データインバウンド
2025年アメリカ観光統計、日米往来は双方230万人規模 日本は米国人旅行先でアジア首位
2026.06.15
やまとごころ編集部アメリカ国立旅行観光局(NTTO)が発表した2025年の年間統計(速報値・推計含む)によると、アメリカのインバウンド市場では、コロナ後の回復基調に初めて足踏みが見られた。一方で、米国民の海外旅行需要は引き続き拡大しており、インバウンドとアウトバウンドで対照的な動きが鮮明となっている。
また、日本は引き続きアメリカにとってアジア最大の訪米市場であり、米国人の海外旅行先としてもアジアで唯一トップ10入りを果たした。2025年の日米間の往来は双方とも約230万人規模となり、両国の旅行需要の強さを示す結果となった。
訪米外国人客数は5.7%減、コロナ後初めて回復基調が鈍化
2025年の訪米外国人客数(インバウンド)は6829万人となり、前年の7239万人から5.7%減少した。パンデミック後、順調な回復を続けてきたアメリカ市場は、2024年にはコロナ前(2019年:7940万人)の約91%まで回復していたが、2025年はその勢いが鈍ったことになる。
背景には、ドル高や米国内の物価高による旅行コスト上昇の影響があったとみられる。アメリカ滞在コストの上昇を受け、旅行先をメキシコやカリブ海地域、欧州へ変更する動きもみられた。特に最大の送り出し市場であるカナダからの訪問者数が大きく減少し、全体の数字を押し下げる要因となった。

米国人の海外旅行者数は1億1410万人、過去最高を更新
インバウンドが苦戦する一方、アメリカ人の海外旅行需要は引き続き拡大した。2025年の米国民の海外旅行者数は1億1410万人となり、前年比5.2%増加。コロナ前の過去最高水準だった2019年(9924万人)を大きく上回った。
ドル高を背景に、海外旅行の相対的な割安感が高まったこともあり、欧州を中心に旅行需要が拡大した。イギリスやフランスといった主要市場に加え、イタリアやスペインなどへの渡航も増加している。
訪米客数の減少と米国人の海外旅行拡大が同時に進んだ結果、2025年の旅行収支は約500億ドルの赤字となった。外国人旅行者がアメリカ国内で消費する額を、米国民が海外旅行先で支出する額が大きく上回った形だ。
コロナ後の回復局面では訪米需要の増加が市場を支えてきたが、2025年はインバウンドの減速とアウトバウンドの拡大が進み、旅行収支の赤字幅が拡大した。

日本は訪米市場4位、米国人の渡航先でもアジア唯一のトップ10
2025年の統計で注目されるのが、日本とアメリカの双方向の旅行需要だ。
アメリカへの国別入国者数ランキングでは、日本はメキシコ、カナダ、イギリスに次ぐ第4位となり、アジアでは最大の市場となった。訪米日本人客数は約235万人に達している。

一方、アメリカ人の海外渡航先ランキングでは、近隣のメキシコやカナダ、イギリスやイタリアなど欧州地域に続き、日本が世界8位にランクインした。アジア圏では唯一のトップ10入りで、訪日米国人数は約230万人となった。

日米間の往来は双方とも約230万人規模となり、両国間の旅行需要の強さがうかがえる。ただし、その背景にある環境は対照的だ。
日本からアメリカへの旅行は、円安と現地物価高という厳しい条件下で推移した。1ドル=150円前後の円安水準が続くなかでも、ハワイや西海岸、ニューヨークといった人気デスティネーションへの旅行需要に加え、ビジネスや留学需要が下支えし、日本はアジア最大の訪米市場を維持した。
一方、アメリカ人にとっての日本は、円安を背景に相対的な旅行コストの低下が追い風となった。食や文化、自然、治安などへの評価も高く、日本は欧州や中南米の人気渡航先と並ぶ存在感を示している。
ワールドカップ開催で訪米客数7050万人の回復を見込む
6月12日(日本時間)にアメリカ、カナダ、メキシコの3カ国共催によるFIFAワールドカップが開幕した。NTTOは2026年の訪米外国人客数について7050万人規模まで回復すると予測しており、大会による需要喚起効果に期待を寄せている。
一方で、開催都市への需要集中や旅行費用の上昇などを懸念する見方もある。ドル高や物価高が続くなか、ワールドカップが訪米需要の回復につながるのか、今後の動向が注目される。
【編集部コメント】
日米往来は堅調、問われる米国市場の見方
2025年のアメリカ観光市場は、訪米需要が前年比5.7%減とコロナ後初の足踏みを見せた一方、米国人の海外旅行は過去最高水準を更新した。注目すべきは、日本が訪米市場でアジア最大を維持し、米国人の渡航先としてもアジア唯一のトップ10入りを果たした点である。円安や物価高といった逆風下でも続く日米双方の需要は、市場の底堅さを示している。この数字をどう事業機会につなげるか。双方向の人流という視点で米国市場を捉え直すことが重要である。
(出典:アメリカ国立旅行観光局[NTTO])
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