インバウンドコラム

「ゼロコロナ政策」続ける中国、規制緩和発表で国際線の検索急増、テーマパーク営業再開

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世界各国が新型コロナウイルスに関する入国規制の緩和を進める中、「ゼロコロナ政策」を堅持し続ける中国でも、海外との往来を活性化させる動きが徐々に出てきた。今回は、中国の入国規制緩和の動きや、夏季休暇シーズンに入った中国国内の観光の動きについて見ていく。

 

中国、入国時の隔離期間を14日から7日に短縮

中国政府は6月28日、新型コロナウイルス対策で海外からの入国者に義務付けている隔離期間を、14日間から7日間に短縮する方針を発表した。中国政府はこれまで海外からの入国者に対し、指定施設での隔離を14日間行った後、自宅での7日間の健康観察を義務付けていた。しかし、今回の変更により、指定施設での隔離が7日間に、自宅での健康観察が3日間にそれぞれ短縮される。開始日は明らかになっていないが、中国政府は6月に入って国際旅客便の増便に向けた交渉を発表するなど、海外との往来を活性化させる動きが見られている。一方で、中国の衛生当局は、この短縮は科学的な根拠に基づいた対策であり、新型コロナルイス対策の規制緩和を意図するものではないとしている。また、習近平国家主席も、「ゼロコロナ」政策を堅持すると強調している。

 

隔離短縮を受けて、国際線航空券の検索急上昇

入国時の隔離期間短縮の発表を受け、中国では国際線の航空券の検索が急増している。中国の旅行ウェブサイト「Qunar」では、隔離短縮のニュースから1時間以内に検索数が2倍以上となり、「Ly.com」でも検索が急増。中でも、日本や韓国、シンガポールから中国へ向かうフライトに関心が高まっているという。また、6月28日の米国株式市場では、中国の観光・旅行関連企業や航空会社の株価が急騰した。

駐日中国大使館は7月1日、日本から中国への渡航に必要なビザの申請を一部変更した。これにより、主に出張に使用される「Mビザ」の申請で求められていた、中国の政府機関が発行する招聘状が不要となった。代わりに、中国国内の取引先が発行する招聘状でビザを申請できるようになったため、日系企業にとってはビジネスでの渡航がしやすくなった。中国政府は同日、米国市民に対しても入国規制を緩和し、第3国を経由する入国を認めると発表した。これまでは、米国から直接入国する米国市民にのみ入国に必要なグリーン健康コードを与えていたが、今後は第3国から入国する際もこのコードを申請・取得することができる。

 

国内観光が活性化、鉄道の利用昨年比増の見込み、約2カ月で5億2000万人

中国国内では、新型コロナウイルスの感染状況が全国的に落ち着き、省をまたぐ旅行を再開している。中国各地の観光地では入場料を無料にしたり、割引したりする措置を打ち出しているほか、新たな観光商品も開発しているようだ。7月1日からは夏休みの帰省・旅行シーズンに入るため、鉄道利用者が増加する見通しとなっており、8月末までの62日間で鉄道利用者は延べ5億2000万人に達すると予測されている。また、最も多い日は延べ1000万人に達する見込みだという。

パンデミック前の2019年夏の同シーズンの鉄道利用者は延べ7億3500万人だったが、昨年夏はデルタ株の感染拡大の影響で4億6200万人だったため、今年の需要は大幅に回復しているようだ。

 

ユニバーサル北京、上海ディズニーが相次いで営業再開 

ユニバーサル・スタジオ北京は6月25日から人数制限を設けて営業を再開した。新型コロナウイルスの感染を抑え込む「ゼロコロナ」政策によって5月1日から休園していたが、一部の施設やアトラクションなどを除き、園内のほとんどの乗り物が再開した。

これに続き、ロックダウンで閉園が続いていた上海ディズニーリゾートも6月30日、およそ3カ月ぶりに営業を再開した。上海ディズニーの営業再開のニュース発表後には、中国大手旅行サイトの携程の統計で、ディズニー関連のアクセス数が前月比655%に急増したという。入園の72時間以内の陰性証明書の提示やマスクの着用、人数制限など、厳しい対策が講じられるが、6月30日には再開を待ちわびていたファンでにぎわったという。

夏休みを前に中国国内の2大テーマパークが再開されたことで、夏季観光市場がさらに刺激され、観光業の回復を後押しすると見られている。

なお、こうした傾向に水をさすように、1日から3日にかけて中国東部の安徽省や江蘇省の複数の都市で新型コロナウイルスのクラスターが発生し、規制が強化されたことがわかった。上海や北京などの大都市では感染拡大を抑えこんだものの、局地的に再拡大が起きる状況ようだ。

 

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