラディエーター2
・パリ(ドラマ『エミリー、パリへ行く』シーズン4
・スコットランドのハイランド地方(ドラマ『アウトランダー』シーズン8
・ロンドン、バース、ウィンザー(ドラマ『ブリジャートン家』『ザ・クラウン』
・韓国(ドラマ『イカゲーム』シーズン2
・フロリダキーズ(ドラマ『Bad Monkey』)
・オーストラリア(ドラマ『ファラウェイ・ダウンズ』と映画『マッドマックス:フュリオサ』)
・ギリシャ(映画『アーガイル』『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング 3』)

残念ながら日本は入っていないが、例えば今年海外で公開された映画『THE FIRST SLAM DUNK』が大ヒットし、舞台となる鎌倉高校前踏切付近が、韓国や台湾など海外からのロケ地巡礼者で再び賑わったのは記憶に新しいところだ。

 

そっくり観光地

TikTokが「Dupes」、つまり人気商品のより手頃な代替品という考え方を広めたが、このコンセプトは旅行の世界にも浸透しつつある。

2024年は、手頃な価格でかつ人混みを避けられる、人気旅行先の「そっくり観光地」が人気を集めるだろう。実際に「そっくり観光地」への旅行経験について、8割が「経験あり」、もしくは「経験はないが、してみたい」と回答。日本人も、7割以上(73%)の人が同様に答えた。

下記にまとめた旅行先は、過去1年間でエクスペディアでの検索件数が大きく増えた旅行先だ。中でも増加率が高い上位5都市は検索件数が前年比の倍以上になった。

検索数が増加した「そっくり観光地」と前年比の増加率

 

音楽ツーリズム

以前にもやまとごころ.jpで、2023年はテイラー・スウィフトやコールドプレイのコンサートを見に海外へ行く人が増えたとの記事を掲載したが、2024年は、海外で行われる好きなアーティストのコンサートに行く「音楽ツーリズム」がさらに盛り上がりを見せると予想される。

調査結果によると、旅行者の7割近く(69%)が「好きなアーティストのコンサートのために遠征したい」と回答。また、4割を超える人(44%)が「コンサート遠征を今まで行ったことがない場所へ旅行する口実としたい」と答えた。さらに、3割近く(28%)の人が地元で行くコンサートよりもチケット代が安価であればコンサート遠征をしたいと考えていることもわかった。日本の回答者も半数以上(56%)が「遠征したい」と回答し、日本でも「音楽ツアー旅行」への注目度が高いことが伺える。

 

ノンアル旅

2024年は、旅行中の飲酒量を減らす、もしくは全くアルコールを飲まない「ノンアル旅」が注目される。調査結果によると、4割以上(41%)の人が「2024年はデトックス旅をしたい」と回答、半数(49%)は「モクテルのようなアルコールフリーのドリンクを頼みやすいホテルでの宿泊に関心がある」と答えている。

レポートでは、イギリスにサマートンロッジホテル、インドネシアのザ・ラマダ・クタ・バリ、アイルランドのザ・メリオンなどノンアル旅におすすめのホテルを紹介している。

一方で、次の旅行でのアルコール摂取量を増やすかどうかについて聞いたところ、韓国では57%、アメリカで46%、日本では25%の回答者が「(アルコール摂取量を)増やす」と回答し、世界全体の平均では「ノンアル旅」がトレンドになりつつも、国によってはまだ旅行にはアルコールが必要だと考えているようだ。

 

ホテル選びは「雰囲気(vibe)重視」

宿泊するホテルを選ぶ際に、ホテルの立地、設備やサービス、星の数は依然として重要だが、ホテルの全体的な「雰囲気」がますます重要な基準となっている。「雰囲気(vibe)」という言葉を使う口コミの数は前年比で平均1090%増加しており、今回の調査では92%とほとんどの人が「予約の際にホテルの雰囲気を重視する」と答えた。

また、好きなホテルの「雰囲気」について、世界全体の平均で最も多かった回答は「落ち着いた雰囲気(33%)」と「モダンな雰囲気(33%)」、次いで「ビーチや海岸などがあるリゾートな雰囲気(31%)」だった。日本人では、6割以上の人が「落ち着いた雰囲気(65%)」と答え、最も多い回答となった。一方で、その次に多かった回答は「自然を満喫できる雰囲気(34%)」で、日本人は世界と比べて、自然を楽しみたい人が多いようだ。

また、旅行者はますます現地の文化に浸りたいと思うようになっており、日本の旅館やモロッコのリアド(中庭のある邸宅や宮殿)の検索数が125%以上急増したことからもそれは明らかだ。レポートではマラケシュのリアドや京都、岡山、箱根の旅館などを紹介している。

 

旅行で活用「生成AI」

2023年は「生成AI時代」が誕生し、何百万人もの人々がチャットボットや画像ジェネレーターの実験を行い、この急成長するテクノロジーの能力に驚嘆した。2024年には人々が生成AIなどのテクノロジーを旅行に最大限に活用することが予想される。エクスペディア・グループでは、2023年4月にChatGPT会話AI機能をエクスペディア・アプリに組み込み、いち早く採用した。

今回の調査では、世界の7割近く(69%)の人が旅行計画をする際に生成AIを「使ったことがない」と回答。日本では、94%の人が「使ったことがない」と答えた一方で、アメリカ(51%)や韓国(60%)では半数以上の人が「使ったことがある」と回答、国によって大きな差があることが分かった。

また、今後の生成AIの活用について、世界の半数(50%)の人が「旅行予約時の生成AIの活用に興味がある」、69%が「生成AIは旅程のプランニングに役立つ」と考えていることが分かった。日本人でも、37%が旅行予約時の生成AIの活用に興味があり、半数以上(67%)が生成AIは旅程のプランニングにとても役立つと考えているようだ。

さらに、世界の4割近く(39%)の人が「最適な宿泊先を見つけるために生成AIを活用したい」と回答。35%がアクティビティや現地ツアーのプランニング、33%がフライトの比較、20%が旅程の変更やキャンセルに利用したいと答えた。

 

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