データインバウンド
訪日外国人のガイド利用状況を調査、ガイドが求められるシーンとは? ー観光庁
2024.08.15
やまとごころ編集部インバウンド需要が回復し、拡大していくなかで、訪日外国人旅行者からの多様なニーズに対応できるガイドの確保が重要といわれている。観光庁では訪日外国人を対象に、「ガイド人材に求められるニーズに関する調査」を実施した。ここでは、その結果を紹介する。なお、ガイド人材とは、通訳案内士法上の有資格者を含めた訪日外国人旅行者に対応するガイドを指す。
調査は羽田空港、関西国際空港、京都駅、浅草寺で行われ、実施期間は3月上旬の8日間、有効回答数は1897人だった。調査に回答した訪日外国人客については以下の通りで、英語圏が61.4%、非英語圏が38.6%だった。
ガイド利用経験者の満足度高く
それでは実際にガイドを利用した人たちの回答を見ていこう。
調査対象者のうち、ガイドの利用経験がある人は全体の17.4%に当たる330人だった。
利用経験のある330人に、ガイド人材の種別について尋ねたところ、「分からない」がもっとも多く、「全国通訳案内士」と「地域通訳案内士」はどちらも20.6%だった。
また、そのガイド人材の手配方法については、「旅マエ」が78.2%で、そのうち、「旅行会社に手配を依頼」が34.5%、「インターネット等から手配」が31.2%だった。
どのような場面で利用したのかと聞くと、寺院・城跡・史跡等の歴史的な観光名所・施設での利用がもっとも多く、全体の77.6%。ついで美術館・博物館・ギャラリー等の文化施設(32.4%)、飲食・グルメ(31.5%)と続いた。
また、利用したことのある人は「とても満足」(80.9%)と「やや満足」(15.5%)を合わせて、96.4%が満足していることもわかった。
その一方で、ガイドを利用しなかった人たちに理由を尋ねると、「インターネットで観光情報を入手できる」が32.0%ともっとも高く、ついで「小規模な旅行だったから」が26.1%で続いた。
なお、全員に全国通訳案内士という国から認められた職業について知っているかと尋ねた質問では、88%が「知っている」と答えた。ただし、日本の国家資格としての「全国通訳案内士」ではなく、一般的に「政府公認の通訳ガイド」を知っているか否かの質問と認識された可能性も否定できないことに留意する必要があるとしている。また、全国通訳案内士を利用したい理由としては、「プロのガイドとして知識が豊富だから」が72%でもっとも高く、「安心・安全でスムーズな旅ができると思うから」が19%、「語学の能力に長けているから」が8%だった。
訪日客のガイドへのニーズは?
続いて、ガイドのニーズについてだが、今後の利用意向を尋ねたところ、全体では45%が利用意向があると回答。また、過去にガイドを利用した人のほうが利用経験のない人に比べ倍以上に利用意向が高いことがわかった。
今後利用意向があると答えた855人にガイドの種別を尋ねると、全体では「こだわりはない」が5割を超えていた。通訳案内士法上の有資格者では、「全国通訳案内士」が20% 、「地域通訳案内士」が24%となっている。
ガイドを利用したいシーンは、「歴史的な観光名所・施設の案内」が75%でもっとも高く、「文化施設」が続いた。
ガイドに支払える1日1人あたりの金額は、「5000~1万円未満」が54%でもっとも高く、「1万円~5万円未満」が27.7%でそれに続いた。
訪日客が抱くガイドへの期待
全体に対し、ガイドに身につけておいてもらいたい知識について尋ねたところ、「文化体験における文化の成り立ちや背景」が90%ともっとも高く、次いで「歴史体験における歴史背景」が89%となり、異なる文化や歴史を体験する場面でのガイドの需要が大きいことがわかる。ついで「グルメ・飲食店」の82%が続く。
ガイドの勤務姿勢に対しては、「友好的な姿勢」が94%ともっとも高く、次いで「言葉の聞きやすさ」と「話しかけやすさ」が共に93%、「急病・災害等への対応」が91%だった。
最後に、旅先で一番強く特別感を感じるものについて尋ねると、「通常では見ることができない風景が見れた時」が56%ともっとも高い。次いで「通常では食べることのできないものが食べられた時」が24%、「通常では会うことができない人に会えた時」「通常では入ることができない場所に入れた時」が各8%と続く。
また、年代別では、70代以上で「通常では見ることができない風景が見れた時」を選んだのが79%と、平均よりかなり多かった。10代では、「通常では会うことができない人に会えた時」「通常では入ることができない場所に入れた時」の割合が他の年代と比べると倍近くあった。
観光庁では訪日外国人旅行者の満足度の高い旅行を支える観点から、ガイド人材全体の質の維持・向上、活用促進を図ることが肝要としており、今回の調査を、そのための基礎資料とするとしている。
(図版出典:観光庁「ガイド人材に求められるニーズに 関する調査結果」)
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