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2023年定時運航ランキング 航空会社部門トップ10にANAとJAL、伊丹空港が中規模空港1位

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航空業界のデータ分析を提供するCirium(シリウム)が2023年版の世界の航空会社と空港を対象とした定時運航ランキングを発表した。

航空会社の定時到着率では、グローバル部門でコロンビアのアビアンカ航空が1位、ANA7位、JAL8位にランクインした。また、空港の定時出発率では、グローバル部門で羽田空港が10位を獲得したほか、中規模空港で大阪国際(伊丹)空港が1位、小規模空港で中部国際空港が2位を獲得した。

Ciriumによると、2023年は航空業界がパンデミックの影響から抜け出し、力強い回復力を示した年となった。定期旅客便は3200万便を超え、旅客数はピークとなる夏期にはパンデミック前の水準を僅差で上回った。これは、前例のない困難に直面していた業界にとって極めて重要な瞬間だったといえる。

回復の度合いは地域によってばらつきはあるが、牽引したのは米国と西ヨーロッパ市場。米国国内市場の旅客収入は第3四半期までに2019年の水準を20%上回った。とはいえ、この需要急増は、人員不足や競争の激化、運航コストの上昇など、それなりの課題を伴うものでもあった。

それではここから、航空会社と空港の定時運航ランキングを紹介する。

 

航空会社の定時到着率、APAC部門でANA1位、JAL2

航空会社の定時運航とは、各フライトが到着予定時刻から15分以内に到着したかどうかを示す「定時到着率」に基づいてランク付けされる。

グローバル部門のうち、航空会社単体の実績が対象となる「メインライン部門」で1位に輝いたのは、アビアンカ航空で、定時到着率は85.73%だった。アビアンカ航空はコロンビアのフラッグキャリアで、現存する中では世界で2番目に古い航空会社だ。2021年12月に破産から脱却した後、機体の近代化、顧客満足度の向上、運航効率の改善で再建に成功、アメリカ大陸とヨーロッパ全域で、旅客便による広範囲な路線ネットワークを運航するスターアライアンスのメンバーだ。

続いで2位に入ったのは、前年1位のブラジルのアズール航空だった。

前年2位のANAは7位で定時到着率82.75%、前年3位のJALは8位で82.58%だった。この日系2社は、定時運航アワード(オンタイム・パフォーマンス・アワード)の創設以来、グローバル部門でもアジア太平洋(APAC)部門でも好成績を残しており、2023年のAPAC部門ではANAが1位、JALが僅差で2位だった。

なお、1月2日に羽田空港で起きた衝突事故で、JALの乗員乗客が全員無事に脱出した対応について、海外のメディアは「奇跡だ」と伝え、「乗務員が教科書通りの避難」ができたのはJALの安全運航訓練のたまものと高く評価した。

また、グローバル部門4位で定時到着率84.72%、フライト数1635486便のデルタ航空は定時運航の実績みならず、航空会社のネットワーク、フライト数、フライトの遅延や欠航といった乗客への影響を最小限に抑える能力など、総合して優れた航空会社に贈られる「プラチナム・アワード(最優秀運航実績賞)」を3年連続で受賞した。

 

空港ランキングではアメリカ、インドが健闘

空港を対象としたランキングでは、航空機が出発予定時刻から15分以内に出発したかどうかを示す「定時出発率」をもとに順位付けが発表される。空港の規模別に、「グローバル空港」「大規模空港」「中規模空港」「小規模空港」に分かれる。2021年、22年と連続して、すべてのカテゴリーで日本の空港が1位に輝いたが、2023年は変化があった。

「グローバル空港」は、運航された月間フライト総数で上位10%に入り、自国を含めて、アジア太平洋、ヨーロッパ、北米など3エリア以上に運航している空港が対象となる。

1位に輝いたのはアメリカのミネアポリス・セントポール空港で、定時出発率は84.44%。同空港は大規模空港でも1位となっている。アメリカの空港は他にも4空港がトップ10にランクイン。インドは2空港がトップ3に入っている。2022年1位の羽田空港は定時出発率80.51%で10位となったが、フライト総数は45万便を超え、トップ10で最も忙しい空港だった。

中規模空港の首位は大阪国際空港(伊丹空港)で、年間13万便以上で定時出発率は90.71%。小規模空港トップはエクアドルのマリスカル・スクレ国際空港で定時出発率は90.29%で、4.1万便。2位は中部国際空港(90.17%)で、7.3万便だった。

 

2024年の旅客数は2019年を上回る

改めていうこともないが、航空会社の業績が空港の業績に連動していること、またその逆も然りであることは明らかだ。

ACI(国際空港評議会)ワールドのルイス・フェリペ・デ・オリベイラ事務局長は今回のレポートで、「2024年は世界の旅客数が94億人と、92億人を迎えた2019年を上回る節目の年になると予想されている。上昇要因としては、中国市場の再開と国内旅行の急増の定着、サプライチェーンの混乱が徐々に落ち着くこと、インフレが鈍化することなどが挙げられる。下振れリスクは依然として存在するものの、ACI加盟空港とパートナーの献身的な努力と定時運航実績などを目の当たりにし続けており、私たちは業界の将来について楽観的である」と述べた。

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