インバウンドコラム

観光庁2027年度予算要求1905億円、旅客税財源1800億円、国内交流・アウトバウンドは2.44倍に

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観光庁は2027年度(令和9年度)の予算概算要求を公表した。一般財源は前年度比1.20倍の99億7600万円、国際観光旅客税を活用した施策は前年度比1.38倍の1800億円を要求。東日本大震災復興特別会計の5億6600万円と合わせ、合計で前年度比約1.37倍の約1905億円となる。

過去最大規模となる今回の概算要求では、特に国際観光旅客税を活用した施策が前年度予算額の1300億円から500億円増加した。

ここでは、予算要求額の増減とともに、2027年度に注目したい施策を詳しくみていく。

 

一般財源99.8億円、前年から予算の示し方が変化

一般財源は前年度比1.20倍の99億7600万円を要求した。内訳は、「1.インバウンドの戦略的な誘客と住民生活の質の確保との両立」が66億7100万円、「2.国内交流・アウトバウンド拡大」が12億2000万円、「3.観光地・観光産業の強靱化」が11億8700万円、その他が8億9800万円となっている。

令和9年度観光庁関係予算概算要求総括表

なお、2027年度は一般財源の予算要求の示し方が前年から変更された。2026年度は人材不足対策やMICE誘致、ユニバーサルツーリズムなど個別事業ごとに要求額と前年度比が示されていたが、2027年度は第5次観光立国推進基本計画の3本柱に沿った政策分野ごとの要求額を示す形となり、個別施策ごとの要求額は公表されていない。このため、2027年度は3つの政策分野への予算配分を軸に、重点施策の方向性をみていく。

令和9年度 観光庁関係予算概算要求 主要事項

 

一般財源3分野、国内交流・アウトバウンドが2.44倍で最大の伸び

1. インバウンドの戦略的な誘客と住民生活の質の確保との両立………66億7100万円

最も要求額が大きい「インバウンドの戦略的な誘客と住民生活の質の確保との両立」は、前年度比1.06倍の66億7100万円。日本政府観光局(JNTO)による戦略的な訪日プロモーションをはじめ、各種民泊サービスの適正化、国際会議等を通じた諸外国との相互交流の拡大などに取り組む。

2. 国内交流・アウトバウンド拡大………12億2000万円

一方、伸び率が最も大きいのが「国内交流・アウトバウンド拡大」だ。要求額は前年度予算額の5億円から2.44倍となる12億2000万円に拡大した。地方空港を活用した相互交流やワーキングホリデーを通じた双方向交流、海外教育旅行を通じた若者の国際交流などを進める。

国内交流では、観光を軸とした関係人口の創出や二地域居住の促進、多様な旅行需要に対応した需要創出、国内教育旅行のプログラム開発などを盛り込んだ。国内外の交流拡大に向けた施策を幅広く進める方針だ。

 

「観光地・観光産業の強靱化」は1.63倍、人材確保・育成を推進

3. 観光地・観光産業の強靱化………11億8700万円

「観光地・観光産業の強靱化」は、前年度比1.63倍の11億8700万円を要求した。

重点となるのが人材の確保・育成だ。「観光地・観光産業における人材育成等推進事業」として、国内外の人材確保・育成に向けた魅力発信や育成環境の整備を進めるほか、観光地経営人材や宿泊人材の育成に取り組む。

また、通訳案内士を支えるシステムの安定的な運営や観光統計の整備も盛り込まれている。第5次観光立国推進基本計画では、深刻な人材不足への対応や観光DX、省力化投資等による生産性向上を課題としており、観光産業の持続的な成長を支える基盤づくりを進める方針だ。

このほか、東日本大震災復興特別会計では、「東日本大震災からの観光復興」として5億6600万円を要求した。前年度予算額6億6500万円に対して0.85倍となる。2027年度の主要事項には、福島県における観光関連復興支援事業とブルーツーリズム推進支援事業が引き続き挙げられている。

 

旅客税財源1800億円、500億円増も具体的な事業は予算編成で決定

4. 国際観光旅客税を活用したより高次元な観光施策の展開………1800億円

国際観光旅客税を活用した施策は、前年度予算額1300億円から1.38倍となる1800億円を要求した。資料に掲載された観光庁予算の推移でも、旅客税財源は2025年度の490億円から2026年度に1300億円、2027年度要求では1800億円へと大きく拡大している。

背景の一つには、2026年7月に行われた国際観光旅客税の引き上げ(1000円から3000円)による税収拡大がある。

観光庁予算の推移

大幅に増える旅客税財源をどのような施策に充てるかも焦点となる。ただし、概算要求時点では1800億円という要求額のみが示されており、具体的な事業は決定していない。今後、予算編成過程で検討され、民間有識者の意見も踏まえ、観光立国推進閣僚会議で決定される。

そのうえで、旅客税財源を活用する施策として、以下の3分野が示されている。

1.ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備
2.日本の多様な魅力に関する情報の入手の容易化
3.地域固有の文化・自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上

3分野に関連する施策として、資料には令和8年度事業の例が示されており、戦略的な訪日プロモーション、オーバーツーリズムの未然防止・抑制をはじめとする観光地の受入環境整備、最先端技術を活用した出入国審査、地域一体となった持続可能な観光地域づくり、空港・港湾から観光地までの公共交通利用環境の整備などが挙げられている。また、DMOへの支援やスノーリゾート形成、文化・自然資源を活用した観光振興、MICEの誘致・開催促進なども示されている。

国際観光旅客税を活用したより高次元な観光施策の展開

 

【編集部コメント】

予算の増減が映す、2027年度観光政策の方向性

過去最大規模となる約1905億円の概算要求。なかでも目を引くのは、旅客税財源が1300億円から1800億円へ拡大したことに加え、一般財源で「国内交流・アウトバウンド」が2.44倍、「観光地・観光産業の強靱化」が1.63倍となった点だ。

インバウンド誘客に軸足を置きつつも、双方向交流や関係人口、人材確保・育成など、観光を持続させる基盤へと政策の重点が広がっていることがうかがえる。今後の焦点は、1800億円の旅客税財源が具体的にどの施策へ配分されるかだ。予算編成の行方を追うことで、次の観光政策が何を優先し、どのような観光の姿を描こうとしているのかが、より鮮明に見えてきそうだ。

(出典:観光庁、令和9年度観光庁関係予算概算要求概要)

 

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