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世界一安全な国ランキング アイルランドが1位に躍進、高いワクチン接種率と国境開放度でリード —2021年9月

2021.10.07

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アメリカの大手総合情報サービス会社ブルームバーグは、世界で最も安全な国・地域の番付「COVIDレジリエンス(耐性)ランキング」の9月版を発表した。このランキングでは、コロナ禍における感染抑制やワクチン接種率、死亡率、渡航再開の進展度合いなど12のデータ指標に基づいて、53の国・地域を比較。どの国・地域が最も効果的に新型コロナウイルス感染症に対応できているか毎月発表している。

9月は前月1位だったノルウェーが10位に後退、アイルランドが1位になった。今年1月には世界最悪の感染拡大に見舞われていたがアイルランドが、今月首位に躍り出た最大の要因は、ワクチン接種率の高さと国境の開放度だ。アイルランドでは2回の接種を終えた成人の割合が90%を超え、ワクチン接種完了者を対象に隔離なしの入国を認める措置を他国に先駆けて始めた。こうした動きは欧州全体に広がっており、同様の入国緩和策を採るスペイン、オランダ、フィンランドなどがランキング上位を占めた。

対照的に、米国はデルタ株流行の中で前月から順位を3つ落として28位だった。ワクチン接種の有無に関わらず、経済活動の正常化を続けたことで、新規感染者と死者が急増したことが響いた。接種率も60%台で頭打ちとなり、米国よりも後にワクチン接種を開始した国々に追い越されつつある。日本は前月から4つ順位を上げて、米国に次ぐ29位。ワクチン接種率は62%に留まり、フライト能力やワクチン接種後の移動可能ルートなどの指標が低評価となっている。

出典:Bloomberg「COVIDレジリエンス(耐性)ランキング」

一時はウイルス封じ込めの優等生と言われたニュージーランドやオーストラリア、シンガポール、台湾などアジア太平洋地域は、ワクチン戦略に乗り遅れたことで低迷が続いている。昨年11月のランキング調査開始時点で1位だったニュージーランドは今月38位まで順位を落とした。新規感染者ゼロを実現した同国にもデルタ株が侵入し、急速な感染拡大が打撃を与えた。最下位はワクチン接種率40.2%のフィリピンだった。ワースト5のフィリピン、ベトナム、マレーシア、タイ、インドネシアの顔ぶれは順位の上下はあるものの、ここ2か月変わっていない。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長はワクチン分配の不平等を強く指摘しているが、今回のランキングでもワクチン接種率の高い欧州勢が上位に、低い東南アジア勢が下位に並び、格差が広がっている。ウイルスが広がりやすい冬を前に、変異株の脅威が今後各国にどのような影響を及ぼすか。次回10月のランキングに注目したい。

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