データインバウンド
ミシュランガイド2026 東京が19年連続「美食都市」世界一を堅持、インバウンド誘致に強み
2025.10.30
やまとごころ編集部「ミシュランガイド東京2026」のセレクションが発表され、東京は19回目の掲載を迎えた。三つ星12軒、二つ星26軒、一つ星122軒と、星付きレストランは計160軒に上り、発行元の日本ミシュランタイヤによると、19年連続で「世界最多の星付き店が集まる都市」の座を堅持した。
水と素材に向き合う日本料理が三つ星に、昇格・新規選出も相次ぐ
「ミシュランガイド東京2026」の飲食店・レストランの総掲載数は526軒となった。
最高評価の三つ星は12軒で、このうち東京都港区の「明寂(Myojaku)」(日本料理)が二つ星から昇格した。店主の中村英利氏は、昆布や鰹節を多用せず、海底湧水を調味に活用するなど、水を通じた自然への敬意を軸に、調和と清らかさを追求する料理を特徴としている。
二つ星は、一つ星から3軒が昇格し26軒が選ばれた。新たに二つ星を獲得したのは、正統派の江戸前鮨「西麻布 鮨 真」(寿司)、柔軟な心で料理に向き合う日本料理店「伯雲」(日本料理)、だしと炭火に焦点をあてた料理が特徴の「炎水」(日本料理)である。
一つ星は122軒で、新規掲載は14軒。なかでも新たに星を獲得した「茶龍 SALONG」は、日本の食材や和の技法を取り入れた新中華料理として注目を集めている。
持続可能なガストロノミーを意識した「ミシュラングリーンスター」は世界最多となる13軒が選出された。新しいミシュラングリーンスターには、フランス料理の「トワヴィサージュ」が選ばれている。また、2025年版で初めて1件が新規掲載されたデザートコースのレストランは、今回6軒となった。
スペシャルアワード、次世代育成やおもてなしが高く評価
料理界への貢献やサービス技術の卓越性を称えるスペシャルアワードの受賞者は以下の通りだ。
「メンターシェフアワード」は、「野田岩 麻布飯倉本店」(うなぎ)の五代目、金本兼次郎氏が受賞。生涯現役の志を貫き、伝統を守りながら後進の育成に尽力した功績が評価された。
「サービスアワード」は「飄香」(中国料理)統括マネージャーの熊谷泰代氏が受賞、訪れる人を心地良くする、おもてなしに優れた接客が評価された。さらに「ソムリエアワード」は、ワインの専門知識やサービス技術の高さ、ワインを通してレストランでの体験を特別なものにする点が評価され、「マノワ」(フランス料理)オーナーソムリエの中村豪志氏に贈られた。
星付き160軒、東京が世界の美食都市で圧倒的首位
今回は、世界に先駆けて東京が「2026年版」として発表されているほか、他都市の2025年版データと比較しても、星付きレストランの数で圧倒的な差をつけている。
最高評価の三つ星レストランでは、東京(12軒)がパリ(10軒)を上回り、質のトップの座を維持した。
東京の星付きレストラン160軒は、2位パリ(129軒)や3位京都(93軒)を大きく上回る。大阪(79軒)、香港(76軒)、上海(54軒)、台北(52軒)などアジア主要都市との比較でも、圧倒的な規模で「美食都市」としてのブランド価値を維持している。

【編集部コメント】
美食が牽引するインバウンド消費とブランド力
今回の「ミシュランガイド東京2026」の結果は、美食を目的とするインバウンド旅行者にとって、東京が依然として世界で最も魅力的なデスティネーションであることを再確認するものとなった。
星獲得数世界一の維持は、単なるレストランの数の多さではなく、日本が誇る多様な食文化の質の高さと厚みを世界に示すブランド力そのものである。三つ星を獲得した「明寂」のように、日本の美意識を突き詰め、素材本来の「真のおいしさ」を純粋に探求する料理が評価される環境は、インバウンド誘致において強力な訴求ポイントとなりうる。
訪日外国人の消費が「モノ」から「コト」へと移行する中、ミシュラン星付きレストランでの「卓越した食体験」は、旅行動機を強く喚起する高付加価値コンテンツといえる。このブランド力を最大限に活用し、高付加価値な旅行需要の取り込み、特に地方の食文化や酒類など関連産業への波及効果を高める戦略が、今後のインバウンド市場において不可欠となるだろう。
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