インバウンド特集レポート
2022年も残すところあとわずか。今年10月には、欧米や東南アジアに1周遅れをとったものの、ついに日本でもインバウンド観光客の受け入れが本格的に再開されました。
パンデミックの行動制限のある日々を経て、国内旅行はもちろんのこと、海外へ足を運ぶ人が増えた年でもありました。
改めて、2022年の観光/インバウンド業界はどのような1年だったのか、編集部がセレクトした注目の話題とともに、今年を振り返ります。
1. 2年半以上ぶりに、日本がインバウンド観光本格再開
2020年1月末に日本でも新型コロナウイルス感染症が拡大、2年半以上にわたる厳格な水際対策を経て、2022年10月11日に個人旅行客の受け入れを開始、これにより本格的にインバウンド観光が再開しました。
現在も、ワクチン接種証明あるいはPCR陰性証明書の提出は必要ではあるものの、ビザなし個人旅行の受け入れ再開によって、多くの外国人観光客が日本を訪れるようになりました。
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2. 世界各国・地域で一足早く国際観光再開、各地域で賑わいを取り戻す
コロナとの共存を早くに決断した欧米や東南アジアでは、日本より一足先に観光客の受け入れを再開しました。
欧州や東南アジアでは昨年より段階的にインバウンド受け入れを再開。2022年は各種規制を撤廃して制限のない往来を進めたことで、旅行需要が急速に回復した1年でした。日本より半歩から1歩前を進んでいる各国・地域の状況からは、たくさんの刺激や学びを得ました。
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3. 世界規模の旅行博など本格再開、現地に足を運ぶ関係者も
各国・地域の観光再開とともに、この2年間オンライン主体で行われていた旅行博や商談会もリアル開催に戻りつつあります。やまとごころでも、2022年は商談会やイベントへ足を運んだ方の現地レポートを複数紹介しました。
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4.プラ新法施行、宿泊施設や飲食店でのプラごみ削減に向け取り組み加速
2022年4月1日に施行された「プラスチック新法」により、歯ブラシやかみそり、ブラシなどのアメニティを提供する宿泊事業者には、プラスチック製品削減に向けた取り組みが課せられるようになりました。
必要なアメニティを選んで持っていく形式のアメニティバー導入、プラスチックから竹製への変更、有料提供など、各宿泊施設が顧客のニーズなどに応じて取り組んでいます。今はまだ無料提供の宿泊施設が主流ですが、今回の新法施行が「アメニティ=有料」が当たり前となる第一歩となるのかもしれません。
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5. 旅行・観光開発力ランキング、2021年版で日本が総合ランキング1位に
世界経済フォーラムが2年に一度発行する旅行・観光開発ランキング。「持続可能性」「レジリエンス力(回復力)」が新たな指標として追加された2021年版で、日本が総合ランキング1位になり、多くのメディアが報道して話題になりました。レポートからは、日本の強みや今後改善すべき課題が見えてきました。
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・旅行・観光開発ランキング 「持続可能性」を考慮した2021年版で日本1位に —世界経済フォーラム
6. ロシアのウクライナ侵攻、欧州行きなどの航空路線や燃油価格に大打撃
北京での冬季オリンピック閉幕直後の2月末に本格化したロシアによるウクライナ侵攻は、パンデミックから立ち直りつつあった観光業界にも大きな影響を与えました。航空路線は欧州便を中心に欠航になり、航空会社は航路変更を強いられました。また世界中で原油高によるインフレが続き、モノの値段が上昇しています。とはいえ、世界情勢の悪化の中で一時的に減少したものの、旅行需要は回復を続けています。
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7.旺盛な旅行需要も、長引くコロナ禍により慢性的な人材不足が影響
世界中で旅行需要が急速に回復した1年間でしたが、一方で増加する需要に対して人員確保が間に合わず、供給できない状況が続いています。
欧州では、航空路線が相次いで欠航したほか、過酷な労働条件に反発した従業員によるストライキなどで、旅行需要を取りこぼす事態に見舞われました。日本でも、10月以降急速に旅行需要が回復するなか、人材が確保できず、稼働率を上げられない状況に陥っており、この影響は2023年以降も続くことが予想されます。
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8.サステナブル・ツーリズム、日本国内でも本格的に推進
前述のプラスチック新法の施行に象徴されるように、コロナ禍で日本国内でもSDGsやサステナビリティへの意識が高まるとともに、観光業でもサステナビリティの推進が進みました。観光庁も、2022年はサステナブルな観光コンテンツ造成や観光地経営の実現、人材育成に向けて、複数の事業を展開しました。また、2021年に、Googleが宿泊施設に対してサステナビリティ認証マーク表示をはじめましたが、2022年は楽天トラベルなど国内OTAでも同様の取り組みがスタートしました。ようやく日本でも、サステナビリティに対して、一部の先進企業が取り組むものでなく、社会全体として欠かせないものとして認識されるようになった年といえそうです。
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9.2023年のアドベンチャートラベルワールドサミット@北海道開催に向けて、機運高まる
2021年に北海道で開催されたアドベンチャートラベルワールドサミットは、コロナ禍で残念ながらオンライン開催になりましたが、2022年のスイスルガーノを経て、2023年は再び北海道で開催されます。世界中からアドベンチャートラベルのプロや専門家が北海道に集結するため、北海道を中心に全国各地でアドベンチャートラベルの商品造成や磨き上げ、人材育成などあらゆる面での質の向上に取り組んでいます。
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・【鼎談】世界が注目、アドベンチャートラベルに求められる「人材」の姿(前編)
・【鼎談】アドベンチャートラベル人材の「質」「量」底上げへの課題と取り組み(後編)
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10.台湾、香港など東アジアの開国進むも、ゼロコロナ政策続く中国
2022年10月、日本の入国規制緩和と時を同じくして、台湾や香港などの入国規制も緩和に向かい、世界的にインバウンド再開が進んだ1年でした。そのなかで、2022年を通じて、ロックダウンをはじめとする厳格な規制を強い、ゼロコロナ政策を続ける中国の姿が浮き彫りになりました。
中国でも、厳しい規制に対して批判が高まっており、緩和の動きもみられますが、本格的なインバウンド観光再開は2023年に棚上げとなりそうです。
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