データインバウンド
2026年7月版パスポートランキング 世界最強はシンガポール、日本2位、UAEが半年で3ランク上昇
2026.08.04
やまとごころ編集部ヘンリー・アンド・パートナーズ(Henley & Partners)は、査証(ビザ)の要否を基に各国・地域のパスポートの渡航自由度を比較する「ヘンリー・パスポート・インデックス」の2026年7月版を発表した。国際航空運送協会(IATA)のTimaticデータを基に199のパスポートについて227の渡航先へのビザ要件を比較したもの。日本は韓国、アラブ首長国連邦(UAE)と並ぶ世界2位を維持した。
今回は、今年1月版からの順位変動に加え、公表開始から20周年を迎えた同指数が示す長期的な変化も紹介する。
日本は2位を維持、188の渡航先で世界トップクラス
日本のパスポートは188の渡航先へビザなしまたは到着ビザで入国でき、シンガポール(192)に次ぐ2位となった。順位は今年1月版から変わらず、韓国、UAEと同順位である。アジア勢が引き続き世界上位を占めており、日本の高い渡航自由度も維持された。

UAEが半年で3ランク上昇、世界2位に並ぶ
今回最も大きく順位を上げたのはUAEだった。1月版では5位だったが、3ランク上昇し、日本、韓国と並ぶ2位となった。渡航可能先は184から188へ増加した。
同指数では、UAEはこの20年間で最もパスポートランキングを伸ばした国とされる。2006年には35の渡航先(62位)だったが、現在は188(2位)となり、この20年間で153の渡航先を追加し、60位ランクアップした。
UAEは観光やビジネスの国際ハブを目指し、外交や航空・観光分野での国際協力を進めてきた。その結果、各国との相互査証免除協定が拡大し、自国民の渡航自由度も大きく高まったとヘンリー・アンド・パートナーズは分析している。
▶︎2006~2026年 パスポートランキング上昇幅 上位8カ国・地域
(左より、UAE、アルバニア、ウクライナ、セルビア、コソボ、ボスニアヘルツェゴビナ、コロンビア、ミクロネシア連邦)
この半年でイギリスが順位上昇、スウェーデンは単独3位に
1月版からの変化では、スウェーデンが渡航可能先を1カ国増やし、同率3位から単独3位となった。イギリスは中国、マラウイとの査証免除措置により6位へ浮上したほか、カナダも7位へ順位を上げた。一方、アメリカは渡航可能先を1カ国増やしたものの10位にとどまった。
今回の順位変動は、UAEの躍進を除けば大幅な入れ替わりではなく、各国がビザ免除対象を1~数カ国増やしたことによる小幅な変化が中心だった。上位国の顔ぶれは大きく変わらなかった一方、こうした各国の査証政策の積み重ねが順位に影響を与えたことがうかがえる。
20年間で「パスポート格差」は拡大
今年はヘンリー・パスポート・インデックスの公表開始から20周年に当たる。この20年間で、平均的なパスポートで渡航できる国・地域数は、2006年の58から現在の108へとほぼ倍増した。
▶︎平均的なパスポートの渡航自由度(2006~2026年)

一方、最下位のアフガニスタンのパスポートで渡航できる国・地域数は12から22へ増加したものの、伸びは限定的だった。
その結果、最上位と最下位のパスポートで渡航できる国・地域数の差は118から170へ拡大し、各国・地域間の「モビリティギャップ」はこの20年間でさらに広がった。世界全体では渡航の自由度は向上した一方、その恩恵には大きな差が生じていることが分かる。
▶︎最上位と最下位パスポートの渡航自由度の格差
渡航自由度の格差 2006年:118 2026年:170 どちらも最下位はアフガニスタン

パスポートの渡航自由度は、各国の査証政策や外交関係を反映する指標の一つであり、国際的な人の往来や観光交流の動向を読み解く上でも注目される。
【編集部コメント】
パスポートランキングが映し出す、人流と市場環境の変化
一見すると、日本が世界2位を維持したという結果に目が向きがちだが、今回のデータが示す本質は、世界の人流を左右する環境が大きく変化している点にある。20年間で平均的なパスポートの渡航自由度は大きく向上した一方、最上位と最下位の格差はさらに拡大した。また、UAEが外交や観光政策を積み重ね、世界2位まで躍進したことは、国家戦略が人の移動に与える影響の大きさを物語っている。インバウンド戦略においても、渡航しやすい市場の変化や査証政策の動向は、訪日需要を左右する重要な判断材料である。このランキングを単なる順位表として捉えるのではなく、市場環境の変化を読み解く視点として、自社のターゲット市場やプロモーション戦略を見直す契機としたい。
(出典:Henley & Partners,The Henley Passport Index)
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