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2026年1〜3月の世界観光客数は3.07億人、前年比2%増も中東情勢で3月の成長急減速 ーUN Tourism

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UN Tourism(国連世界観光機関)が発表した最新の「世界観光指標(World Tourism Barometer)」によると、2026年第1四半期の国際観光客到着数は推定3億700万人となり、前年同期比では2%増、約600万人の増加だった。1月は2%増、2月は3%増と堅調だったものの、2月末からの中東紛争による情勢悪化の影響で3月は0.4%増にとどまり、世界全体の成長にブレーキがかかった。

 

欧州・アフリカが成長をけん引、中東は14%減

地域別では、欧州とアフリカがいずれも前年同期比4%増と最も高い伸びを示した。欧州は世界最大の観光地域として、1〜3月に1億3000万人超の国際観光客を受け入れた。南欧・地中海と北欧はいずれも4%増、中・東欧は6%増となり、2025年からの回復基調を維持した。

アフリカも4%増となり、北アフリカ、サハラ以南のアフリカともに4%増を記録。特に3月の北アフリカは18%増と好調で、チュニジア(+26%)、モロッコ(+18%)が伸びをけん引した。一方、セーシェルは中東系航空会社の供給減の影響を受け、3月に37%減となった。

アジア太平洋は3%増にとどまった。1月の2%減から、2月には9%増と回復。ただし、3月は中東の航空ハブ混乱の影響で南アジアが27%減となり、地域全体では2%増に鈍化した。なお、オセアニア(+9%)と北東アジア(+5%)は好調だった。アジア太平洋全体の到着数は依然として2019年比11%減の水準にある。

北中南米は2%増だった。同地域の観光客数の60%以上を占める北米は2%増で、メキシコ(+7%)が伸びをけん引。中米は18%増と好調だった一方、南米は1%減と地域内で明暗が分かれた。

中東は、情勢悪化の影響により、航空規制や運航混乱、不確実性の高まりが観光需要に影響、第1四半期で14%減となった。複数の湾岸諸国で大幅な減少がみられた一方、エジプトは16%増と堅調だった。

 

新興観光地が高成長、パラグアイは46%増でトップ

続いて国・地域別の国際観光客到着数の伸び率を見ていくと、パラグアイ(+46%)、ニューカレドニア(+45%)、エルサルバドル(+43%)、モンゴル(+39%)、パラオ(+37%)、ウズベキスタン(+37%)などが高い伸びを示した。

 

また、国・地域別の観光収入の伸び率では、パキスタン(+60%)、韓国(+38%)、モンゴル(+27%)、モロッコ(+24%)、ブルネイ(+22%)などが2桁成長となった。

 

航空・宿泊需要も減速、中東ハブ機能の混乱が波及

IATA(国際航空運送協会)によると、2026年第1四半期の国際航空旅客輸送量(RPK)は4%増となったが、中東は16%減。3月単月では世界全体で1%減、中東系航空会社は61%減となった。国際航空座席供給量(ASK)は第1四半期で2%増だったが、3月は6%減となり、中東では57%減少した。

宿泊施設の世界平均稼働率は2026年3月に64%となり、前年同月と同水準だった。地域別では、欧州、北中南米、アジア太平洋がいずれも65%、アフリカが56%、中東が48%。中東のホテル稼働率は1月の75%から3月には48%へ低下した。

 

2026年通年見通しは下方修正、当初予測を1〜2ポイント下回る可能性

UN Tourismは、中東情勢悪化の影響により、2026年の国際観光客数の成長率が当初予測の3〜4%を1〜2ポイント下回る可能性があるとしている。航空路線の混乱、旅行者心理の悪化、原油価格やジェット燃料価格の上昇による航空運賃の上昇が、需要や旅行先選択に影響するとみられる。

専門家パネル調査では、64%が中東紛争によって自地域への需要が悪影響を受けていると回答。今後5〜8月については、39%が前年同期より改善すると予想する一方、31%は悪化すると見込んでおり、先の見通しについて業界関係者の見方は分かれている。

 

【編集部コメント】

観光需要の回復から「不確実性への対応」が問われる局面へ

世界の国際観光は2025年にパンデミック前を上回る水準まで回復したが、2026年は「回復後の成長」が地政学リスクに左右される局面に入っている。特に中東は、観光地としてだけでなく、アジア・欧州・アフリカを結ぶ航空ハブとして世界の旅行動線に影響を及ぼす存在だ。今後は、航空供給や燃油価格の変動、近距離旅行・国内旅行へのシフトが、各国のインバウンド市場にも波及する可能性がある。日本にとっても、長距離市場の動向や航空座席供給の変化を注視しつつ、アジア近距離市場と欧米豪市場の双方で柔軟な誘客戦略が求められる。

(出典:UN Tourism, World Tourism Barometer Q1 2026

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