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2022年4月世界の航空需要、国際線の伸びが世界の回復を牽引。欧州や北米などパンデミック前の水準超え

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IATA(国際航空運送協会)によると、2022年4月の世界の航空需要は国際線の伸びが世界の回復を牽引し、いくつかの地域ではパンデミック前の水準を上回った。ロシアのウクライナ侵攻や中国の渡航規制にもかかわらず、航空産業は力強く復活しはじめている。

4月の国際線・国内線を合算した総RPK(有償旅客が搭乗して飛行した総距離=revenue passenger kilometers:有償旅客数×輸送距離)は前年同月比78.7%増だった。2019年4月の水準からは37.2%減で、先月よりも4.1ポイントさらに改善した。

 

欧州の国際線需要が回復をリード、アジア太平洋はこれからに期待

国際線RPKは、世界平均で前年同月比331.9%増(2019年同月比43.3%減)だった。欧州内では前年同月比480%増(2019年同月比25.8%減)に達し、国際線の回復をリードしている。ロシアのウクライナ侵攻が続いているが、欧州を拠点とする航空会社に大きな影響はなく、欧州と他地域を結ぶ国際線は4月に大幅に改善した。

また、これまで他の地域と比べると厳しい旅行制限のあったアジアでは、入国条件が緩和され、外国人旅行者の入国が可能になったため成長率が高まり、前年同月比290.8%増と、同3月の197.2%増を大きく上回った。今現在はまだ他の地域に後れを取っているアジア太平洋地域だが、今後もさらに渡航制限が緩和されれば国際的な動きは急速に回復するとみている。

中南米と北米では4月の伸びがそれぞれ前年同月比263.2%増と230.2%増だった。2019年の水準に向け順調に回復しており、特に欧州-中米、中東-北米、北米-中米の各路線はパンデミック前のレベルを超えている。

中東は前年同月比265.0%増(2019年同月比35.7%減)だった。また、アフリカを拠点とする航空会社は、前年同月比116.2%増となったものの、他の地域よりも低いワクチン接種率のため回復の道筋がスムーズとはいえない。

なお、各地域で好調の原因は4月の観光客が急増したことによるもので、この状況は夏以降も続くと思われる。

 

日本の国内線は2019年水準の7割まで回復、中国の落ち込みは続く

4月の国内線RPKの世界平均は、前年同月比1.0%減となり、2019年の水準を25.8%下回った。一部の国内市場では前年同月比で大きく増加しているが、中国の国内RPKは、長引く厳しい旅行規制により、前年同月比80.8%減と、3月に続いて大幅に減少した。

一方、ブラジル、インド、日本、オーストラリアは先月を上回る伸び率を示している。日本の国内線RPKは前年同月比57.0%増で、2019年の水準の7割近くまで戻った。

アメリカの国内線は2019年のレベルに向け順調に回復していたが、3月に続いて4月も伸び率は縮んだ。燃料価格の高騰に加え、需要急増による労働力不足が続いており、度重なる欠航などで混乱が起きる可能性がある。

航空券の予約については、国際線は増加傾向にあり、国内線は横ばいが続いている。国際線の好調ぶりは、各国の旅行条件が柔軟になったため、旅行意欲が高まり、夏休みに向けた計画を立てているからだろう。

 

IATA事務局長、中国へ正常化のステップを踏み出すよう呼びかけ

IATAのウィリー・ウォルシュ事務局長は、4月の結果を受けて、次のように話した。
「2年間に及ぶ国境規制は、自由な旅行への欲求を弱めることにはならなかった。旅行が許可されている地域では、需要が急速にパンデミック以前のレベルに戻りつつある。4月のデータは、旅行を厳しく制限している中国を除く、ほぼすべての市場で楽観的な見方を示している。我々は、中国がこうした成功を早く認識し、正常化に向けて独自のステップを踏み出すことを望んでいる」と述べた。

IATAは6月19日からドーハで、第78回IATA年次総会(AGM)と世界航空輸送サミットを開催。これは2019年以来初めての完全な対面式イベントとなる。

 

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