インバウンドコラム

異業種から学ぶデジタルマーケティング —バスケットボールのプロ B.LEAGUEが行うデジタル施策とは?(後編)

2019.12.25

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11月21日に一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会(IDM)が開催したセミナーレポートの前編では、海外政府観光局の日本事務所として日本人向けにプロモーション施策に取り組んできた3人の方に、観光地のマーケティング伺った内容をお届けした。後編では、スポーツ業界のデジタルマーケティングとして、日本のプロバスケットボール B.LEAGUE(Bリーグ)が取り組むデジタルマーケティング施策を紹介する。

 

B.LEAGUEのデジタルマーケティング

登壇者:B. MARKETING株式会社取締役塚本陽一氏

 

野球、サッカーに次ぐ第三の規模を誇るバスケットボールプロリーグB.LEAGUE

バスケットボールのプロリーグであるB.LEAGUEは、2015年に、20年以上にわたり分裂が続いていたNBL(実業団リーグ)とbjリーグ(プロリーグ)の統合によりスタート、今年の秋に、4シーズン目を迎えた。

日本では、バスケットボールのプロリーグは、野球、サッカーに次ぐ三番目の規模といわれているが、プロ野球やJリーグとの比較ではリーグの認知度が低い状況となっている。B.LEAGUEでは、そういった状況も踏まえ「国民的スポーツとしての認知度の向上」「アメリカプロリーグのNBAに次ぐリーグとしての地位の確保」「あこがれの職業No.1、就職したい企業No.1」という3つのビジョン、および「世界に通用する選手・チームの輩出」「エンターテインメント性の追求」「夢のアリーナの実現」という3つのミッションを掲げている。

さらに、野球やサッカーなどのスポーツとの大きな違いは、女性ファンの多さにある。B.LEAGUE会員に占める女性の割合は45.2%、チケット購入者数の51.2%が女性だ。また、多くのファンが都内在住者で、特に関東圏のファンの大多数は25~33歳だという。

実はあまり知られていないが、全世界での競技者人口が最も多いのがバスケットボールで4.5億人と、ポテンシャルを秘めた競技だ。

 

2020年以降もビジネスとして盛り上げるためのB.LEAGUEの取り組み

東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年は、スポーツ界にとっては一つの特需ともいわれている。この機会にどれだけ業界自体を盛り上げられるかにかかっており、各スポーツ業界ではプロモーションに余念がない。一方で、2020年以降のマーケット規模縮小の懸念もぬぐえない。

そこでB.LEAGUEでは、ビジネスとして2020年以降もマーケットを拡大すべく5つの施策を掲げており、その1つがデジタルマーケティングだ。

コアファンとのエンゲージメントを強化するだけでなく、お客様の属性にあわせたコミュニケーションを実施していきたい。そこで、改めてお客様とB.LEAGUEの接点の一つ一つがワクワクする体験となっているのか、カスタマーエクスペリエンスを見直すための地道な取り組みを始めている。

そんな中で、デジタルマーケティングに関しては3つの施策を説明した。

 

B.LEAGUEが行う3つのデジタルマーケティング施策

1つ目は、デジタルマーケティングを行うにあたっての大前提にあるDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)の構築だ。データや情報の一元管理や分析、プロモーションなどに活用するDMPは、スポーツ業界では、野球やサッカーでも利用されている。ただし、個々のチームごとでのデータ管理にとどまっていることが多く、リーグや業界全体での一元化には至っていないケースが多い。

一方、バスケットボール業界で特徴的なのは、B.LEAGUEに限らず、バスケットボール業界全体で統一したデータベース構築を目指していることだ。「すでに、B.LEAGUEでのDMP構築は着手している。将来的にはバスケットボール業界全体としてのデータの一元管理に向けて検討をすすめていきたい。」と塚本氏は話す。

 

最新テクノロジーの導入など、積極的に海外事例を取り込む

2つ目の取り組みは、B.LEAGUEの観戦チケットの販売システムを刷新、3Dのシートマップからのチケット購入が可能になったことだ。これはアメリカのNBAの仕組みを参考にしたもので、アリーナに観戦に訪れる前からワクワクしてもらえることを狙ったという。

3つ目に、NPS(顧客推奨度)調査の実施だ。試合観戦者に対して「もう1回バスケの試合を見に行きたいか」「誰かをバスケ観戦に誘いたいか」というリピート意向や推奨意向を聞き、来場者増に向けたボトルネックが何かを分析する。

 

将来的には、バスケ観戦目的でのインバウンド誘致も

デジタルマーケティングだけでなく、B.LEAGUEをフックとしたインバウンド誘客についても、アジア市場をメインターゲットに検討している。

まず第1段階として、2020年~2021年シーズンにかけて外国人プレイヤーに関するルールの改正を検討している。現在のB.LEAGUEのルールでは、バスケットコートで同時にプレイできる外国人選手は5人中2人までと決められているが、「アジア特別枠」として該当するアジア圏の選手はオンザコートの縛りなくプレイできるようにする。

第2段階としては、中国やフィリピンなどバスケットボール熱が高まっている地域に、B.LEAGUEの試合を放映してもらうなどアジア地域におけるマーケティングを強化していく。

こうした取り組みを通じ、Jリーグで活躍するタイ選手の活躍を見るための訪日観戦ツアー需要があるように、現地で日本の試合の映像を見た人たちの、「NBAだけでなく、B.LEAGUE観戦に日本に行ってみよう」といった訪日意向や機運を高めていくことが第3段階となる。

 

バスケットボールで地方創生

B.LEAGUEは、北は北海道から南は沖縄まで、B1・B2クラブあわせて全部で36チームあることも強みだ。今後は、この強みを活かして地方創生にも取り組んでいくが、その絶好のチャンスが4年後にやってくる。 沖縄が2023年に開催される「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」の開催地に決まったことだ(インドネシア・フィリピンとの共同開催)。 2019年にラグビーが日本で盛り上がったように、バスケットボールワールドカップでも、日本人外国人問わず大勢の人に試合観戦に沖縄を訪れてもらい、バスケットボールや沖縄を盛り上げていきたいという。

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【開催概要】
IDMセミナー2019『各国政府の観光マーケティング/ スポーツマーケティングを学ぶ』
開催日時:2019年11月21日(木)16:30~18:00
場所:INBOUND LEAGUE 2F (〒160-0022 東京都新宿区新宿 5-15-14)
主催:一般社団法人インバウンド・デジタルマーケティング協議会

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