データインバウンド
航空機利用の旅行者が求める空港体験の効率化、生体認証も5割が経験ー2024年 IATA旅行者調査
2024.11.25
やまとごころ編集部国際航空運送協会(IATA)は、2024年世界旅客調査(GPS)の結果を発表。昨年に引き続き、旅行者からは空港体験の効率化への要求が大きかった。また、テクノロジー利用に積極的な姿勢も明らかになっている。この調査は2012年から行われており、今年は世界200カ国、1万人を超える航空機利用者が対象となった。
全世界旅行者の航空券の予約、オンライン利用が7割
まずは、航空機を利用した旅行の満足度について、旅客の82%が満足していると回答し、これは2023年と変わらなかった。2019年と比べると7ポイント高くなっており、コロナ以降の体験は満足度が上がっていることがわかる。
ただし、預け入れ荷物の受け取りに関しては65%しか満足しておらず、16%が不満を感じると回答していた。
なお、空港の選択に関しては、優先するのは空港の所在地(68%)、所要時間(33%)、航空券の価格(25%)の順だった。価格より利便性が重要視されるのがわかる。
予約に関しては、72%がオンラインで航空チケットを予約しており、対面を好むのは16%に過ぎなかった。また、オンライン予約で利用するサイトは、多い順に航空会社のウェブサイト(37%)、航空会社のアプリ(16%)、OTAのウェブサイト(9%)、価格比較ウェブサイト(8%)だった。
さらに、予約時にすべての情報が1カ所で確認できること(32%)、何が含まれ、何がオプションであるか明確であること(28%)を希望する回答者が多かった。これについては航空チケットのみならず、あらゆる商品の予約時に望まれることだろう。
支払いについては、79%の旅行者がクレジットカードまたはデビットカードでの支払いを好み(2023年から8ポイント上昇)、次いで20%がデジタルペイメントを使用(2ポイント上昇)している。
空港内での時間短縮のために進むテクノロジー利用意向は?
旅行客は空港到着時からゲートまで行く時間を短縮したいと考えている。たとえば、機内持ち込み手荷物のみで旅行する場合、空港の入り口から搭乗ゲートまで30分以内で移動することを期待していると答えたのは72%で、機内持ち込み手荷物と預け入れ手荷物がある場合は45分以内と回答した人が76%、車椅子利用や特別な介助が必要な乗客の79%は1時間以内と答えている。もちろんこれは空港内での買い物や食事の時間は含まれない。
旅程のすべての段階において、効率化への要求が最も多いが、中でも37%の旅客が保安検査時の行列の減少を、52%の旅客は迅速な搭乗ができるように求めている。 搭乗時に関して言えば旅行者はさらに、バスで移動することへの不満や機内持ち込み荷物のスペースの確保の必要性も感じている。
空港内でかかる時間を短縮するために、生体認証の利用が進んでいるが、旅行者の2人に1人(46%)は2024年に空港で利用し、そのうち84%が利用に満足したと回答、73%がパスポートや搭乗券を示す代わりに生体認証を利用したいと回答した。とはいえ、生体認証の利用に不安があるのも事実で、半数以上がデータの漏洩に不安を感じると答えている。
ただ、これにも世代間の差があり、25歳以下では、50%(全世代の平均39%)が、データが安全であれば生体認証を利用すると答えているほか、90%がスマホのデジタルウォレットで(同77%)、51%がデジタルウォレット(同21%)で支払うと回答。若い世代は旅行体験の向上のためにテクノロジーを進んで使う意向であることがわかった。
地域で異なる旅行で重視する要素、生体認証データ共有への意向も大きな差
レポートは最後に地域ごとの旅行者の特徴を挙げている。
アフリカ地域の旅行者は、旅行代理店を通じて航空券を予約する傾向が高く、旅程を合理化するためのデジタル・ソリュー ションやテクノロジーの導入に強い関心を示す。他の地域と比較すると、複雑なビザ要件が旅行をためらう大きな要素となっている。
中東地域の旅行者は、空港の施設やサービスを重視して空港を選ぶ傾向が強く、他の多くの地域よりも、フライトの予約に人間の介在を望む。その一方で、支払いや空港での手続きのために、デジタルウォレット、デジタルパスポート、ポイントカードをスマホに保存することに積極的だ。
アジア・太平洋地域の旅行者は、出発空港を選ぶ際、最も価格に敏感であり、モバイルアプリ、デジタルウォレット、生体認証の利用が進んでいる。複雑なビザ要件は、ここでも強い抑止力となっている。
欧州地域の旅行者は、航空会社のウェブサイトから予約し、クレジットカードやデビットカードで支払う傾向が強い。旅行体験を向上させるためのデジタルソリューションの利用や個人情報の共有には慎重だ。また、プロセスを迅速化するために生体認証データを共有する傾向が最も低く、共有した場合の満足度は他地域の旅行者よりも低い。
中南米の旅行者は、支払いの柔軟性を最も重視し、他の地域よりも分割払いを好む。領事館や大使館でビザを取得する傾向が他のどの地域よりも強い。生体認証の利用は他地域より少ないが、同技術の導入に強い意欲を示し、利用時の満足度も高い。
北米の旅行者は、デビットカードやクレジットカードでの支払いを好み、支払いにポイントを最も頻繁に利用。空港での手続きには生体認証を積極的に利用し、高い満足度を示している。ほぼ全員が、空港でのセキュリティチェックをより「軽い」ものにするため、事前にデータを提供することに関心がある。
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