データインバウンド
2022年国際観光客数は緩やかに回復も、ウクライナ危機が国際観光収入損失へ —UNWTO
2022.04.12
UNWTO(国連世界観光機関)が年4回発行する「世界観光指標」。3月末に発表された最新データによると、2022年1月の世界の旅行者数(国際観光客到着数)は、前年同月比の2倍を超え、2022年は好調な滑り出しとなった。気がかりは2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻が旅行市場に与える影響だ。UNWTOによる最新データ分析と今後の見通しをお伝えする。
2022年1月の世界の旅行者数、対前年同月比で2倍以上
2022年1月、世界の旅行者数は対前年同月比の2倍を超え(130%増)、人数で1800万人の増加を記録した。2021年は1年間で前年より旅行者数が1500万人増加したので、たったひと月で、2021年全体の増加人数を上回った数字になる。
パンデミック前の2019年と比べれば、1月の世界の旅行者数は67%減。オミクロン変異株とそれに伴い生じた渡航制限のため、60%減だった2021年第4四半期との比較でも後退している。しかし、2021年1月の低い水準と比べれば、世界のすべての地域で大幅に回復。ヨーロッパ(199%増)、北中南米(97%増)、中東(89%増)、アフリカ(51%増)と軒並み増加を示した。
アジア・太平洋地域では、対前年同月比では44%増だが、不要不急の渡航制限が引き続き行われている地域があるため、2019年との比較では93%減と落ち込み幅は大きいままである。
1年前と比べて最も回復したのは西ヨーロッパ
地域ごとにさらに詳しく見ると、1年前との比較で最も好調ぶりを示したのは西ヨーロッパだ。2019年と比べると依然58%減であるものの、2022年1月の入国者数は対前年同月比で4倍。カリブ海と、南・地中海ヨーロッパも好調で、2019年比でそれぞれ38%減、41%減と、回復が加速している様子が見られる。
すでに新型コロナ関連の規制がない地域に加え、解除や緩和に動く国や地域も増えていることから、ペントアップ需要(先送りされた消費需要)にも弾みがつき、2022年も緩やかに回復していくと予想される。
ウクライナ侵攻で、140億米ドルの国際観光収入が損失
懸念すべきは、ロシアによるウクライナ侵攻が及ぼす影響だ。今後の行方が不透明なゆえ、国際旅行への信頼回復を阻み、2021年に見られた上向き傾向に暗い影を落とす可能性がある。アメリカとアジアからの旅行者は、もともとリスク回避傾向が強く、とくにヨーロッパへの旅行に影響が生じる可能性がある。
欧州各国によるロシア航空機への領空閉鎖で、欧州と東アジアを結ぶ長距離便に迂回ルートへの変更が生じ、長時間のフライトと航空運賃の値上げが起こっている。さらに、原油価格の高騰とインフレ率の上昇で、宿泊施設や輸送サービスも値上がり。すでに厳しい経済状況にさらに圧力がかかり、消費者心理を損ない、投資の不確実性を高めることは間違いないだろう。
2020年の世界の国際観光支出に占めるロシアとウクライナの割合は合わせて3%。紛争が長期化すれば、少なくとも世界全体で140億米ドル(1.7兆円)の国際観光収入が失われる可能性がある。この2市場の動向は、近隣諸国、さらには、太陽とビーチが魅力のヨーロッパの観光地にとっても非常に気になるところだ。
経済協力開発機構(OECD)では、今年の世界経済の成長率が当初の予測より1%以上低くなると推定している。
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