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2023年1-6月の世界の航空需要,強い回復傾向を維持。6月もアジア太平洋中心に需要増続く

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IATA(国際航空運送協会)によると、2023年上半期(1月〜6月)の世界の航空需要は前年同期比47.2%増(2019年同期比9.7%減)となり、引き続き強い回復傾向を維持していることがわかった。特に目立つのはアジア太平洋地域の復調で、前年同期比125.6%増(2019年同期比20.3%減)となっている。今年初めに地域最大の市場である中国の出入国制限が緩和されたことで地域全体に勢いがついた。また北米地域は2019年同期比で唯一、プラスとなった。

▶︎2023年上半期(1月〜6月)の世界の航空需要
   青=2022年同期比、赤=2019年同期比

 

 ▶左より、北米、中南米、中東、欧州、アフリカ、アジア太平洋、総合  

(出典:IATA Air Passenger Market Analysis )

 

6月は2019年水準の9割超える回復

さて、ここからはいつものように月別の航空需要を見ていく。2023年6月の総RPK*は、パンデミック前の2019年同月比では94.2%まで回復、前年同月比では31.0%増となった。国際線RPKはパンデミック前の88.2%まで回復。また、国内線RPKは2019年同月比5.1%増となり、3カ月連続で2019年の水準を上回った。
(*RPK:有償旅客が搭乗して飛行した総距離=revenue passenger kilometers:有償旅客数×輸送距離)

 

北米が国際線の回復をリード

国際線RPKは北米が回復をリードしており、2019年同月比2.0%増と、全地域で唯一パンデミック前の水準を超えた。アジア太平洋地域は、2019年同月比29.0%減といまだ世界には遅れをとっているものの、前年同月比128.1%増と回復に勢いがある。

一方、5月に大きく回復した中東地域が一転、マイナスになっているが、これは2019年5月の同地域が構造変化による低水準だっため、そこからの回復で一気に増えたようになった。

欧州は先月より2.4ポイント減らし、横ばい状態が続いている。中南米はここ数カ月需要増が続いており、2019年の水準に6.1%まで迫ってきた。

 

アジア太平洋地域の国内線、2019年比8%増

6月の国内線RPKは2019年同月比で5.1%増となり、4月から3カ月続けてパンデミック前を上回った。特に目立ったのがアジア太平洋地域で、2019年同月比8.0%増だった。

国別では中国の国内線RPKが2019年同月比15.2%増を記録。オーストラリアと日本も共に2019年同月比3.9%増となっている。5月に初めてプラスに転じたブラジルは2カ月連続で2019年同月比を上回る数字を残した。

夏休みシーズンスタートで好調続く

IATA事務局長のウィリー・ウォルシュはこの結果を受け、「北半球の夏の旅行シーズンが始まる6月は、二桁の需要の伸びと84%を超える平均搭乗率で好調なスタートを切った。飛行機が満席になったということは航空会社にも地域経済にも、そして旅行・観光に関連した雇用にとっても明るいニュースだ。全て業界が回復基調の恩恵を受けている」と話した。

 

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