インバウンドコラム

台湾、欧米豪など指定国からのビザなし入国再開。日本・韓国は対象外

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台湾ではこれまで新型コロナウイルスの厳格な水際対策を行ってきたが、ワクチン接種率が上がり、世界各国が緩和を進める中、台湾でも入境後の強制隔離期間を短縮するなどの緩和措置が少しずつ見られるようになってきた。ここでは、現在の台湾の状況や、日台間の観光の動きなどについて見ていく。

 

欧米豪からのビザなし入国再開も、隔離措置は継続

台湾の中央感染症指揮センター(CDC)は9月12日より、米国、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、欧州などを含む国からの訪台者について、ビザなしの入国を認めた。日本や韓国は、今回の措置の対象外となっている。CDCは、多くの国が新型コロナウイルスの水際対策を緩和していることや、感染状況が落ち着いていることが緩和の背景にあると言及している。台湾は8月15日からすべての旅行者を対象に入境時の陰性証明書の提示を撤廃している。ただし、到着時のPCR検査や、入境後3日間の完全隔離とその後4日間の自主防疫(抗原検査で陰性であれば外出可能)については引き続き義務付けられている。また、入国者の上限は1週間あたり延べ5万人を維持する。

CDCはオミクロン株の派生型「BA.5」の感染者数が9月末〜10月上旬にピークアウトすると予測しており、それまでに減少傾向が続けば入境後3日間の完全隔離を撤廃し、自主防疫を7日間にすると説明している。

 

台日観光サミットが3年ぶりに開催

日本は9月7日からワクチン3回接種を条件に、入国時のPCR検査と陰性証明書の提示を免除し、添乗員なしのパッケージツアーと受け入れるなど、水際対策を緩和した。しかし、台湾から日本への入国者は依然としてビザの取得が義務付けられている(コロナ禍前まではビザなしで90日間滞在できた)。台湾政府は台湾人の海外団体旅行を認めていないほか、海外から戻った台湾人も3日間の隔離生活を送る必要があり、多くの人が海外旅行を諦めざるを得ない状況にある。

こうした中、9月2日には日台の観光交流促進を図る「第13回台日観光サミット」が桃園市内のホテルで開かれ、観光関係者が日台観光産業の回復とコロナ後の観光交流促進について意見を交わした。同サミットは2019年に富山で開かれて以来およそ3年ぶりの開催となった。今回のテーマは「ポストコロナ時代における日台観光産業復興に向けたリカバリー」で、台湾から日本へのインバウンドでは訪日リカバリー策についての提言が行われ、日本から台湾へのアウトバウンドでは台湾への修学旅行の再活性化に向けた提言が行われた。次回の「第14回台日観光サミット」は愛知県で開催される。

 

沖縄で台湾の交通系ICカードが年内にも利用可能に

沖縄の琉球銀行は、自社開発したキャッシュレス決済端末を使って、台湾最大の交通系ICカード「悠遊カード」が決済で利用できるようにする。年内には、本島北部や石垣島などの約2000カ所で決済できるようにし、コロナ禍前にはインバウンドの約3割を占めた台湾客の取り込みを狙う。

「悠遊カード」は台湾1位のシェアを誇る交通系ICカードで、累計発行枚数は1億枚以上、流通している枚数は9400万枚に上るという。台湾で初めて越境取引ができるプリベイドカードとなる。台湾人客は台湾ドルでキャッシュレス払いができ、沖縄の加盟店は日本円で受け取ることができる。沖縄と台湾は地理的に距離が近いため、コロナ禍前の2019年に台湾から沖縄を訪問したインバウンド客は約94万人で、国・地域別でトップだった。

 

中秋節連休の域内旅行が盛況

台湾では9月9日、中秋節(9月10日)を含む3連休に入った。CDCはこれに先駆け、中秋節恒例のバーベキューについて、入国検疫者や隔離中の新型コロナウイルス感染者、その同居者は参加しないよう呼びかけた。また、新型コロナウイルスワクチンを接種していない高齢者や幼児も参加を控えるよう求めた。

中秋節の連休には多くの人が家族で集まるために域内を旅行し、バーベキューも各地で盛んに行われた。台湾屈指のビーチリゾート墾丁(ケンティン)や、離島の琉球郷(リウチウ)などの人気観光地には観光客が殺到し、各地で渋滞が起きるほどだったという。

 

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