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2020年10月百貨店売上、前年同月1.7%減の3753億円。国内市場13カ月ぶりにプラス、インバウンド苦戦続くも一人あたり単価500%超に

2020.12.01

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日本百貨店協会は11月24日、10月の全国百貨店売上高の概況を発表した。総売上高は前年同月比1.7%減の3753億円余で、13カ月連続で前年同月比マイナスの記録となった。台風の影響や消費税増税により17.5%減だった前年の反動から減少率は抑えられたが、新型コロナウイルスによる入国規制が免税売り上げの減少につながり、大きなマイナス要因となった。

しかし国内市場に限っていえば、13カ月ぶりのプラスに転じ、4.8%増になった。これは富裕層を中心とした高額商品の好調、各社における徹底した新型コロナウイルス対策のもと開かれた物産展などの企画催事が押し上げたものだ。「Go To トラベル」キャンペーンなど政府が行った施策も入店客の復調に貢献した。

地区別にみると、地方(10都市以外)のうち関東、中部、近畿、中国地方の4地区合計で3.4%増と、13カ月ぶりにプラスになった。インバウンド比率が高く、入国規制の影響が著しい大都市では3.6%減になったものの、仙台・横浜・名古屋・神戸では前年を上回った。中でも仙台は前年同月比10.7%と大きく伸び、神戸6.4%、名古屋4.3%、横浜1.6%と続く。

商品別で52.7%増と大きく伸びたのは宝飾・時計、ラグジュアリーブランドなどの高額商材。これが牽引する形となり、身の回り品が8.4%増、雑貨が4.0%増と前年の数字を上回った。引き続き、イエナカ消費に動きが見られ、調理用品・家具・家電などの家庭用品が13.9%増と好調だった。衣料品はカジュアル衣料や気温の低下からくる防寒商材の動きがあったが、ビジネス関連は相変わらず低迷している。食料品は6.8%減だが、ECによるクリスマスケーキやおせちの予約の滑り出しがよく、百貨店の人気イベントである食品催事も堅調だった。各社では、デジタルによる非接触型販売や密回避の施策などで、コロナ禍で変化する顧客ニーズに対応し、売り上げ向上につながる取り組みを行っている。

インバウンドにおける10月の免税総売上高は、10月から入国規制がビジネス関連で緩和されたものの、観光関連では渡航者制限が継続しており、前年同月比で91.8%減の約21億円となった。購買客数は約5000人で前年同月比98.7%減、どちらも9カ月連続でマイナスになった。なお一人あたりの購買単価は前年同月比549.6%増となっており、9月の487.2%、8月の362.2%から一層伸びている。

9月に外国人観光客に人気のあった商品は以下の通り。

1位:化粧品
2位:ハイエンドブランド
3位:婦人服飾雑貨
4位:食料品
5位:婦人服・洋品 & 子供服・洋品

また、免税手続きカウンターの来店国別順位は以下の通り。

1位:中国本土
2位:台湾
3位:韓国
4位:シンガポール
5位:香港
6位:タイ
7位:マレーシア

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