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国際観光復活の2022年、世界の都市デスティネーション・トップ100 欧州が優勢、東京はアジア2位

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イギリスに本社を構える国際市場調査会社ユーロモニター社が、2022年の世界の都市デスティネーション・トップ100(Top 100 City Destinations Index 2022)を発表した。世界100都市の魅力を6つの主要カテゴリー(経済・ビジネス実績、観光実績、観光インフラ、観光政策と魅力、健康と安全、持続可能性)で比較し、総合的にランク付けをしている。

2022年、多くの地域で入国規制が緩和・撤廃され、世界中の都市では外国人観光客の入国者数が劇的に増加、何年も離れていた家族や友人を訪ねるため、あるいはパンデミック中に行けなかった旅行を取り戻すためのリベンジ旅行など、国内外のレジャー旅行に再び出かけようとする旅行者の恩恵を受けている。それに伴い、旅行・観光業界は、労働力不足の深刻化、インフレ、経済の不確実性の高まりなど、新たな課題に直面した。このため、効率性の向上、気候変動の影響の緩和、スマートな都市開発のサポート、グリーンクレデンシャル(環境への配慮に関する信頼性)の強化、アフターコロナの観光地の強化など、都市への期待も高まっている。

そんな今年のトップ100は引き続きヨーロッパがリードしており、昨年から1都市増え最多の40都市がランクインした。昨年と比較してランクアップしたのは45都市で、なかでもアジアの都市が大きく順位をあげた。新興国・途上国の42都市は、「観光実績」と「健康と安全」の向上がランクアップに貢献した。

 

パリが2年連続1位に。トップ10は昨年同様の顔ぶれ

2021年に引き続き、2022年もパリが総合評価で首位を獲得した。「観光政策と魅力」「観光インフラ」「観光実績」「持続可能性」のカテゴリーで優れたパフォーマンスを発揮した。次いでドバイが僅差で2位を維持、MICE観光の復活とドバイ万博の開催を受け、好成績を収めた。トップ10の顔ぶれは、多少の順位変動はあるものの昨年同様で、ヨーロッパの主要観光地である8都市に、ドバイ、ニューヨークが食い込む形となった。

2022年のインバウンド消費額は前年比112%増が見込まれているように、国際観光の力強い回復が、世界都市の回復力を支える重要な要因の一つとなっている。地域内旅行、旅行規制の緩和、価値主導のツーリズムがさらにその魅力を高めている。消費者が休暇の訪問先として好むのは、国内旅行と短距離フライトで行ける場所だ。ただし、ウクライナ戦争に伴うインフレの高騰や経済状況の悪化などのリスクは、2022年末にかけて回復のペースに影を落としているという実情もある。

 

アジアはトップ10圏外 低調な中東・アフリカ

ヨーロッパは総合1位のパリの他に40都市がランクイン。トップ100にはイタリアが6都市、スペインが5都市、ギリシャが4都市ランクインしていて、ヨーロッパを代表する国々として特に強い存在感を示している。

アジアは26都市がランクイン。ヨーロッパに次いで2番目に多い地域となったが、トップ10に入る都市はない。上位にはシンガポール(昨年24位)が15位でアジア最高位となり、東京(昨年15位)が20位、ソウル(昨年35位)が26位と続いた。今年のアジアのランクアップの柱は、「観光政策と魅力」「健康と安全」である。

アメリカ大陸からは3番目に多い18都市がランクイン。「観光実績」での高評価が功を奏し、5都市が順位を上げている。2022年の国内観光は引き続き伸びているが、パフォーマンス向上の主な要因は、国際需要の力強い回復である。

中東・アフリカは他の地域よりもランクインした都市は少ないものの、2年連続で域内1位を獲得したドバイは、総合評価でも2位に輝いた。この地域の都市は、「健康と安全」「経済・ビジネス実績」「観光実績」で最高のパフォーマンスを示している。

 

回復力と革新性が都市開発のキー 持続可能性が前面に

レポートによると、観光需要の回復を受けて、世界中の都市では、労働力不足に対処しつつ、増加する需要に対応するため都市のインフラや観光施設の整備に引き続き注力している。

都市はまた、長期的な回復力を維持するために、新しい市場分野の開拓に非常に積極的だ。MICEへの補助金、高級ホテルの供給、デジタルノマドへのインフラ整備に一層注力し、長期的な戦略を打ち出していくだろう。多くの観光地ではスマートシティの採用が進んでおり、ユーザー体験の向上、エンゲージメントの促進、観光客のアクセシビリティの確保に繋がるメタバース空間への移行が進んでいる。

都市部の観光地開発の中心となるのは引き続き、持続可能性だ。旅行や観光がより心豊かで責任あるものになるにつれ、旅行会社と消費者の双方から、より持続可能性の実現に向けた行動が促進される。さらに、地方都市の努力によって、持続可能な取り組みがさらに進み、環境と社会的責任に沿ったさらなる革新が促されることも期待される。

2022年は旅行と観光にとって良い年だった。ただし、パンデミック後の完全な復興への道のりは長く、すべての地域で政府の支援が重要であることに変わりはないとレポートは結んでいる。

 

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