データインバウンド
2021年10月世界の航空需要 欧州はコロナ前の5割に回復、日本でも国内線が改善
2021.12.09
IATA(国際航空運送協会)によると2021年10月の世界の航空需要は、国際線・国内線の双方で回復していることがわかった。
業界全体のRPK(有償旅客が搭乗して飛行した総距離=revenue passenger kilometers:有償旅客数×輸送距離)については2019年10月と比べて49.4%減で、9月の53.3%減より改善が見られた。これはワクチン接種率が伸びて航空機による移動の制限が緩和されたことによるが、欧州など新たに新規感染が拡大している地域もあり、予断を許さない。
(なお、2020年はパンデミックの影響で世界の航空利用客は激減したため、記事中の伸び率比較は特記がない限り、すべて2019年同月比であることに留意されたい)
国際線は欧州でパンデミック前の5割に戻る
これまで改善傾向は国内線に見られていたが、10月に関しては国際線の変化が大きく、すべての地域で改善されている。2021年10月の国際線のRPKは2019年10月と比べて65.5%減で、先月の落ち込みからは回復した。
最も成績がいいのは欧州線で、欧州圏内の旅行需要の改善でパンデミック前の5割まで戻っている。ついで中南米がパンデミック前の45%になっている。グラフにはないが、欧州内の短距離路線と、欧州と中米を結ぶ路線でパンデミック前の7割近くまで改善された。
一方、アジア太平洋は9月と比べるとわずかに改善しているものの、入国規制が引き続き厳しいため、パンデミック前の1割にも満たない。ただし、状況が悪いながらも5カ月連続で改善傾向にあるのは確かで、たとえばインドと中東間の路線には活気が戻っているという。
なお、航空券の予約に関しても改善が見られたものの、11月に入って欧州やアジアの一部で感染が再拡大し、さらにオミクロン株の登場もあり、改善傾向は短期間に終わる可能性がある。

アメリカや日本で国内線が復調
国内線のRPKの世界平均は、パンデミック前と比較すると21.6%減で、9月の24.2%減より僅かに改善した。8月にアジアでのデルタ株感染の拡大で悪化したが、ここ2カ月連続で回復傾向となった。
国別に見ると、ロシアは10カ月連続でここにリストアップした国のなかでは唯一パンデミック前を上回る数字を記録している。ただし伸び率は9月より縮小しており、これから冬を迎えることを考えると国内線の需要は減少する可能性がある。
アメリカの国内線はパンデミック前の9割まで回復してきているが、航空券の予約状況を見ると年内に完全に戻ることはなさそうだ。ブラジルはパンデミック前の8割まで回復している。新規感染者の減少とワクチン接種率の増加によるもので、これは南米全般にもあてはまる。
日本は9月と比べると16.4ポイント改善され、パンデミック前の5割まで戻った。これは10月1日で緊急事態宣言がすべて解除された影響が大きく、たとえばANAでは9月末から国内線の予約が増え始めて10月分は解除前の10倍の予約があったという。

IATAが10月に行った調査では、世界の航空会社の88%が今後1年間に今よりも航空客は増えると回答した。ただし、そうしたポジティブな予測も、その後に発見されたオミクロン株のために見通しが悪い状況になっている。
IATAのウィリー・ウォルシュ事務局長は、「10月の利用状況は、人々は許可されれば旅行することを裏付けている。ただし、オミクロン株の登場に対する政府の反応によって、長い間かけてここまで再構築されてきた世界の航空路線が再び危機にさらされるのは非常に残念なことだ」と話した。
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