データインバウンド
ノルウェーが2カ月連続首位、ゼロコロナか共存かで明暗 —COVID耐性ランキング2022年4月
2022.05.16
アメリカの大手総合情報サービス会社ブルームバーグはこのほど、コロナ禍における世界で最も安全な国・地域の番付「COVIDレジリエンス(耐性)ランキング」の4月版を発表した。このランキングでは、コロナ禍における感染抑制やワクチン接種率、死亡率、渡航再開の進展度合いなど11のデータ指標に基づいて、53の国・地域を比較。どの国・地域が最も効果的に新型コロナウイルス感染症に対応できているかをランク付けし毎月発表している。
入国制限を撤廃した国が上位を独占
感染力は強いが、軽症で済むオミクロン株の登場とワクチンの普及により、多くの国ではコロナとの共存に舵を切ったが、いまだゼロコロナ政策を堅持する国もある。ウィズコロナ政策をとった国が上位となり、ゼロコロナをとった国が下位になる二極化の傾向が4月のランキングでも顕著に表れた。
1位は2カ月連続でノルウェー、2位はアイルランド、3位はアラブ首長国連邦(UAE)だった。入国制限をいち早く緩和したこの3カ国は順位の入れ替えがあるものの、2カ月連続でトップ3内に入っている。特にノルウェーはコロナ関連の旅行制限を撤廃しただけでなく、検査で陽性の場合でも自主隔離の義務をなくしており、最も国境開放が進んだ国といえる。

図出典:Bloomberg「COVIDレジリエンス(耐性)ランキング」
日本は前月と変わらず34位だった。ワクチン接種済みの渡航者に対して入国緩和を始めたものの、順位は上がらなかった。オミクロン株の次の波に襲われ、死亡者数が増えている米国は6ランクダウンの30位、イギリスは2ランクダウンの12位だった。
最も急上昇したのはスウェーデンとシンガポール
4月最も急激なランクアップを記録したのがスウェーデンとシンガポールだ。旅行制限を撤廃したスウェーデンは前月の23位から17ランク上げ、5位に躍り出た。同じくシンガポールも17ランク上昇し9位に入った。
一方、前月5位と好成績だったフランスは、オミクロン株の亜種による感染拡大が影響して、13ランクダウンの18位に沈んだ。
ゼロコロナ続ける中国がワースト3、香港が最下位
感染者が減少傾向にあるにも関わらず、厳しいロックダウンが続く中国が51位、香港は53位で2カ月連続の最下位だった。長引くロックダウンで市民生活や経済に与える影響は深刻で、中国のロックダウンに対する評価は調査対象53カ国中、最低だった。ワースト2となる52位は前月に引き続きロシアで、コロナ対策そのものではなく、フライト能力の低さと22年のGDPの見通しの悪さが響いた。いずれもウクライナ侵攻が影響している。
世界の動きでも毎週お伝えしているように、ここにきて多くの国で出入国の規制緩和が一層加速し、欧州ではワクチン接種証明や陰性証明の提示さえ不要な国も出てきている。ワクチン接種者に対する規制緩和だけでなく、コロナ前と同じ出入国要件まで戻せるかでランキングの上位が決まりそうだ。
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