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訪日市場回復予測は2021年春が多数、6割超が引き続きインバウンドに注力 観光事業者への調査結果報告

2020.06.16

刈部 けい子

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5月25日に全都道府県での緊急事態宣言が解除されてから、早くも3週間が過ぎた。6月19日には県境をまたぐ移動も再開されることになる。近場でもいいので早く旅行したいという声はよく耳にするし、実際6月1日から店舗営業を再開した旅行会社では7月の国内旅行の予約申し込みが入り、民泊でも車で1時間半以内の物件に予約が増えているという話も聞く。国内旅行は徐々に増えていくだろう。しかし、インバウンド客が戻ってくるのがいつになるかはまだ見えない部分が多い。こうしたなか、やまとごころ.jpではメールマガジン会員に対し、コロナショック後のインバウンドへの取り組みに関してアンケートを実施。6割以上が引き続きインバウンドに注力するとの回答を得た。

インバウンド市場回復予測、来春が多数

まず、「インバウンド市場の回復」についてだが、日本政府の入国規制緩和次第ではあるが、来年「2021年3~4月」という回答が圧倒的に多い。一方、わからないという回答も80件近くあり、前向きな中ではあるが市場予測ができないと感じる事業者も多数いることが伺える。

次に、コロナショックで「インバウンドに取り組む意欲に変化があったか」という質問には、今までと変わらないが48%、より積極的に取り組むが18%で、合わせて6割を超える業者が引き続きインバウンドに注力すると回答している。

その理由としては、以下のような意見があった。
「より積極的に取り組んでいく」と回答した理由
・今後の観光産業にインバウンドの拡大は必要不可欠
・新たな価値創生の好機であるから
・楽しみ方を進化・深化できる国であるため、これからも受け入れ側次第で旅客は伸びていく

「今までと変わらない」と回答した理由
・インバウンドの重要性や訪日旅行の意欲は変わらない
・時間はかかっても元に戻ることを信じている
・国内旅行客だけでは経済が回らない

ターゲットに変更なしが64%

「今までターゲットにしていた国・地域を変えますか」という質問には、「変えない」という回答が64%。一方「一部変える」は34%。海外ではなく日本国内をターゲットとして、新しく設定した企業も一部いる。

「改めて今後狙っていく国・地域」については、2019年の訪日客数2位だった台湾がトップで、次に国内、さらにオーストラリアが続いた。アジアの中でもコロナ対応の優等生とみられる台湾、すでに日本政府が往来再開に向けて協議を開始したオーストラリアに加え、リスク分散のため、国内市場を開拓する事業者も増えたのがわかる。

「直近の取り組み」については、「商品・サービスの磨き上げ」の回答が最も多く、回復期に備えてマーケティングの見直しやより価値のある商品・サービスを提供しようと前向きに取り組む姿勢が目立った。また、これを機に知識やスキルの向上ということで「勉強(研修、セミナーへの参加)」という回答も多かった。

具体的には次のような意見があった。
・旅行者動態・回遊データのシステム構築と活用
・蜜を作らない受入体制及び環境づくり、密にならない体験オプション
・マイクロツーリズムの強化
・国内マーケット開拓の強化
・コロナ対策のガイドライン作成
・オンライン研修、オンラインツアーの導入
・バーチャルツアーのデザイン
・ツールの整備、デジタルフォーマットの活用(googlemap、googletravelなど)
・海外顧客向けのECサイトの立ち上げ
・観光経営について学ぶ、外国語のブラッシュアップ

オンライン活用に積極的

自粛期間中は、オンラインでの会議やセミナーが増えたが、こうした「オンライン化の流れ」について尋ねると、94%が今後もオンラインを活用したいと回答。特に、セミナー・研修、会議・商談が上位に入り、オンライン化でビジネスがより速いスピードで展開される可能性がある。

最後に、「今、ほしい情報」については各国の旅行動向や今後の観光・インバウンドの未来予測が求められていることがわかった。当サイトでも、世界や日本の現状を伝える「世界の動き」シリーズへの関心が非常に高く、それが頷ける回答となった。

アンケートは6月1日〜8日に行われ、回答数は550件、主な回答業種は旅行サービス業、官公庁・公益団体、宿泊業、コンサルティング業、交通・運輸業、広告業等にわたった。

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